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(麻子)開拓者が切り開かなければ見られなかった景色なのね。
(門倉)十勝で開発された農機具だ。
(泰樹)誰もが支え合って開拓者は強くなったんじゃ。
なつたちは 十勝での取材を終え東京に帰ってきました。
(ノック)
(なつ)よいしょ… こんにちは。
(佐知子)はい… あっ なっちゃん!
えっ 佐知子さん? どうして…。
今週から ここで働いてるのよ。えっ…。
(咲太郎)よっ!(レミ子)どっから来たの? その荷物。
(坂場)北海道から戻りました。
(光子)北海道からそのまま ここに来たの?
はい。 夜行で 今朝着いて。疲れたでしょう。
よいしょ…。(優)ただいま!
優ちゃん お帰り。
佐知子さんにも会えるなんて。
私が頼んだのよ。
人手が足りなくなって電話番だけでもって。
さっちゃんなら信用できるから。
子どもも 手が かからなくなったし夕方まで ここで働かせてもらうことにしたのよ。
佐知子さんも戻ってきたんですか。私も?
お兄ちゃん。うん?
帯広で 亜矢美さんに会ったのよ。
えっ…。(レミ子)亜矢美さんに!?
(光子)帯広で?はい。
♪~
♪「重い扉を押し開けたら暗い道が続いてて」
♪「めげずに歩いたその先に知らなかった世界」
♪「氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ」
♪「切り取られることのない丸い大空の色を」
♪「優しいあの子にも教えたい」
♪「ルルル…」
♪「口にする度に泣けるほど憧れて砕かれて」
♪「消えかけた火を胸に抱きたどり着いたコタン」
話は2日前に遡ります。
(雪次郎)開拓時代を調べてんのか。
とよばあちゃんにも 話を聞きたいんだわ。
大正11年ごろの洪水は覚えていらっしゃいますか?
(とよ)ああ 大変だったね…。
したけど 私はそのころは もう嫁いでたからね。
ほかに 何か印象に残ってることはありますか?
したら サケだわね。サケ?
川に サケの群れが戻ってくるとそりゃ もう銀色に光ってね!
水しぶきを上げて川を遡ってくるサケの群れと私らも 一緒になって跳びはねて喜んだもんだわ!ああ サケが帰ってきた…!あっ いらっしゃ…。
(亜矢美)あっ いた! 元気?
亜矢美さん!
あ~! な な な…なっちゃんが 何で ここに!?
な… なっちゃんだ! どうした!それは こっちが言いたいですよ!
どうした どうした!どうしたんですか!
亜矢美ちゃ~ん!あ~ とよばあちゃん!お会いしたかった!
まだ生きてるもね。 しぶといべさ。全然 お変わりないべさ。
ご無沙汰してます。お~ イッキュウさんだ。
うわ~ 里帰り?いや~ まあ ちょっと違いますが。
もしかして… えっ?
はい。 私の娘です。
優といいます。ゆう?
ゆうちゃん?はい。
ミーは 亜矢美…。
(麻子)あの お久しぶりです。
うわうわうわ… マコちゃんだ!イタリア行ってたんじゃないの?
あっ 覚えてて下さったんですか。覚えてるよ それぐらい… あっ 神っち?
(神地)いや どうも…。全然 変わらないね。
モモッチ?(桃代)はい!ね~。
何っち?(下山)あ… ハハ。
「ち」は付かないんですけど…。下山さん 会ったことないですか?
あっ 下山っちといえば… うん! ね?ああ そうです。
よく聞いてた なっちゃんから。これもんの ハハハ…。
私が住んでた おでん屋の亜矢美さんです。初めまして どうも。
あ~ もう 座って 座ってごめんね 皆さん お邪魔しちゃって。
何 ご旅行?いや~ だって みんな…。
(夕見子)亜矢美さん!
何 夕見ちゃん どうしたの。ここで会えるなんて…。
お手伝い? エプロンして…今 どっから出てきた?
夕見は 雪次郎君と結婚したんです。
何! え~!
でもね ちょっとねお似合いかなと思ってた。え~。
そうなったか!なっちゃいましたけど…。
おめでとう! よかったじゃない!
あらららら どうも。(雪之助)亜矢美さん…!
(妙子)ご無沙汰してます 亜矢美さん!ええ…。
亜矢美さん これ 息子の雪見です。ゆきみっていうの?
かっこいい名前。(雪見)こんにちは。
こんにちは。 うわ ハンサムだ。将来は役者?
(一同)やめて下さい!ごめんなさい ごめんなさい…。
貫禄ついて 立派になったね。
いや もう東京で 人の心を学び十勝のお菓子作りに生かしました。
(亜矢美)よっ 雪次郎!(雪次郎)ありがとうございます。
それで 亜矢美さんは 何で帯広に?
