2017年06月27日(火) コメント:0
GTO概論② GTOのメリットの続きです。
GTOプレイとエクスプロイトプレイは長くに渡って比較され、GTOこそが正義だという人もいれば、エクスプロイトプレイだけで十分だと言い切るプレイヤーもいます。
果たしてどちらが正しく、どちらを重点的に学べばいいのでしょうか?
結論から言います。両方大切である。しかし勉強するならばGTOからの方が効率的です。
また、最初によくある誤解を解いておきますが我々が考えるべきことは、完全にGTOプレイをする、もしくは完全にExploitプレイをするという2択のどちらをとるかということではなく、GTOプレイとExploitプレイの間にある最も期待値の高いのアクションをとる為に、どちらにどれくらい寄せたプレイをするかということなのです。
GTOに近い相手にはGTO戦略を、GTOより少しだけタイトな相手には少しだけエクスプロイトに寄せた戦略を、GTOよりかなりタイトな相手にはかなりエクスプロイトに寄せた戦略をとれる。これが我々の期待値が最も高くなる行動であり、我々の目指すべきものです。
話を戻します。何故GTO戦略から勉強するのが効率的なのでしょうか?
今回と次回の2つの記事でExploitプレイのメリットデメリットを挙げて分析し、その理由を述べようと思います。
Exploitプレイのメリット(=GTOプレイのデメリット)
・相手の戦略を搾取出来ればExploitプレイの方が期待値は高い
・実践の相手はGTOとかけ離れている場合が多いのでそのまま適用しても仕方がない
Exploitプレイのデメリット(=GTOプレイのメリット)
・相手の戦略ははっきりとはわからない
・相手の戦略は一定であるとは限らない(カウンター戦略を取られる場合もある)
・勉強方法が漠然とし過ぎている
・時代、ステークスによって変化する(前回記事で述べた)
まずExploit戦略のメリットはなんといっても完璧に行えればGTO戦略よりも高い期待値であるという点です。これに関してはGTO戦略側は何も反論できないです。なので、2つの戦略両方を完璧に行えるのであればExploit戦略のみをとればいいのです。
しかし、現実にはデメリットにも書いた以下のような問題点があり、完璧にExploit戦略をとるのは不可能ですし、Exploitプレイのみしか知らずにプレイするのはかなりの損と言えます。
・相手の戦略ははっきりとはわからない
よく相手の戦略をEquilab等に入れて計算している人がいますが、相手の戦略を正確に知るのは実はかなり困難です。例えば相手のFlopCbetに関して、Cbet率及びCbetサイズはハンド数がたまれば比較的簡単にわかりますが、どういうハンドでCbetをしているかということに関してはショウダウンしないと正確にわからず、ショウダウンしてもボード、ポジションが多彩なため明確なレンジは求められないでしょう。そういった相手の戦略の弱みがわからない多くの状況では、自分で勝手に想像したExploit戦略より、理論的なGTO戦略を使った方が期待値は高いでしょうし、搾取される可能性もなく安全です。
・相手の戦略は一定であるとは限らない
例えば相手がflop check/raizeに対して降りすぎるリークがあると気づき、かなりcheck/raizeしていたとします。するとハンドがたまると相手がよほど下手なプレイヤーでない限りそれに気づいて何らかのカウンター戦略をとられる可能性は高いです。一般にカウンター戦略を取られた場合の期待値の損失は、エクスプロイトプレイをしたことによる期待値の上昇よりも大きいのでカウンター戦略に対して何の対策もしていなければ、期待値が上がるどころか下がる可能性すらあります。なのでGTO的な戦略を抑えた上で、カウンターされにくいレンジを作ったり、いざという場合にはGTO戦略に戻したりすることが必要なわけです。
