トップ > 福井 > 9月12日の記事一覧 > 記事

ここから本文

福井

コウノトリ「人工巣塔」設置へ寄付募る 福井の鶉地区

今年8月、鶉地区に飛来したコウノトリのひなたち=福井市布施田町で(福井市鶉公民館提供)

写真

 福井市鶉公民館と鶉地区自治会連合会が、国の特別天然記念物コウノトリが巣作りに使う「人工巣塔」の設置に乗り出すことになった。そのための寄付を今月から募り始めている。同地区には、約十年前からコウノトリが頻繁に飛来している。公民館主事の新屋恵さん(54)は「コウノトリが地区内に巣を作ることで、地区の人にもっと関心を持ってほしい」と期待する。

 鶉地区には二〇〇五年四月、コウノトリが初めて飛来した。その後、十年ほど前から頻繁に見られるようになり、最も多かった一四年には、年間四十七日間確認された。

 今年も四月四日に二羽が確認され、同十九日までに四度、地区内の電柱で巣作りを試みた。しかし、コウノトリの感電や広域停電を危惧する北陸電力が、営巣のたびに撤去した。その後、ペアは坂井市に移動して電柱の上で営巣。「巣を残してほしい」という住民の要望もあり、北電が電柱付近の安全工事を施したことで、六月にひな四羽が誕生した。新屋さんは「本当は鶉地区で巣を作り、子育てしてほしかった」と残念がる。

 一方で、坂井市での営巣中や子育て中も鶉地区がえさ場となった。誕生したひな四羽が巣立ち、稲刈りをするコンバインの後を追ってヘビやカエルを捕らえる「一家」の姿が目撃されている。

「コウノトリのためだけでなく、地区の活性化にもつながる事業にしたい」と話す新屋さん=福井市砂子坂町で

写真

 そこで公民館などは、巣作りのために「人工巣塔」設置に乗り出すことに。北陸電力の協力のもと、新しい電柱を立て、その上に鉄製の「巣台」を設置する。来年二月ごろまでの完成を目指す。より良いコウノトリのえさ場や、子どもたちの教育のためにビオトープの整備も計画している。

 電柱を立てるためなどの必要経費として、計七十万円を目標とする。「コウノトリのためだけでなく、地区の活性化にもつながる事業にしたい」と新屋さん。寄付は一口千円で、鶉公民館で受け付けるほか、専用の銀行口座を開設している。問い合わせは、鶉公民館=0776(83)0433。

 (籔下千晶)

 

この記事を印刷する

中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井 読者の方は中日新聞プラスで豊富な記事を読めます。

新聞購読のご案内

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山
地方選挙

Search | 検索