第175話 廃坑探索と瘴気
前話の後書きですが、ジョナサンは林檎の種類です。同母の兄妹が居ます。
アッシュは赤に絡めた名前ではありません。もちろん、理由があります(ある意味ネタバレ)。
カーマインを撃退した翌日、俺達はお勧め観光ポイントである廃坑に向かった。
『朽葉の街』?ああ、完全にスルーしたよ。理由は、(恐らく)メインイベントであるカーマイン登場が街の外で終わっているからである。
「へぇー、廃坑と言っても、資源が無くなった訳じゃないのか」
「うむ、私も聞いただけの話だが、資源が無くなった訳ではなく、他の理由で鉱山として機能しなくなったらしい」
ルージュ曰く、これから向かう廃坑は10年前までは鉱山として使われていたが、何らかの理由により、ある日急に廃坑になったらしい。
ここまで聞いて、イベントが起きないと思えるか?
なお、既にマップ上に廃坑が表示されているが、ネタバレ防止の為に見ていない。
アルタが何も言わないと言う事は、危険度が低いと言う事なのだろう。もちろん、0ではないのだろう。
馬車を走らせること数時間、俺達は廃坑に到着した。
「なるほど、これは厳しいな」
《くさーい!》
入り口前の時点で、何故廃坑になったのかと言う理由が察せた。
そこは、溢れんばかりの瘴気が渦巻いていたのだ。
瘴気と言うのは魔力の淀みだ。
大気中には魔力が蔓延しているが、多かれ少なかれ淀んでいる。
一般的に、その淀みが大きくなり、黒い煙のようになったものを瘴気と言う。
瘴気にもいくつかパターンがあるのだが、この瘴気はどれに当たるのかね?
A;この瘴気は
……あ、アルタ。答えなくていいから。
自分で見に行くから。
A:承知いたしました。
「俺達はステータスも高いし、<毒耐性>があるから問題にならないけど、一般人には悪影響が大きそうだな」
「そりゃあ撤退するしかないわよね。ある意味、毒ガスが噴出したのと同じような物かな」
廃坑の現状にミオも納得している。
「カナリア……」
「止めなさい」
「ハーピィ……」
「それも止めなさい」
「エル……」
「……………………」
L:妾の事も止めて欲しいのじゃー!
ミオが
「ホントに呼ばれたのじゃ……。でも、呼ばれた以上は頑張るのじゃ!」
「仁様、廃坑に入るのでしたら、私の作る結界の中にお入りください」
「ああ、そうさせてもらう」
マリアの<結界術>も瘴気対策としては有効だからな。
「妾には瘴気など効かんから良いが、ちょっと寂しいのじゃ……」
エルは1人だけ結界の外で先行することになり、少し寂しそうだ。
「ルージュ達はどうする?」
「ここまで来て、ついて行かないという選択肢も無かろう」
「ルージュ様が行くのに、私達がついて行かないと言う事はありません」
ミネルバの言葉に他の面々も頷く。
ルージュ一行は全員同行するようだ。相変わらず、仲が良い連中だね。
念のため馬を屋敷に送り返し、馬車を<
基本的に瘴気が濃い空間には、瘴気に強い耐性のある魔物以外は立ち入らない。
また、その瘴気から魔物が発生する場合も、生まれつき瘴気に強い魔物が産まれる。
「つまり、コイツ等は瘴気に強い魔物と言う事だ」
「見たままじゃな」
目の前の魔物(死骸)を見て呟く。
真っ黒いトカゲのような魔物だ。
イヴィル・ヤモリ
LV30
<瘴気蔓延LV1>
備考:瘴気の中で活動し、徐々に瘴気の範囲を広げていく。爬虫類型の魔物。
瘴気に強いというか、瘴気に特化している魔物ですね。
名前にツッコミを入れるか悩み中……。
現在、マップの設定を弄り、視認済み領域だけが見えるようにしている。
簡単に言えば、ゲームなんかでよくある『既に通った場所』と『今見えている』場所だけがマップに表示されているのだ。
故に総数は分からない。
しかし、歩いて10分経たないのに、既に5回以上
露払いのエルが尻尾アタックで瞬殺しているが……。
「弱い魔物をいちいち潰すのは面倒なのじゃー。ブレスで一掃したいのじゃー」
「いや、鉱山で
普通に自殺行為である。
「この結界なら、多少の大爆発でも耐えると思うのじゃ」
「それはそうだけどな」
毒を通しません。空気を通します。爆風などは通しません。
都合よすぎない?
