【5】思っている以上に、陵墓の研究は進んでいて、調査も認められている。
P30に「宮内庁によって応神天皇陵とされている誉田御廟山古墳も、実際は誰の墓なのかは不明である」とし、古墳(陵墓)を調査するには宮内庁の許可が必要で、「過去に認められたケースはほとんどない」と説明されています。
しかし、仁賢天皇陵、仲哀天皇陵、継体天皇陵などには、府・市の教育委員会の調査も入っていますし、景行天皇陵に治定されている渋谷向山古墳などは学会の調査も入っていて、研究はおこなわれています。
調査は厳しく制限はされていますが、研究者には学術的な目的による調査も、保全や修理に伴う事前調査・発掘を認めています。
調査結果は公表されますし、出土遺物は貸出もあり。認められなかったケース、というのが具体的にどんなものがあったのか、ちょっと私にはわかりません。
応神天皇陵と言われている誉田御廟山古墳は、たしかに未調査ですが、陪塚の研究は進んでいて宮内庁治定の陵墓の中ではかなり研究が進んでいるほうといえます。
ちなみに「899」は陵墓の数ではありません。陵は188、墓は555です。
さて、言うまでもなく古墳のうち陵墓に指定されているものは、皇室の祖先のお墓。よって文化財保護法の対象外です。
しかし、宮内庁には、ちゃんと陵墓調査官、という方がおられます。
そして陵墓管理委員会というものもあります。このチーム、考古学者だけでなく、土木の専門家もおられて、保全・修理・調査のアドバイスをされています。文化財保護法の指定外でも、ちゃんとこの法に記された手続通りに管理されているので、わたしは十二分に宮内庁で管理と研究ができていると思っています。
ところで、皇室の祖先のお墓ですから、ちゃんと現在でもそれ相応の祭祀が行われています。
陵墓に入る前は、なんと「鳥」にならなくてはならないのです。
人としての魂を抜いて鳥になる…
背中にカラスの羽根をつけてカラスのカッコで礼拝…
ま、まじか?!
と思っていたら、戦後は礼拝などの儀式だけでカラスには変身しなくてもよくなっているようです。残念というか、ちょっとほっとしたというか…
見てみたかったなぁ、と、不敬ながら思ってしまいました。