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異世界転移で女神様から祝福を! ~いえ、手持ちの異能があるので結構です~ 作者:コーダ

第12章 真紅帝国編

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第181話 幕引きと招待

最近、メンタル的な諸事情により、執筆がほとんど進んでおりません。

本章終了時にストック貯めに入る可能性があります(本章は執筆済)。

連続更新のストップは勿体ないですが、自転車操業が出来るタイプではないので、ご理解いただきたく思います。

本章が終わるまでに回復して、執筆が進めば連載を続けます。

「くっ……」


 俺の圧倒的な威圧感(自画自賛)に怯んだローズが距離をとろうとする。

 しかし、俺はそれよりも早く片手を上げる。


「無駄だ」


 その瞬間、ローズの身体が見えない力に囚われたかの様に宙に浮かんだ。

 あ、これは風災竜の風を操る力の応用です。


「な、何なの!?」


 俺はローズの問いに応えず、上げた手を軽く握る。


「ぐぅっ!?」


 その瞬間、ローズの身体に見えない圧力が加わり、うめき声を上げる。

 あ、これは風災竜の風を操る力の応用です(2回目)。


「が、がはっ……」

「まだ、終わっていないぞ」

「や、止め」


 俺は握った手を弾くように開く。


「ぎゃあああああああああああああ!!!」


 その瞬間、ローズの身体が見えない刃に切り刻まれる。

 あ、これは風災竜の風を操る力の応用です(3回目)。


 切り刻んだとは言っても、身体の表面に何度もかまいたちのような物を沿わせただけなので、服が破けて全裸になった事と、大量の切り傷を負ったくらいの被害しかない。

 傷は多いが、死ぬほどの血は流していないし、深い傷もない。


 先程、手心を加えないと言ったが、実は全力で手心加えています。

 お気付きの事だろうが、2つ目の圧力の時点で、その気になればローズを殺せている。


 つまり、俺にローズを殺すつもりはない。

 ……言い換えよう。殺さない方の『報い』にする予定なのだ。


 ローズが満身創痍になったのを確認し、風の呪縛を解く。


「ぐ……」


 ドサっと音を立てて全裸ローズが崩れ落ちる。


「くっ……。わ、私を殺すつもりかしら……?」


 怯えた顔をしても、敵意が全く消えていないのは隠せていないぞ?


