消え行くアメリカ車たちを追って

70年代も残りあと僅か…という時に、海の向こうから、衝撃的なニュースが飛び込み、日本の自動車業界を震撼させました。

当時、ようやくアメリカが手薄なコンパクトカーの市場に於いて、一応の成功を収めた日本の自動車業界でしたが、その市場に、GMが真正面から参入してくるというのです。

GMと言えば、先のオイルショックに於いての、見事な立ち振る舞いが記憶に新しいところで、その登場から間もなく第二次オイルショックが発生、これだけタイミング良く新型車を投入してきただけに、余計にその恐怖感が増幅され、「コレで日本の自動車産業も終わった…」というのが、日本のメディアの見方でした。

1980年モデルとして発売された通称「Xカー」は、GM初の横置きFFを採用しており、シボレー・サイタイションとビュイック・スカイラーク、ポンティアック・フェニックス、オールズモビル・オメガの4車種が投入されました。


写真は、その主力といえるサイタイションです。他が2ドア、4ドアセダンであったのに対して、シボレーは、ハッチバックをメインにした所が目に付きました。

当初、メディアも比較的好意的に迎え、本国では、モータートレンド誌のカーオブザイヤーにも選ばれています。
日本でも、コンパクトな中にも、アメリカ的な雰囲気を上手く取り入れていると概ね好評だったのですが、その品質の悪さが露見するのには、そう時間は掛かりませんでした。

恐怖のXカーは、結局危険極まりない品質で「恐怖のXカー」となってしまったのです。

まあ、GMの場合、かつてのシボレー・ベガという先例もあるので、Xカーを騒ぎ立てばメディアというのも、今から思うと何だかな…という気がしないでもありません。


写真のロゴを見ると、サイタイション２となっていますが、コレは、最後の頃、品質問題は解決して、新たな車という意味合いでロゴを変更したのですが、時既に遅しで、85年には、全ての車が生産中止になっています。

因みに、82年に登場した、ビュイック・センチュリー等のAボディーは、このXカーをベースにしたものですが、その頃には一応品質も安定しており、色眼鏡で見られることも無く、97年までと、大変に長い期間生産される事になりました。