いや そりゃ 雪次郎君にもう会いたくて 会いたくて…。
本当ですか!うそに決まってんじゃん バカ。
座って 座って うちのお菓子でもね…。
今晩 一杯やりやしょうよ。やめて下さいよ…。
生まれて初めて来たのにこんな懐かしい顔 顔 顔 顔 顔…。
もう みんなに会えて もう… 夢みたい!
それで 何をしてるんだ? 今。
人呼んで フーテンの亜矢美と発しやす。
お~ かっこいい! ハハ…。
九州 鹿児島から 7年かけて北上しやっとこさで帯広に たどりつきやした!
(雪次郎)えっ…それじゃ 亜矢美さん亜矢美さん これから帯広で働くんですか?
それじゃあさ いっそのことうちで働きませんか?
(雪次郎)あっ それ いいわ!働かなくても ここにいて下さい。
好きなだけいて下さい。
いや とにかくさ あと一稼ぎしたら目標額に達するからそしたら 新宿戻って一旗揚げようかなと思ってんの。
新宿に?(亜矢美)うん。咲太郎や光子さんの世話になんなくてもさビシッと 返り咲いてみせますよ。
それがフーテンの意地ってもんでございやす。
だからね 咲太郎にはそれまで おとなしく待ってな。
本当に戻るのか? 新宿に…。
そう言ってたから。誰の力も借りずに 戻ってくるって。
亜矢美さんらしいわね。
よかったじゃない 咲ちゃん。待っててあげなよ。
ああ…。
よかった…。
本当によかった…。
しかし バカだな…何が フーテンの亜矢美だよ ハハハ…。
♪~
本当に ここで雇うつもりかい。
これで もっと はやりますよ きっと。うん。
結構なお菓子いかがです?結構 毛だらけ…。
亜矢美さんのおかげか 分かりませんが雪月は 十勝を代表するお菓子メーカーに成長していくのでした。
十勝から戻った なつは早速 主人公の少女 ソラのキャラクター作りに取り組みました。
キャラクターが決まらなければ作画作業に入れません。
出来た。 どう?うん…。
あ…。
ダメですね。
これは ソラではありません。
どこがダメなの?
ちょっと 皆さん いいですか?
(坂場)どう思いますか?
なるほどね。うん… 何か 強そうだね。
強いのは 開拓で自然と鍛えられたからです。
だけど 人間らしい かわいさが感じられないんです。
かわいくなければ いけないの?
かわいい女の子を描けと言ってるわけじゃなくて…。
これは強そうなんだけどまるで 野生の動物を従えて冒険をするような強さなんだよな…。
「百獣の王子サム」じゃないんだからさ。
衣装も 何だか 葉っぱを着てるみたい。
葉っぱ?
(陽平)うん… なっちゃん背景は どうしたって緑が多くなるだろ?
十勝の自然 描くわけだから。
同色の緑っぽい服だと 保護色になって目立たないんじゃないかな。
(神地)これじゃ戦闘服だよ。
この発想だと 今までのテレビ漫画のキャラクター作りと 何も変わらないわね。
まあ 大自然を開拓するっていう意志は感じるんだけど。
今回は もっと日常的な人間の表情を捉えたいんです。
大げさに 喜怒哀楽を表現したり過剰なドラマ主義に走らなくてもちゃんと ドラマが見えてくるような人間が生活する上での細かい心の動きを一番大切に表現したいんです。
それを感じさせてくれるキャラクターでなければ…。
アニメーションらしい表現も開拓者らしい人間の心の機微も君なら よく分かってるはずだからね。
うん…。言いたいことは よく分かるけど…。
うん…。
例えば このソラが新しい世界に触れた時自分の知らなかった世界が今目の前に広がっているのを見た時その戸惑いや期待感まっすぐに前を見てワクワクしてるような目を描いて下さい。
そういう表情から ソラを捉えて下さい。
ワクワクしているような目?
そうです。
♪~
あなたは 昔から人の内面描くの得意だったじゃないの。
「白蛇姫」の頃から。
戦いばかり描き過ぎていつの間にか 自分の心がギスギスしているんでしょうか。
そんな重く考えないで…。
なっちゃん。はい。
あの… 参考になるかどうか分かんないけど これ。
十勝に ロケハン行った時にスケッチしたものなんだ。とっても いい表情してたもんだからね。まあ その表情は なっちゃんが一番よく知ってるもんだろうけど。
♪~
(麻子)結局 あなたの心が絵にも出るのよ。あなたが ワクワクしなくちゃダメなんじゃない?
そういうことか…。
忘れてました…。
こういう気持ちを テレビ漫画にも描いていいんですよね…。
そうよ。
ありがとうございます。 下山さん。
何か見えた?はい… やってみます!
(下山)うん。(麻子)よろしくね。はい。
なつよ どんなソラが生まれるのかワクワクしてきたぞ。