 目を見れば分かる。

 あの目は、隙あらば逃げ出したり、反撃したりすることを考えている目だ。


「ああ、安心して良いぞ。俺にお前を殺す予定はないからな。……ただ、許す予定もない。だから、お前にはもらう事にした」


 俺はそう言った後、ソファから立ち上がった。


「お、終わる?い、一体、私に何をする気なの……?」

「それは今から自分の身で確かめると良い」


 俺は倒れるローズの元に歩いて行き、その頭に手を伸ばす。


「それじゃあ、さよならだ」

「や、止めなさい!いや、いやあああああああ!!!!!!」


 その断末魔は結界に阻まれ、俺とマリア以外の誰にも届かなかった。



 ローズを完全に終わらせた日から2日が経過した。


 黒幕が終わったので、あれ以来俺への襲撃は行われていない。

 だから、俺達はのんびりと帝都観光を続けている。先日、ついに博物館をコンプした。


 ジョナサンやルビーの関係者から面会が求められる事もあったが、当然全て断っている。

 アルタ曰く、助命嘆願らしいので、気にする必要は無い。


 そして、本日はアッシュに招かれて帝城での昼食ランチである。

 これは、最初の方で言っていた、『最低限の歓待』の1つである。


 ジョナサンやルビーの件があった為、当然のように渋る俺。何の躊躇もなく頭を下げるアッシュ。絆されてOKをする俺。不快な思いはさせないと誓うアッシュ。

 大体そんな感じだ。


「今日はお招きいただき、ありがとうございます」

「こちらこそ、ようこそいらっしゃいました」


 帝城の前で待つアッシュに、馬車から降りて挨拶をした。

 公の場なので、一応は敬語。


 招かれているのは俺1人なので、透明になったマリア以外は付いて来ていない。

 マリアは仕方ない。


 アッシュの案内に従い、帝城を進む。

 アッシュには直属の部下が居り、彼らとピエール氏の尽力により、ジョナサン、ルビー陣営の者は俺達に近づいて来ない。

 逆に言えば、近づこうとはしているのである。


 そして、昼食会が始まった。


「この度は僕の兄弟達がご迷惑をおかけしました」


 そう言って、アッシュは頭を下げる。

 誘いの時にも謝られたが、今度は正式な場での謝罪となる。


「それは、アッシュさんが謝る事じゃないだろ?」

「兄妹のしたことですからね。無関係とは言えません」

「そう言う考え方もあるか……。でも、残念ながら2人を『許す』とは言えない」


 謝罪これをルビーやジョナサンが行っていたら、まだ考える余地はあったんだけどね。

 最初に謝罪をしたのが義理の兄妹アッシュって言うのが、ダメダメである。


「それは仕方がありません。どちらのした事も、許されることではありませんから。だから、これはある意味、自己満足のような謝罪です。付き合わせてしまい、申し訳ありません」


 本人も意味があるとは思っていない様子。


「挙句、こちらの尻拭いを仁さんにさせてしまった事も、重ねてお詫びします」


 あ、ローズの件に気付かれているみたいだな。

 まあ、タイミングの都合上、バレるのも無理はないか。


「はて、何の事やら」


 とりあえず、惚けてみた。

 アッシュは少しだけ口元に笑みを作ると、何でもない事の様に続けた。


「いえ、何でもありません。それより、料理の方はどうですか?真紅帝国の料理ではなく、僕の母の実家がある地の料理を振る舞わせていただきました」


 アッシュもローズの件は深追いしない方針のようだ。

 この距離感が素晴らしい。