「結界が無くても、メンバーの半数は爆発でも無事だと思うのじゃ」
「その場合、我々が死ぬ可能性が高いな」
メインパーティはともかく、ルージュ達は少し厳しいかもしれない。
「のじゃ!」
またイヴィル・ヤモリがいたのでエルの尻尾アタック。相手は死ぬ。
ここに出てくるのはイヴィル・ヤモリだけなのか?
「弱すぎて、張り合いが無いのじゃー……」
「私達も大分インフレしたからね。……でも、スキルが無いとはいえ、レベル30は普通の人からしたら強敵よね。廃坑になるのも当然だわ」
エルの愚痴を聞き、ミオが呟く。
「冒険者で言えばCランクとか、Bランクが相手にするレベルだったか?少なくとも、ただの鉱夫にどうこうできる相手じゃないよな。筋肉があっても、魔物を倒さないと簡単にはレベルが上がらないし……」
この世界の歪な部分の1つだ。
個人の鍛錬よりも、魔物を倒して経験値を得た方がレベルアップによるステータスの上昇により簡単に強くなれる。筋トレも全くの無駄ではないが、効率が違いすぎる。
まるでゲームのような、摩訶不思議な
「でも、軍隊なら何とか出来そうよね?」
「冒険者ギルドはないですけど、その分兵士は精強でしたわ」
ミオとセラの言う通り、この国の軍隊なら制圧できる魔物であるのも事実だ。
だが、恐らく軍はここに来ていない。定期的に討伐しているにしては、出て来る魔物の数が多すぎる。
各地の魔物を掃討しているのに、ここの魔物は放置しているのだから、何か特別な理由があるのだろう。進んで行けば分かる事かな?
「のじゃ!」
また、イヴィル・ヤモリが出たので、エルが尻尾アタックで倒す。
「いや、ちょっと待て」
倒した魔物をよく見ると、イヴィル・ヤモリではなかった。
真っ黒な4足歩行生物なのは同じだが、ディティールが若干違う。
イヴィル・イモリ
LV35
<瘴気蔓延LV2>
備考:瘴気の中で活動し、徐々に瘴気の範囲を広げていく。両生類型の魔物。
「ヤモリがイモリになっている……」
後、少しだけ強くなっている。
……全く意味が分からない。
「倒した感触は大して変わらんのじゃ」
「魔物に爬虫類型とか、両生類型とか、違いがあるのでしょうか……?」
さくらも首をかしげる。
魔物だから、生物的な分類に意味があるとは限らない。
この世界、割とその辺いい加減だから……。
「さくら様、イモリは両生類だから、水辺が主な生息地域ですよ。……もしかして、鉱山のどこかに水場があるのかな?」
意外。ミオがイモリについて知っていた。
なるほど、生息地域の分類は意味があるかもしれないな。
そこからは徐々にイヴィル・ヤモリの出現率が減り、イヴィル・イモリの出現率が上がっていった。
……とても、ややこしいですね。
しばらく歩き、とうとう原因と思われる存在を発見した。
余談だが、一本道ではないし、マップも先の方は見ていないが、一発で辿り着いた。
「徐々に瘴気が濃くなってきたと思ったけど、これは酷いな」
開けた空間に出て、一番に目についた物、それは瘴気の泉だった。
直径50m近い黒い泉、そこに溜まっているのは、水ではなく瘴気。
先にも述べた通り、瘴気とは黒い煙だ。
だが、気体が凝縮して液体となるように、瘴気も液体になるようだ。
当然、濃度も高くなっており、悪影響も増しているだろう。
「水場は水場でも、瘴気の水場かぁ……。これは軍でもどうにもならないわね」
「精強な兵士でも、この濃度の瘴気に触れればタダでは済みませんわ」
「私の結界や、相当高レベルの耐性が無いと厳しいと思います」
それでも防げるマリアの<結界術>、超優秀。
確かに、これは国でも対処できないな。
諦めて廃坑にして放置。納得である。
なお、この廃坑、立ち入り禁止ではなかった。地元民なら近づかないし、余所者が入っても誰も困らないからな。
廃坑の周囲にも瘴気は漂っていたから、余所者も入ろうとは思わないだろうが……。
そこまで考えて閃く。
