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失格紋の最強賢者 ~世界最強の賢者が更に強くなるために転生しました~ 作者:進行諸島

第二章

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第113話 最強賢者、消える

「……な、何だ貴様は!」


3人目の魔族を倒しながら姿を現した俺に、魔族が驚きの声を上げる。


「こ……こいつがマティアスだ! 作戦通り、散開して――」


どうやら魔族の1人は、俺の顔を知っていたらしい。

そいつが指示を出そうとしはじめるのを見て、俺は【縮地】を発動する。


「なっ、消え――」


急に姿を消した俺に、魔族が驚きの声を上げる。

どうやら魔族は、今ので俺の姿を見失ったようだ。

魔力反応を見れば【縮地】を破るくらいは簡単なはずなのだが……やはり今の魔族は、戦い慣れていないようだ。


そこで俺は、魔族が間違っても俺を見失うことのないよう、親切にも魔族の目の前で姿を現す。


「……え?」


状況が理解できず、間抜けな声を上げる魔族に対し、俺は水平に剣を振るう。

魔族は最後まで反応できず、一撃で首を切断され、地面へと落ちていった。

これで、残り10人。


まともに統制を取られると、面倒だからな。

司令塔になりそうな奴から倒すのは、対集団戦闘の基本だ。


「こっ……こいつ、消えるぞ!」


「こんなの、どうやって戦えば――」


今の動きを見て、魔族が怯えたような声を上げる。

もう、腰が完全に退けている。今すぐにでも逃げ出しかねない勢いだ。


……逃げ出されると、それはそれで面倒だな。

この人数が、一斉に『全力飛翔』で逃げようとすると、流石に討ち漏らしが出ることになる。

魔族の出入りを防ぐことができる『王都大結界』は、まだ稼働していないし。


よし。ヒントを与えてやるか。

考えてみると、魔族と戦う時には、毎回だまし討ちみたいなことをやっている気がするな。


「無駄だ。この結界の中で、お前らに戦い方なんて存在しない」


そう言って俺は、適当に魔力を調整して、結界魔法に似せた放射を魔族たちに浴びせる。

我ながら、お粗末なフェイクだ。


「結界――そうか! こいつが姿を消しているのは、制御型結界だ! 破壊を――」


だが、魔族はうまく騙されてくれたらしい。

俺の言葉を聞いて、魔族は大量の魔力を、一点に向かって放つ。


簡易的な結界を破壊する際に使われる『飽和魔力』という技術だ。

俺の背後で、何かが割れるような、パリンという音が響く。


うん、期待通りの反応だな。

わざわざインパクトの強い倒し方をして、判断力を奪ったかいがあったというものだ。


「馬鹿め! 戦闘用の結界魔法は、魔力で吹き飛ばせるんだ!」


もちろん、馬鹿は魔族のほうである。

この程度の魔族の『飽和魔力』で壊せるほど、俺達が張った結界は小さくない。

さっきの音は、魔族に分かりやすく結界の消滅を伝えるため、俺が魔法で出したものだ。


「え? なんで消え――」


俺はそんなことを考えながら、また【縮地】を発動し、指示を出そうとした魔族を倒す。

ついでに、近くにいた魔族も2人ほど倒しておいた。

これで、残り7人。


……そろそろ、【縮地】は対策できたことにしておいてやるか。

あまり追い詰めると、逃げられかねないからな。


ということで俺は、姿を消さないまま、足下に張った結界魔法を蹴り、一気に魔族へと接近する


「見える! 見えるぞ! これで――ぐあああああああ」


真っ直ぐ魔族へと向かう俺を見て、魔族は喜びの声を上げながら、魔法を付与した剣を振り、同時に魔法を撃ち込もうとする。


俺はそんな魔族を、剣に【斬鉄】【魔力撃】を乗せて、防ごうとした剣ごと切断する。

うん。新しい剣は、やはり切れ味がいい。

今回は、首ではなく体を斬ったため、断末魔を上げるくらいの時間はあったようだが。


「ば……化け物!」


それを見て、生き残った魔族は恐怖の声を上げ、後ずさった。

俺は人間だし、魔族に化け物と言われる筋合いはないと思うのだが……。

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