 そして、出された料理はエルフの里の料理だそうだ。

 道理で、真紅帝国特有の味の濃さがない、サッパリとした野菜料理が中心な訳だ。

 料理人もアッシュと同じハーフエルフで、エルフの里出身らしい。


 なお、肉料理がないわけではない。

 この世界のエルフ、普通に肉を食べます。身内はいかに居るので知ってます。


《エルフの郷土料理、羨ましい!》

《羨ましいですわ!》


 ミオとセラからの念話だ。

 人の食事中に横槍を入れるな。


《ぴっ!?》

《きゃっ!?わ、わたくしもですの……》


 とりあえず、2人を遠隔<恐怖>で黙らせる。


「とても美味しい。どこの料理か伺っても?」


 実際、興味はあるので聞いてみる。

 まあ、流石に教えてくれるとは思っていないが……。


「はい。ここから北東にある『未開領域』。そこにあるエルフの里の郷土料理です」


 隠さないの!!!???

 え?それ言って良いの?本当に大丈夫?


「……それは公にしても問題のない話なのか?」

「公になるのは困りますから、内緒にしていただけると有難いです。……個人的には、いっそ公にしてしまうのも有りだと思っています」


 アッシュはエルフの里の在り方に思うところがあるようで、少しだけ不快さを滲ませた。


「尤も、公にしたところで、迷いの霧があるので、辿り着けるわけでもないですが……」

「……何故、エルフの里の話を俺にするんだ?」


 正直、アッシュがエルフの里の話を俺にする理由が思いつかない。


「それは、仁さんをエルフの森に連れて行きたいと思っているからです」


 また予想外の方向に話が進んで行く……。

 それはそれとして、1つだけ絶対に聞いておくべきことがある。


「……それは強制か?」

「いいえ、当然任意です。仁さんが嫌なら、無理にとは言いません」


 アッシュはあっさりと答え、更に続ける。


「僕しか知らない事なのですが、父は今、エルフの里に行っています。……ああ、僕しか知らないというのは、エルフの里の出身者が僕だけから、話せるのも僕だけ、という意味です」


 ここに来て新情報が次々と出てくる。

 第二皇女カーマインが望んでいた、『スカーレットの本心』に関わる情報だよな?

 俺以上に詳しそうな奴、貴女の側に居ましたよ?


「父の『城で持て成せ』と言う命令の本来の目的は、父が呼ぶまで帝都で待機させる事です。そして、僕には仁さんが来た時、エルフの里に連れて行くという役割があります」

「やはり、先程の迷いの霧対策か?」

「ええ、その通りです」


 エルフの里出身者は迷いの霧を対策できるようだ。

 ……多分、居なくても問題ないのは内緒だ。


「本当は父からの使いが来てからお話するつもりだったのです。ですが、この短期間で数多くのご迷惑をお掛けし、下手をすればその前に帰られてしまう可能性があると思い、こうして説明させていただきました。正直、ここまで予定が崩れるとは思っていませんでした……」


 アッシュの表情を見ると、疲れが滲んでいる気がする。

 どうやら、説明を前倒すことで、俺が帰るのを防ごうという試みらしい。


「事情は理解した。今の時点で帰ることはしないと誓おう。ただ、これ以上問題が続くようなら、撤回する可能性がある事も理解して欲しい」


 流石に何をされても残るとは言えない。


「ええ、それで十分です。ご理解いただき、ありがとうございます。多分、数日以内に使いが着くと思うのですが……」


 その使いって、スカーレットの騎竜である竜人種クロアの事だよね?

