挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
失格紋の最強賢者 ~世界最強の賢者が更に強くなるために転生しました~ 作者:進行諸島

第二章

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました
116/318

第114話 最強賢者、殲滅する

「魔族に化け物と呼ばれる筋合いはない……ぞ!」


そう言って俺は、近くにいた魔族に斬りつける。


「ひぃっ!」


魔族はほとんど戦意を喪失しており、攻撃をかわすでも防ぐでもなく、ただ恐れるように縮こまった状態で首を飛ばされた。

そして、他の魔族は逃げだそうとする。


俺の前で隙を見せるのが嫌らしく、魔族は誰一人として『全力飛翔』を使おうとはしなかった。

――だが、残った5人の魔族は、全て俺の魔法の射程内にいた。

翼を広げて飛び立とうとする魔族たちの背中に、俺は小さい魔法を展開する。


『軽押』。

名前が示すとおり、ただ物を軽く押すだけの、ごく簡単で低威力な魔法だ。


効果時間も短く、普通の戦闘では、打つだけ無駄とも言えるような術式である。

実際、魔族たちが無理に飛んで逃げようとすれば、簡単に抜けられただろう。


だが、そんな魔法を受けて、魔族たちは絶望の表情を浮かべた。


「なっ、結界は壊したはずじゃ――」


そう。

魔族たちは、今の『軽押』を、結界にぶつかったのと勘違いしたのだ。

――もちろん、勘違いするように、タイミングや方向を考えながら発動した訳だが。


「う……うわああああああ!」


結界に囲まれ、追い詰められた(と勘違いした)魔族たちは、唯一の活路を見いだすべく、俺の方へと飛んでくる。

俺に攻撃魔法を撃つ者もいれば、目くらましの魔法を使う者や、剣で斬りつけようとする者もいた。

だが、その程度で何とかなるのであれば、魔族たちはこんな状況になってはいない。


「ぎゃああああああああ!」


「助けて……助けてくれえええええ!」


命乞いをしたり、悲鳴を上げたりする魔族たちを、俺は片っ端から剣と魔法で倒す。

これでは、どっちが悪役か分からないな……。


そんなことを考えながらも、俺は王都上空にいた、14人の魔族を倒し終わった。


「……この体も、最低限は戦えるようになってきたみたいだな」


終わってみると、ずいぶんあっけなかった。

まあ、剣の影響も大きいのだが。

流石に今まで使っていた武器だと、数を倒すのは面倒になってくるし。


「この数の魔族が、一瞬で……?」


「今、消えてなかったか?」


「マティアスって、姿まで消せるのか……」


俺が足場にしていた結界魔法を解除して地面に降りると、こんな声が聞こえ始める。

どうやら地上にいた人々も、さっきの空中からの剣のトリックを見抜けていなかったらしい。

地上からなら、とても見抜きやすいトリックのはずなのだが。


あれは単に『縮地』を応用した魔法で短時間だけ姿を消し、敵を斬ったらすぐに移動して敵の視界から外れる、といった動きを繰り返していただけである。

だから、魔法というより、一種のトリックのようなものだ。


もし魔族が一瞬でも周囲を見回せば、簡単に見抜けただろう。

だから、わざと剣だけ見せたりして、注目を集める必要があった。

俺ではなく、倒された魔族に。


かかった時間は短かったが、14人の魔族を逃がさずに倒すのは、結構面倒な綱渡りだったのだ。

――そして俺には、これからもっと面倒な仕事が残っている。


「マティくん!」


『結界用の穴は掘り終わったから、中に魔道具を設置しておいてくれ。今はイリスの魔法で支えてるが、長くはもたないからな』


地上に降りた俺は、駆け寄ってきたルリイとアルマに、近距離念話魔法を送る。


『はい! ……あれ? マティくんは……』


『ちょっと、細工をしてくる』


そう言って俺は【縮地】などを使いながら、勝利を祝う人々の群れを抜け出す。

王都上空にいた魔族は全滅させたが……それで今回の戦いが終わった訳ではないからな。

むしろ重要性から言えば、ここからが本番と言ってもいいかもしれない。

★書籍版10巻公式ページはここをクリック★

書籍版10巻、今月発売!!!

書籍版10巻が、【9月15日】に発売します!!

漫画版8巻も、同時発売です!

書き下ろしもありますので、よろしくお願いします!

★書籍版10巻公式ページはここをクリック★

+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。