「ああ、そうか。廃坑の周囲にイヴィル・ヤモリがいなかったのは、外に出た分は軍が対処しているからかもしれないな。中まで入らないだけで、対処はしていたのか?」
「ふむ。もしかしたら、カーマインの部隊が討伐したのかもしれないな」
この廃坑に一番近い街は『朽葉の街』だ。
カーマインが廃坑周辺の対応をしていた可能性はある。
A:カーマインの部隊は『朽葉の街』で瘴気を浄化していたので、間違いないと思います。
アルタが推察を補強してくれた。
ちなみに、瘴気の浄化は<回復魔法>の仕事だ。<毒耐性>で防げることからも分かるように、基本的な扱いは毒と同じなのである。
今更の話ではあるが、カーマインは<毒耐性>が高めだった。<毒耐性>が必要な王族って……。
「そんな、瘴気を浴びてまで国民の為に魔物を倒したカーマインを、ルージュ叔母さんは国民の見ていないところでボコボコにした訳だな」
「凄く人聞きの悪い表現だ……。後、叔母さんと言わないでくれ」
ルージュがとてもとても嫌そうな顔をする。
「疲れているなら、街で休んでいれば良い。何故、態々挑発の為だけに街の外まで来るのだ」
「昔から、カーマイン様はそう言うところがありましたよね」
ミネルバ曰く、多少の無理を推してでもルージュを馬鹿にするのは昔からだそうだ。
他の兄弟や親族とは普通なのに、ルージュだけは毛嫌いしているとの事。
「私が何をしたというのだ……」
知らない内に、何かしていた可能性はあるよな。ルージュだもの。
瘴気の泉から少し離れた所で呑気にお喋りしていると、不意に違和感を覚えた。
「何だ?」
A:マスター。瘴気の泉から大量の魔物が発生いたします。
次の瞬間、瘴気の泉から大量の魔物が発生した。
正確には下記の通りである。
イヴィル・ヤモリ×48
イヴィル・イモリ×59
「見分けがつかない!」
ワサワサと動いている2種類の魔物(どちらも真っ黒な4足歩行型魔物)を見て、無力感に押しつぶされそうになる。
浅井なら、難なく魔物を見分けられただろうに……。
「倒すのに関係ないと思うんだけど……」
ミオが呆れたように言う。
それはそうなんだけど、なんか悔しい。
「それでご主人様。折角の大量の魔物だし、偶にはミオちゃんにやらせてくれない?」
「ああ、良いぞ」
「やった!それじゃあ、お言葉に甘えて……」
そう言って、ミオは『彗星弓・コメット』に魔力を込め、矢を引き、放つ。
魔力で出来た矢が一斉に放たれ、100匹超の生まれたてイヴィル・○モリを自動で追尾して貫く。
「手応え無いなー」
「知ってるのじゃ」
「だよねー」
遠距離攻撃職の常として、戦力差があると戦った実感が無くなるんだよね。
まあ、近接攻撃をしていたエルも同じ感想みたいだけど……。
「ここでは、あのように魔物が大量発生するのだな」
ルージュが考え込むように呟く。
「どうかしたのか?」
「いや、どう考えてもコレの対処が無理だと思ってな……」
「普通に考えれば、そうだろうな」
高濃度の瘴気の泉で、触れることは不可能に近く、近づくことすら困難。挙句、大量の魔物が発生することもあるとなれば、対処は不可能と言っても過言ではないだろう(一般論)。
「仁様なら、何とか出来るか?仮にもこの国の皇族として、出来ればこのような危険な場所、放っておきたくは無いのだ」
「出来るか出来ないかで言えば、恐らく出来るだろうな」
パッと思いつくだけでも、片手で足りない数の
「ならば、頼みたい。奴隷の分際で主人を使おうなどと、本来ならば許されないというのは承知の上だが……」
「良いぞ」
「え?良いのか……?」
俺があっさりOKしたので、ルージュの方が驚いている。
「ここまで来て、何もしないでサヨナラとか、有り得ないだろう?」
冒険者
珍しくて、潰した方が良いモノなら、潰さないという選択肢はない。
なお、冒険者
「そ、そうか……。それならば、頼む」
「ああ、任せておけ」
アルタ、一応聞くけど、アレは消しても良いんだよな?