 多分、後30分くらいで到着するよ。マップで見たから知っている。


 その後、30分程かけて昼食会が終了した。


 俺はアッシュの案内に従い、来た時とは別の出入り口から出ることになった。

 理由?元の出入り口の前には、ジョナサンやルビーの関係者が倒れているからだよ。

 アッシュ直属の部下達が、俺の元に押しかけようとしていた連中を叩きのめしたのだ。


 俺を不快にさせないように、城を案内するという名目で別の道を示すアッシュの気遣いは評価すべきだろう。

 名目とは言え、アッシュはしっかりと城の中を案内してくれた。

 そんな中、アッシュの部下の1人が近づき、アッシュに耳打ちをした。


「仁さん、先ほどお話した使いが到着しました。ついて来ていただけますか?」

「思ったより早かったな。了解だ」


 既に部屋の外、誰が話を聞いているか分からない為、アッシュはスカーレットを明示する言葉を使わない。

 なお、クロアが到着しているのは当然把握済みである。


 アッシュと共に中庭へと向かう。

 人払いされているようで、中庭には他の人はいなかった。


 唯一そこに居たのは、以前も見た黒い竜人種ドラゴニュートの女性。クロアである。

 服装も依然と同じように黒いドレスだった。


「アッシュ、お久しぶりですね」

「ええ、クロアさんもお久しぶりです」


 気安い感じで2人が挨拶をする。


「そちらが件のお方ですか?」


 クロアの問いにアッシュは頷く。


「はい、彼が仁さんです。仁さん、彼女はクロア、父の騎竜である竜人種ドラゴニュート……と言って分かりますか?」

「ああ、人と竜の2つの姿を持つ種族だよな?」

「やはり、ご存知でしたか……」


 竜人種ドラゴニュートの話はカスタールの情報提供により、徐々に広がっている。

 尤も、現時点で所在が明らかになっている竜人種ドラゴニュートはクロアだけなので、調査が進んでいる訳ではない。


「クロアさん、父は何時頃と言っていましたか?」

「3日後と言っていました。私なら、片道2時間で着きますよ」


 微妙に俺に理解のできない話を進める2人。


「仁さん、予備日を含め、2日以内に例の場所に向かおうと考えています。それまでに同行の是非を決めて頂けないでしょうか?」

「それなら、既に決めている。是非、同行させて欲しい」


 アッシュは俺が即答したことに少し驚いていた。


「それは有り難いですが、よろしいのですか?」

「ああ、普段は入れない場所に大手を振って入れる機会。見逃す手はない」


 これは本心。

 どうせ入るなら、大手を振って入れる立場の方が好ましい。


「ふふっ、そう言う事ですか」


 俺の反応が面白かったようで、アッシュが小さく吹き出した。


「分かりました。クロアさん、僕と彼の2人を乗せて飛べますか?」

「大丈夫ですよ。多分、2人合わせたよりもスカーレットの方が重いでしょうからね」


 スカーレットは<英雄の証>により体重が重く、鎧込みなら200kgは軽く超えるはずだ。

 それを乗せて飛べるクロアなら、10代少年2人くらい問題なく運べるだろう。


「少し良いか?」

「何です?」

「申し訳ないが、俺は彼女に乗る事は出来ない」


 アッシュが首をかしげる。


「それは何故ですか?」

「俺にも騎竜が居るからだ。その子が嫉妬するので、他の竜には乗れない」


 騎竜ブルーは俺が他の生き物に乗る事を嫌がる。現状、馬車が本当にギリギリ許せるラインとの事。

 竜人種ドラゴニュートなんて、絶対に許してもらえないだろう。

 多分、乗ったらガチで泣く。


「その騎竜とは、まさか……!?」


 勘の鋭そうなアッシュがハッとした表情になる。


「それは秘密」


 流石に竜人種ドラゴニュートとは言えない。

 え?言っているようなモノだって?明言しなければ、言っていないのと同じです。


「その子を呼ぶので、出発は明日でもいいか?」

「え、ええ。それは構いませんが、呼ぶ……?」

「呼べます」

「あ、はい」


 ゴリ押した。

 その気になれば今すぐ呼んで、今すぐ出発も出来るが、アリバイ作りである。


「クロアさんは明日でも良いですか?」

「はい、私は問題ありませんよ」

「それなら、明日の朝、出発しましょう」


 ああ、そうだ。

 話が終わる前に、これも聞いておかないと……。


「後、同行者は連れて行っても良いのか?」

「はい。父からも仁さんが認めた者でしたら、連れてきて構わないと言われています」


 意外とあっさりとOKが出た事に驚く。


「ただ、真紅帝国の関係者は連れていけませんので、ルージュ姉さんは連れていけません」


 肝心のルージュは連れていけないのか。

 まあ、話は伝わるから問題は無いのだが……。


「それと、連れて行くのはクロアと仁さんの騎竜に乗せられるだけにしてください。多分、僕達を除いたら、多くて2~3人くらいだと思いますが……」


 定員的な意味で制限が付くのは当然だが、今回は気にする必要がない。


「それは大丈夫だな。必要なら騎竜を増やすから。それと里の方に定員はあるか?」

「い、いえ、里に入る定員はありません。……それより、騎竜、増やせるんですか?」


 増やせます。


 こうして、明日の朝、俺はアッシュと共にエルフの里に向かうことになった。



 アッシュとの昼食会+αを終え、宿に戻って作戦会議を始める。


「エルフの里に同行したいひとー?」


 まずは同行者の確認だ。


「はい!」


 勢いよく手を挙げたのはミオだ。

 エルフ料理に興味があるのだろう。


《ドーラもいくー!》

わたくしも行きますわ」

「私も行ってみたいです……」

「当然、お供いたします」


 はい、全員行くことに決まりました。


「次は騎竜だな。アルタ、頼んでおいてくれたか?」


A:はい。既に移動中です。


 ブルーにはアリバイ作りの為、エステア王国から自力で真紅帝国の帝都まで飛んで来て貰う事にした。多分、1時間くらいで到着するだろう。

 深緑竜リーフ三日月竜ミカヅキも呼ぶのだが、天空竜ブルーの飛行速度に追いつくのは不可能なので、真紅帝国に入る辺りで『ポータル』を使わせる予定だ。


 余談だが、ブルー達には今回、少しだけ変装を施すことにしている。

 さくらに『偽装フェイク』と言う、カラーリングを変える為の魔法を作ってもらった。

 それにより、ブルーは空色から群青色に、リーフは若葉色から深緑ふかみどり色に、ミカヅキは黄色から黄土色になるよう変えて、少しずつ暗色に近づけるようにした。

 なお、姿形は一切変わっていない。


 バレないかな?バレちゃうかも?

