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【大相撲】

[北の富士コラム]初日早々番狂わせ 予想外の攻めに腰が砕けた白鵬

2019年9月8日 20時31分

北勝富士(手前)に寄り切りに敗れる白鵬

写真

◇8日、大相撲秋場所初日(両国国技館)

 初日に早々と番狂わせを見ることになるとは思いもよらなかった。好調とみられた白鵬が押しの北勝富士に右四つから一気に寄り切られてしまった。相手は押し相撲だけに立ち合いの当たりさえ止め、どちらでも組みさえすれば白鵬の楽勝とみていたのは私だけではなかったはずであろう。

 立ち合い左から張って右差しを狙った白鵬。思い通りに右は差したが左上手は引けない。それでも白鵬はこれで一安心と思ったはず。ところがうまく捕まえたかに見えた北勝富士が予想外の攻めを見せる。根が右四つの北勝富士がまさに乾坤一擲(けんこんいってき)の逆襲に出たのである。

 左上手の引けない白鵬が仕方なく左を引っ張り込むと、北勝富士は自分から右を深く差し込み一気に寄る。左からの攻めもうまく絞りが効いている。白鵬はこの思いがけない速攻に腰が砕ける。さしもの白鵬もこの体勢となってはとても残せない。反撃もできないまま北勝富士の寄りに屈した。

 優勝は鶴竜か白鵬と予想した私の予想が見事に外れた瞬間であった。立ち合いの張り差しの失敗が大きな敗因であるが、どうやら敗因はそれだけではなさそうだ。今の力士は稽古場では力を出さないで本場所の一番になると人が違ったように力を出す傾向にある。あまり褒められたことではないが、これも時代であろう。これを頭脳的相撲というのだろうか。白鵬もまんまとこの手に引っ掛かったのかもしれない。それとも白鵬自身の力が落ちてきたということか。

 鶴竜は難敵とみられた遠藤を油断なくしっかり料理した。実に落ち着いている。大関の栃ノ心も敗れた。内容を見てもお先真っ暗と言ってよい。初日の土俵は波乱含みであったが、なかなか活気があって良かった。特に炎鵬と照強が素晴らしい相撲でお客さんを喜ばせていた。この二人、今場所も楽しみである。

 今日は台風が近づいてきている。交通機関も混乱は必至であります。皆さん帰路、十分にお気を付けて。私もテレビを観て早寝です。お休みなさい。(元横綱)

 

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