A:はい。消して悪い事はありません。
さて、それじゃあ、どうやって瘴気の泉を消滅させようか。
一番簡単なのは、「<
-ゴゴゴゴゴ-
そんな事を考えていると、瘴気の泉が震え出した。
「また、大量の魔物が発生するのか!?」
「いや、少し違うみたいだな」
瘴気の泉が徐々に形を変えていく。
ルージュの言う『大量の魔物の
どちらかと言えば、これは『瘴気の精霊化』である。
魔力とは本来生命ではない。
しかし、意志を持ち、精霊となる事もあるし、精霊は瘴気を取り込むことも出来る。
魔力、瘴気、精霊と言うのは、それぞれがかなり近しい存在なのだ。
それならば、瘴気が直接精霊になってもおかしくはないだろう。
A:異常事態です。
おかしかったようだ。
しばらくすると、瘴気の泉は姿を消し、一体の精霊(っぽい何か)が現れた。
「黒い……レインか?」
瘴気の精霊は、俺の契約精霊であるレインが黒くなったような容姿をしていた。
全身は黒い、褐色を通り越して真っ黒だ。女性型で、当然のように全裸で、身長やプロポーションもレインにそっくりで、芸術作品のような美しさ……禍々しさがある。
髪もレインと同じように身長以上の長髪になっている。
生まれたばかりだからか、まだ意識がはっきりしておらず、ボーっとしている。
A:瘴気と魔力の違いを考慮しなければ、瘴気の泉は精霊が発生してもおかしくない状態でした。そして、
まさしく、レイン2Pカラーと言う訳だな。
「…………」
噂をすれば、レインがポンっと出てきた。
「どうした?」
俺が尋ねると、レインは考え込むようなそぶりを見せた後、瘴気の精霊を指差し、俺に訴えかけてきた。
「あれの相手は任せて欲しいって?」
こくこく頷くレイン。
「分かった。任せる」
レインは強く頷き、やる気に満ちた表情を見せる。
「ご主人様、良くアレだけで言いたい事が分かるわね……」
「契約しているからだろうな。何となく言いたい事が分かるんだ」
レインは喋らない。多分、喋れるけど、喋らない。
それでも、言いたい事は何となくわかるので困っていない。
レインはフヨフヨと浮かびながら瘴気の精霊(面倒なので瘴霊と呼ぶ)に近づいていく。
瘴霊の正式名称は後でミオと相談して決めよう。
-ピトッ-
-ビクン!-
-プルン!-
レインがボーっとしたままの瘴霊に触れると、瘴霊が大きく仰け反った。
形の良い胸がプルンと揺れる。
レインはしばらくの間、黙って瘴霊に触れ続ける。
瘴霊は黙って為すがままにされ、時々「ピクン!プルン!」となる。
「あの子、何やってるの?」
「分からん」
ミオが不思議そうに聞いてくるが、俺も何をしているのかは分からない。
A:瘴霊に自身の魔力を与えています。瘴霊は生まれたばかりで、自我が薄い状態でした。レインの一部である魔力を与える事で、瘴霊の性質を自分に近づけています。
最終的にどうなるんだ?