 まあ、最悪『別竜です』とゴリ押せばいいか……。


 今後、女王騎士一行の時はデフォルト、仁一行の時は暗色寄りで使い分けようと思う。

 これは、女王騎士ジーンの正体をバラすまでは続けることになりそうだ。


 一応言っておくと、女王騎士ジーンの正体は、今後バラすことも視野に入れている。

 今のところ予定はないが、いずれ俺自身が表舞台に立つ可能性もあるからだ。

 女王騎士ジーンにはその時の為の下地になってもらう。


 大事なのは、『バラす』であって、『バレる』ではない事である。ここは譲れない。


 閑話休題。


 それから1時間後、無事に騎竜3人娘が到着した。


 帝都の外に着陸してもらい、アッシュが事情を説明した門に入れてもらう。

 ブルー達はドラゴンの従魔として、門で預かってもらう手筈になっている。

 もちろん、不埒な真似は絶対に許さない。手を出すものがいたら、死をもって贖うことになるだろう。



 そして翌日、集合場所である帝都の北門に向かう。

 ここが一番未開領域に近いからね。


 集合時間よりも前なのに、既にアッシュがスタンバイ済みだった。

 やっぱり、マメな男だね。


「おはよう」

「おはようございます。そちらが仁さんの騎竜ですか。綺麗な竜ですね」


 俺が挨拶をすると、アッシュは連れているブルー(竜形態)に目を向けて言った。

 そうだろう、そうだろう。綺麗な竜だろう。


「ああ、コイツは自慢の愛竜だからな」


 俺が撫でながら褒めたので、ブルーが滅茶苦茶嬉しそうにしている。


「そして、本当に複数の騎竜がいるんですね……」

「増やしました」

「ははは……」


 リーフ(竜形態)、ミカヅキ(竜形態)に目を向け、アッシュが苦笑した。


「アッシュ、早速出発しましょう」


 既に黒竜形態になったクロアが急かしてくる。

 時間に余裕はあるようだが、出来れば早く行きたいのだろう。


「そうですね。仁さん達もよろしいですか?」

「ああ、問題ない」


 それぞれ騎竜に乗って出発する。

 いつも通り、俺とマリアがブルー、さくらとドーラがリーフ、ミオとセラがミカヅキである。なお、セラは『フロート』の魔法で軽量化している。


 アッシュは部下が見送りに来ているが、俺の方は誰も来ていない。

 ルージュ達にも表向きは何も言っていないから当然である。


 そして、空の旅。

 アッシュとクロアに先導され、俺達はエルフの里へ向かっていく。


 正直に言うと、クロア、遅い……。

 飛行特化のブルーに及ばないのは当然としても、普通の劣風竜ワイバーンと同程度の速度しか出ていないんじゃないか?

 竜人種ドラゴニュートとしては、ちょっとどうかと思うレベルだ。


A:黒竜は戦闘に向いており、最高速度は高くありません。代わりに耐荷重が高く、防御力があるので、鎧装備の竜騎士には向いているかと思います。


 そう言う意味では、重量級スカーレットには丁度良いんだよね。


 一応、前から遅い事は知っていたが、自分で体感すると本当に遅く感じる。

 飛行特化のブルーに乗っているから、余計にそう感じるのだろうが……。


《正直、追い抜いてしまいたいわね》

《止めておけ。何のための案内役か分からなくなる》

《分かっているわよ。退屈だから言ってみただけ》


 ブルーも低速飛行のせいで退屈そうである。


 そして、空の旅が続く中、エリアが変わったことで隣接エリアが更新され、マップ上から色々な物が見えてくる。


 なるほど、そう来たか……。

 色々と面白いものが多いな。



世界樹の核

備考:世界樹の中心にして、そのエネルギーの源。条件を満たす事でその主になれる。


 説明文がまんまダンジョンコアなんですよ。

 アルタは世界樹が迷宮ダンジョンに似ていると言っていたが、亜種と言った方が正しいレベルで似ている。


 どれどれ……。

 どうやら、今現在は迷宮支配者ダンジョンマスターに相当する地位は空席らしい。

 狙い目かな?



名前:リリィ

性別:女

年齢:65535

種族:ハイエルフ

称号:エルフの姫巫女、エルフ王族、エルフの語り部、世界樹の保護者


 お次は恐らく今回の招待の目的となる人物だ。


 彼女は俺達がいずれ会おうとしていたエルフの語り部だ。

 エルフの語り部と言いつつ、明らかにハイエルフ。しかも『姫巫女』である。

 ユリが付かず、『姫巫女』の命名規則から外れている気がするが、リリィとは百合ユリの花の事なので、OKなのかもしれない。

 更に、迷宮における迷宮保護者キーパーと同じように、世界樹を保全する役割を担ってもいる。


 間違いなく属性過多である。


 アルタ曰く、現在は深い眠りについており、後2日は目覚めないそうだ。

 正確に言えば、元々深い眠りだったが、随分と浅くなり、後2日で目覚めそうなのだ。


 クロアとアッシュが言っていた後3日(1日前の時点で)とも一致する。


 なお、アルタの調べたところ、眠り始めたのは9年程だそうだ。

 ここで、スカーレットに色々あったらしい10年前と符合する話が出てくるというのは、どうにも偶然とは思えない。だからこそ、招待の理由だと判断した。


 スカーレットの件を抜きにしても、話を聞きたいくらいである。いや、聞く。



名前:フレア

性別:女

年齢:120

種族:エルフ

称号:エルフの勇者

スキル:<封印LV10>


 折角なので、もう1人エルフをご紹介しよう。

 例に漏れず<封印>されているのは、『エルフの勇者』、フレアさんです。

 なお、アッシュ君の母親です(断言)。


ローズがどのように終わってしまったのか、それは皆さんのご想像にお任せします。

仁って、相手を選ぶだけマシけど、やってること自体は大概なんだよなぁ。

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