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異世界転移で女神様から祝福を! ~いえ、手持ちの異能があるので結構です~ 作者:コーダ

第11章 ギルド編

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第170.5話 魂について

2話投稿の1話目。

短編ですが、本編で入れ損ねたそれなりに重要な要素の説明をしています。

今後、唐突に出てくることもあるので、出来れば見ておいてください。

 これは、異能のレベルが上がり、<生殺与奪ギブアンドテイク>がLV9に、<多重存在アバター>がLV7になった後のお話。


「『魂への接触』と『魂の操作』が可能となった事の副産物として、『個性パーソナル』と言う概念にアクセスできるようになった」

「もう少し詳しく」


 仁のあまりにもざっくりとした説明に対し、ミオが言えたのはそれだけだった。

 ミオだけでなく、メインメンバーの全員がハテナマークを浮かべている。


「実は、人や魔物には、スキルとは違う、個人個人のもつ性質、特性と言う物が存在する。今回、分かり易くそれらを『個性パーソナル』と呼ぶことにした」

「更にもう少し詳しく」


 ミオの合いの手を受け、仁は話を進める。


「この『個性パーソナル』は魂に刻まれた情報であり、スキル程は簡単に変化しない。……そうだな。分かり易くするため、少し例え話をしようか」


 仁は頭の中で『個性パーソナル』と『スキル』の違いについてまとめる。


「俺達の魂と言う物を、1つの粘土とイメージしてくれ」

「油粘土?紙粘土?どっち?意外と大事よ?」

「確かに、印象が大きく変わりますよね……」


 日本人組ミオとさくらが苦笑する。


「油粘土だな。繰り返し弄れるという意味では、油粘土の方が近いだろう」

「OK。イメージしたわ」

「俺達の魂は、油粘土で出来た棚みたいなものだ。スキルと言うのは、その棚に置いた小物と考えてくれ。成長するスキルは、鉢植えのトマトと考えても良いな」

「至高のサラダね」

「アレはサラダとは言わない」


 ミオが一部にしか伝わらないネタ話をする。


「話を戻すぞ。『個性パーソナル』と言うのは、スキルとは異なり、油粘土自体への混ぜ物だ。油粘土、魂本体とかなり強固に繋がり、混ざっている。そして、一度混ざるとほぼ不可逆だ」

「その『個性パーソナル』と言うのは、どの程度の影響力がありますか?スキルと同程度ですか?」


 マリアが尋ねたのは、仁の護衛として、『個性パーソナル』にどの程度の脅威度があるかが気になるからである。


「いや、大部分の『個性パーソナル』はスキルほどの影響力を持たない。ただ、意外と重要な物もある」


 少しだけ、深刻そうな顔をする仁。


「一番分かり易いのが、俺の『個性パーソナル』の1つだな」

「ご主人様、スキルは覚えられないのに、『個性パーソナル』とやらは持っているのね」


 ミオが茶化すように言った。


「それだよ。<スキル習得不可>、それが一番分かり易い『個性パーソナル』だ」

「うん!超重要ね!」


 ミオ、超納得した。


「スキルに関わる『個性パーソナル』は結構多いな。俺で言えば、<作成系スキル阻害(大)><料理系スキル阻害(特大)>だな」


 今明かされる、仁のマイナスな性質の理由。


「『(パーソナル)』が原因だったのね。もしかして、ドーラちゃんの<調剤>も?」

「ああ、<製薬系スキル補助(中)>がある。他にも、マリア達<勇者>スキル持ちには、<スキル習得補助(大)>があるな」

「マリアちゃんですら(大)なのに、ご主人様の<料理>はマイナス方向に(特大)なのね」

「それは言わないでくれ」


 仁、これまで、料理に手を出さなかったわけではない。

 出して、駄目だったのである。『肉を焼く』が仁に許されたMAX料理なのだ。


「『個性パーソナル』は、スキルの様にステータスで確認する事が出来ない。棚を見て、何が置かれているかは分かっても、棚自体に何が混ざっているか、分からないだろ?」

「でも、ご主人様は先程、『個性パーソナル』にアクセスできるようになったと仰っていましたわよね?例外もあると言う事ですわよね?」


 セラが言ったのは、仁の最初の発言だ。確かに言っていた。


「ああ、異能のレベルアップで得た『魂への接触』により、たましい混ざり物とくせいが分かるようになった。……ただ、相手の身体に触れないと、つまり、本当に魂に触れないと他人の『個性パーソナル』は分からないんだよ」