A:端的に言えば、瘴霊を味方にしています。恐らく、瘴霊との精霊契約を望まれるかと思います。
アルタの説明を聞いている間に、処理を終えたレインが瘴霊の手を引いて近づいてきた。
瘴霊はレインとお揃いで色違いの黒いクロークを着て、似たような半透明の黒い羽根で空を飛んでいた。
その闇のように深く黒い目には、先程までは無かった明確な知性が宿っている。
「…………!」
「なるほど、この子をウチの子にしたい、と……」
レインにとって、この瘴霊は妹のような存在になるそうだ。
ちょっと、普通の精霊とは性質が異なるが、そもそもレインも精霊としては異端な方なので、今更気にするような事でもない。
「分かった。でも、契約するのは良いけど……」
話の途中で、瘴霊が<精霊術>で用いる陣を飛ばしてきた。
>「大精霊」が精霊契約を要求しています。許可しますか?Y/N
瘴霊はレインと同じように自分から精霊契約を望んで来た。
この場合、精霊側が不利な契約となるので、普通は有り得ないらしいんだが……。
「本当に良いのか?」
-コクリ-
意思は固いようなので、俺は瘴霊との契約を受け入れた。
>「大精霊」と精霊契約(主)をしました。
>「大精霊」に名前を付けますか?
さっきも見たけど、瘴霊って大精霊扱いなんだな。
「名前は……」
-コクリ-
付けて欲しいみたいだ。
>「エクリプス」と名付ける
>「レイク」と名付ける
>「ゆかり」と名付ける
「それじゃあ、お前の名前はエクリプスだ」
レインと同じ、瞳の色からイメージした名前だ。
吸い込まれそうな深い闇色の瞳から日蝕をイメージした。
ちなみに、レイクの方はレインと語感を合わせつつ、瘴気の泉もとい
俺が名づけると、エクリプスはパアッと笑顔になった。
性質を似せただけあって、レインそっくりな笑顔だ。
「それで、『精霊の輝石』は……」
精霊の消耗を抑えるためには、『精霊の輝石』という鉱石が必要になる。
大精霊に相応しい『精霊の輝石』、まだあったかな?
「…………!」
「え、いらない?レインと同じく、俺の吸収した『精霊の輝石』に入る?」
レインの分の『精霊の輝石』は、俺が<
その為、俺自身がレイン専用の『精霊の輝石』の役割を持っているのだ。
そもそも、1つの『精霊の輝石』に二柱の精霊は入れるのか?
そして、一度吸収した『精霊の輝石』に新しく精霊を入れる事は出来るのか?
A:どちらも、普通は無理ですが、性質をここまで合わせ、同じ主を持っているので、例外的に可能になっています。
アルタが出来るというのなら、出来るのだろう。
俺はエクリプスに触れ、『精霊の輝石』に入れてみる。
入った。
出した。
「問題なさそうだな。同時に入れるのか?」
二柱入った。
二柱出した。
「これも問題なさそうだな。それじゃあ、これからよろしく」
-コクリ-
こうして、俺は新たに瘴気を司る大精霊、エクリプスと精霊契約をすることになった。
そして、エクリプスも喋らないんだね……。
あ、こちらがステータスです。
名前:エクリプス
LV1
性別:女
年齢:0歳
種族:大精霊
スキル:<精霊LV-><瘴気支配LV->
備考:瘴気を司る大精霊。
<瘴気支配>は瘴気の吸収、放出、拡散、変質など、大体何でもできるそうだ。
レインが精霊と魔力を支配して、エクリプスが瘴気を支配する。まさしく姉妹だな。
「と言う訳で、ルージュ、何とかしたぞ」
「私の思っていた方向とは違うが、何とかなったみたいだな。瘴気が消え、空気が澄んでいるような気さえする。本当に助かった。ありがとう」
瘴気の泉はエクリプスになったため、すでに消滅している。
エクリプスは瘴気を放つ、放たないを自由に選べる。今は周囲の事を考慮して、瘴気を出さないようにしてくれている。
結果、瘴気の泉跡地では、普通の土地よりも瘴気が少なくなっている。
「俺も満足だ。新しい精霊も仲間になったし、やっぱり、廃坑はイベントの宝庫だな」
「まあ、瘴気の泉が消えた以上、この廃坑も再度坑道として使われるだろうがな」
「あ、そっか……。廃坑じゃなくなるのか……」
俺のテンションがガクッと下がった。
もう、ここは廃坑ではなくなってしまうのか……。
「え、ご主人様、そこでテンション落とすの!?」
ミオが驚いているが、廃坑でなくなる坑道になど用はない。
「帰ろう」
魔力だろうが瘴気だろうが、女の子の姿をしていたら愛せます。