これらの理由からExploitプレイだけしか勉強しなかった場合に生じる問題点が複数あり、安易にExploitプレイ > GTOプレイと言えないということに納得していただけると思います。しかしながら、この理由だけでは特定のゲームでGTOを使うことの積極的な理由にならないのではと思っている方もいると思います。例えばzoomではプレイヤープールが広く、プレイヤー人口全体に対するExploit戦略を勉強して使い続ければ、たとえレンジのバランスが取れていなくても相手はハンド数がたまらなければカウンター戦略をとらないので高い期待値を上げ続けられるのではないか、という考え方があるでしょう。ですが、それでも私はGTO戦略から学習することを勧めます。その大きな理由が下記の項です。
・(GTO計算無しの)Exploitプレイの勉強方法は漠然とし過ぎている
これは上の相手の戦略がはっきりとはわからないことに起因するのですが、Exploitプレイは(GTO計算結果がない状況では)非常に曖昧にしか求められません。しかも、人間はマルチストリートの計算を基本的には行えない為、多くの場合Exploitプレイの勉強には上手いプレイヤーの考え方を聞き、真似をするという方法が取られます。しかしこういった方法ではその上手いプレイヤーをきちんと選ばないといけないですし(前に成績詐称事件もありました)、たとえそのプレイヤ―が本当に上手かったとしても時代が進めば良くないプレイになっている可能性があることは前回の記事で書いた通りです。更に言えば上手いプレイヤーの使っている戦略でも、正しい確率が高いだけで本当に正しいのかを確認する方法もありません。(上振れてそのプレイが良いように見えているだけかもしれない)
しかし、これはGTO計算結果がない状況の話で、実はExploitプレイをGTOプレイから勉強することが出来ます。そうした場合、時代によって変化しないExploitプレイをかなり理論的に導き出すことが出来ます。つまりExploitプレイを勉強する際にもGTOの知識は欠かせないのです。これが私がGTOから勉強した方が効率的であると言う理由です。
次回はこのGTO的な前提からExploitプレイを導き出すということについて書きます。
同時に
・実践の相手はGTO戦略とかけ離れているのでそのまま適用しても仕方がない
この項に関しても述べようと思います。
次回➡GTO概論④ GTOからExploitプレイを導く
GTOプレイとエクスプロイトプレイは長くに渡って比較され、GTOこそが正義だという人もいれば、エクスプロイトプレイだけで十分だと言い切るプレイヤーもいます。
果たしてどちらが正しく、どちらを重点的に学べばいいのでしょうか?
結論から言います。両方大切である。しかし勉強するならばGTOからの方が効率的です。
また、最初によくある誤解を解いておきますが我々が考えるべきことは、完全にGTOプレイをする、もしくは完全にExploitプレイをするという2択のどちらをとるかということではなく、GTOプレイとExploitプレイの間にある最も期待値の高いのアクションをとる為に、どちらにどれくらい寄せたプレイをするかということなのです。
GTOに近い相手にはGTO戦略を、GTOより少しだけタイトな相手には少しだけエクスプロイトに寄せた戦略を、GTOよりかなりタイトな相手にはかなりエクスプロイトに寄せた戦略をとれる。これが我々の期待値が最も高くなる行動であり、我々の目指すべきものです。
話を戻します。何故GTO戦略から勉強するのが効率的なのでしょうか?