 <千里眼システムウィンドウ>では、魂の中までは分からない。

 接触によるスキャンをしなければ、魂の情報は得られないのだ。


「スキルの様に、奪ったり、与える事は可能ですか?もう1つの異能、『魂の操作』を用いれば、出来るのではありませんか?」

「現時点では不可能だ。今の俺に出来るのは、『個性パーソナル』の削除がせいぜいだな」


 マリアの問いに即答する仁。


「十分じゃない?少なくとも<スキル習得不可>は消せるのだし……。ようやく、ご主人様もスキルを習得できるのね……出来ないの?」


 話の途中で、仁の顔が苦々しい物に変わった為、ミオが恐る恐る尋ねた。


「『個性パーソナル』と魂の結びつきの強さには段階がある。把握している限りで5段階だな。今の俺には、一番下、第一段階の『個性パーソナル』しか削除できない」

「<スキル習得不可>の段階は?」

「第五段階だ」

「Oh!」


 ネイティブな発音で頭を抱えるミオ。

 余談だが、マリアの<スキル習得補助(大)>は第四段階なのに対し、<作成系スキル阻害(大)>も<料理系スキル阻害(特大)>も第五段階である。

 世界は、仁に厳しい(他の要素は別の話)。


「逆に、第一段階の『個性パーソナル』には、何があるんですか……?」


 今度はさくらが尋ねる。


「アルタ曰く、ドラゴンが持つ<竜人種ドラゴニュート嫌悪(特大)>だそうだ」

「それも、『個性パーソナル』なんですね……」

「ちなみに、竜人種ドラゴニュートの方に<ドラゴン嫌悪>は存在しない」


 仁が直接触れなくても、既に配下となった者の『個性パーソナル』は全て確認できる。

 竜人種ドラゴニュートは、1人として<ドラゴン嫌悪>を持っていなかった。


「ドラゴンの習性はてっきり、種族特性だと思っていたわね」


 この後、ミオがテイムする予定のフェザードラゴンから、<竜人種ドラゴニュート嫌悪(特大)>を削除するのは、また別のお話。


「ちなみに、種族特性は『個性パーソナル』とは別の扱いだ」


 種族固有の特性は、基本的に『個性パーソナル』として現れない。


「本当に個人に付随する性質なのね」

「だから個性パーソナルって名前の通りだろ?」


 仁にしては、まともなネーミングである。


「今のところ、『個性パーソナル』ってご主人様にしか見えないのよね?」

「ステータスに映らないからな。把握済みの『個性パーソナル』をステータス画面に追加するくらいなら出来そうだが?」

「見せて!隠しパラメータ見せて!」


 ミオ、ゲーム脳である。

 なお、仁も同じような事を考えたことはある。


「じゃあ、とりあえず俺の『個性パーソナル』を見せるよ」


進堂仁

個性パーソナル

資質系

<スキル習得不可Rank5><作成系スキル阻害(大)Rank5><料理系スキル阻害(特大)Rank5>etc

体質系

<始祖神竜の適性Rank2><鬼神の適性Rank2><魔神の適性Rank2>etc

その他

<地災竜の権能Rank4>etc

*話の都合上、一部個性パーソナルは非公開となります。


「Rankって書いてあるのが、さっき言っていた段階よね?」

「ああ、他に丁度いい記載場所が無かったから、レベルの位置に書くことにした」


 Rankが高い程、他からの影響を受けにくい、つまり、魂と強く結びついている証拠だ。

 比較対象が無いので分かり難いが、仁の『個性パーソナル』Rankは非常に高い。


「『資質系』とか書いてあるのは何?これもスキルと同じような分類?」

「ああ、今回は適当に決めたモノだけどな。資質系はスキルの習得や使用に影響する『個性パーソナル』。体質系は肉体の性質に関わる『個性パーソナル』。その他はその他だ」


 分類できない物は『その他』でまとめられる。


「災竜の能力も『個性パーソナル』なのね。スキルに無かったから、どこに反映されているのかと思ったけど……」


 『個性パーソナル』は基本的に個人の中で完結する。

 しかし、災竜関連の『個性パーソナル』は例外的に外部へ大きな影響を与える。

 そして、『個性パーソナル』は基本的にコスト不要なので、MPなどを消費しない。

 これだけで災竜の能力の異常性が伝わるだろう。


「俺の体質系とその他は、後付けで得た物が多い。<生殺与奪ギブアンドテイク>で吸収した魂の性質は、『個性パーソナル』に紐付くと言う事だろう」

「これで、今までイマイチ理屈の分からなかった部分が解明された訳ね」

「そうだな」


 今まで、スキルや異能では説明できない話があった。

 それらは基本的に『個性パーソナル』によって説明できる。


 実は、アルタも『個性パーソナル』についての知識はあった。

 しかし、その時点ではアクセスできない情報であり、確定したことが何も言えない為、あえて仁に伝えていなかったのである。


「ところで、異能は『個性パーソナル』と関係ないの?」

「異能は異能だ。スキルでも『祝福ギフト』でも『呪印カース』でも『個性パーソナル』でも無い。全くの別モノだ」

「分かってはいたけど、異能が一番意味不明よね……」


 『個性パーソナル』は異能によってアクセスできるようになった情報であり、異能によって『個性パーソナル』が増える事はある。

 しかし、『個性パーソナル』の側から異能に影響する要素は何処にもなかった。

 これは、異能が『個性パーソナル』より上位の存在である証明とも言える。

 そう、『個性パーソナル』と言う新しい理屈を理解したのは良いが、一番身近な能力が理解不能な状況は変わっていないのである。

魂関連は結構設定を練っています。

説明がクドくなるので、出来るだけマイルドにしたいと思っています。


2019/05/12改稿:

時系列とレベル間違いの修正。

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