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【社会】

川口の高1自殺 いじめ未解決に悩み「教委ウソつき」 遺族「声聞いてもらえず」

小松田さんが「教育委員会は大ウソつき」などと書いていたノートのコピー

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 中学時代にいじめを苦に三度自殺を図り、障害を負った埼玉県川口市在住の県立特別支援学校高等部一年の男子生徒が八日未明に自殺したことを受け、母親(44)が九日、関係者を通して「息子は学校や市教育委員会に苦しいと訴えてきたのに声を聞いてもらえなかった」などとするコメントを出した。男子生徒は市立中学時代のいじめが解決していないことを悩んでいたといい、自室から「教育委員会は大ウソつき」などと書いたノートが見つかった。

 関係者によると、亡くなったのは小松田辰乃輔(しんのすけ)さん(15)。小松田さんは七日深夜以降に泊まっていた市内の祖父母宅からいなくなり、八日午前一時二十分ごろ、近くのマンションの敷地内で倒れているのを発見され、間もなく死亡した。マンション最上階の十一階から飛び降りたとみられる。ノートは母親が見つけ、市教委に関しての文面には六日の日付も書かれていた。

 小松田さんは二〇一六年四月に市立中学に入学。関係者によると、間もなく、入ったサッカー部内で悪口や仲間外れなどのいじめに遭った。同年九月、担任に手紙でいじめを訴えたが、学校はいじめとして扱わなかった。小松田さんは同月十九日に自殺を図り、その後も学校や市教委が解決に動かないことに失望し、飛び降りなど二度の自殺を図り脚に重い障害を負った。

 進学した学校には毎日楽しく通っていたが、「いじめに遭うかもしれない」「先生がまた守ってくれないのでは」という不安を常に抱えていたという。

 市教委は最初の自殺未遂から一年二カ月後の一七年十一月にいじめの有無などを調べる第三者委員会を設置したとするが、母親によると、設置を知らされず、審議状況の説明や事情聴取なども一切ない。

 市教委は九日会見し、三浦伸之指導課長が、小松田さんが市教委への不信感を訴えて亡くなったことを「重く受け止める」と述べた。残されたノートの内容については「文面を見ていないのでコメントできない」とした。第三者委の会合はこれまで九回開かれ、小松田さんへの聞き取りを要望していたが、「話せる状態ではないと代理人から聞き、実現しなかった」と説明。小松田さん側は「何の説明もなく、市教委は信用できないと伝えただけ」と話している。 (森雅貴、近藤統義)

 

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