今回と次回の2つの記事でExploitプレイのメリットデメリットを挙げて分析し、その理由を述べようと思います。
Exploitプレイのメリット(=GTOプレイのデメリット)
・相手の戦略を搾取出来ればExploitプレイの方が期待値は高い
・実践の相手はGTOとかけ離れている場合が多いのでそのまま適用しても仕方がない
Exploitプレイのデメリット(=GTOプレイのメリット)
・相手の戦略ははっきりとはわからない
・相手の戦略は一定であるとは限らない(カウンター戦略を取られる場合もある)
・勉強方法が漠然とし過ぎている
・時代、ステークスによって変化する(前回記事で述べた)
まずExploit戦略のメリットはなんといっても完璧に行えればGTO戦略よりも高い期待値であるという点です。これに関してはGTO戦略側は何も反論できないです。なので、2つの戦略両方を完璧に行えるのであればExploit戦略のみをとればいいのです。
しかし、現実にはデメリットにも書いた以下のような問題点があり、完璧にExploit戦略をとるのは不可能ですし、Exploitプレイのみしか知らずにプレイするのはかなりの損と言えます。
・相手の戦略ははっきりとはわからない
よく相手の戦略をEquilab等に入れて計算している人がいますが、相手の戦略を正確に知るのは実はかなり困難です。例えば相手のFlopCbetに関して、Cbet率及びCbetサイズはハンド数がたまれば比較的簡単にわかりますが、どういうハンドでCbetをしているかということに関してはショウダウンしないと正確にわからず、ショウダウンしてもボード、ポジションが多彩なため明確なレンジは求められないでしょう。そういった相手の戦略の弱みがわからない多くの状況では、自分で勝手に想像したExploit戦略より、理論的なGTO戦略を使った方が期待値は高いでしょうし、搾取される可能性もなく安全です。
・相手の戦略は一定であるとは限らない
例えば相手がflop check/raizeに対して降りすぎるリークがあると気づき、かなりcheck/raizeしていたとします。するとハンドがたまると相手がよほど下手なプレイヤーでない限りそれに気づいて何らかのカウンター戦略をとられる可能性は高いです。一般にカウンター戦略を取られた場合の期待値の損失は、エクスプロイトプレイをしたことによる期待値の上昇よりも大きいのでカウンター戦略に対して何の対策もしていなければ、期待値が上がるどころか下がる可能性すらあります。なのでGTO的な戦略を抑えた上で、カウンターされにくいレンジを作ったり、いざという場合にはGTO戦略に戻したりすることが必要なわけです。
これらの理由からExploitプレイだけしか勉強しなかった場合に生じる問題点が複数あり、安易にExploitプレイ > GTOプレイと言えないということに納得していただけると思います。しかしながら、この理由だけでは特定のゲームでGTOを使うことの積極的な理由にならないのではと思っている方もいると思います。例えばzoomではプレイヤープールが広く、プレイヤー人口全体に対するExploit戦略を勉強して使い続ければ、たとえレンジのバランスが取れていなくても相手はハンド数がたまらなければカウンター戦略をとらないので高い期待値を上げ続けられるのではないか、という考え方があるでしょう。ですが、それでも私はGTO戦略から学習することを勧めます。その大きな理由が下記の項です。
・(GTO計算無しの)Exploitプレイの勉強方法は漠然とし過ぎている
これは上の相手の戦略がはっきりとはわからないことに起因するのですが、Exploitプレイは(GTO計算結果がない状況では)非常に曖昧にしか求められません。しかも、人間はマルチストリートの計算を基本的には行えない為、多くの場合Exploitプレイの勉強には上手いプレイヤーの考え方を聞き、真似をするという方法が取られます。しかしこういった方法ではその上手いプレイヤーをきちんと選ばないといけないですし(前に成績詐称事件もありました)、たとえそのプレイヤ―が本当に上手かったとしても時代が進めば良くないプレイになっている可能性があることは前回の記事で書いた通りです。更に言えば上手いプレイヤーの使っている戦略でも、正しい確率が高いだけで本当に正しいのかを確認する方法もありません。(上振れてそのプレイが良いように見えているだけかもしれない)
しかし、これはGTO計算結果がない状況の話で、実はExploitプレイをGTOプレイから勉強することが出来ます。そうした場合、時代によって変化しないExploitプレイをかなり理論的に導き出すことが出来ます。つまりExploitプレイを勉強する際にもGTOの知識は欠かせないのです。これが私がGTOから勉強した方が効率的であると言う理由です。
次回はこのGTO的な前提からExploitプレイを導き出すということについて書きます。
同時に
・実践の相手はGTO戦略とかけ離れているのでそのまま適用しても仕方がない
この項に関しても述べようと思います。
次回➡GTO概論④ GTOからExploitプレイを導く
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