失伝第3話 風災竜
今後の予定を書いておきながら、いきなりのサプライズ更新(本編進めろよ)。
かなり短い話ですが、久しぶり(100話以上)の失伝です。
長い夢を見ていた。
そこには誰も居らず、不毛の大地が広がっていた。
私はそこで延々と空を飛び回っているだけだった。
目的も無く、ただ飛び回るだけ。
私は何のために生きているのだろう?誰も答えてはくれない。
一体、どれだけの時が経ったのだろうか?
昼夜も無く、比較対象も無い夢の中、終わることのない日々が続いて行くだけ。
……だと思っていた。
祝!この度、私は夢から覚めることになりました!
いや、ぶっちゃけまだ眠い。
後、なんか布団が重い。
あまりにも布団が重いので、ゆっさゆっさと身体を揺らし、邪魔な布団をどかす。
あ、少し軽くなった。
ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ、ゆっさ。
うん、大分軽くなってきた。
布団をどかしている内に、眠気が少なくなってきた。
仕方ない、そろそろ起きるとするか。
そして、私は目を開けた。
「ファァ……」
同時に、残っていた眠気で欠伸が出た。
ついでに残っていた布団も無くなったみたいですっきり。
あれ?近くに誰かいる?
ちょっと待って!私寝起きだから!寝起きの顔とか見ないでよ!
私はとっさに竜巻を纏い、顔を見られないようにした。
ふう、ビックリした。
心臓に悪いなぁ……。
寝起きで喉が渇いたから、水を一杯飲んで、顔も洗っておこう。
私は竜巻で海水を巻き上げ、ゴクゴクと飲みながら顔も洗う。
はー、生き返る。
-ドゴン!!!-
痛っ!痛いって!
急激に襲って来たお尻の痛みに涙目になって飛び上がる。
蹴った!?誰かが私のお尻を蹴った!?え?人間?
-ドゴン!!!-
-ドゴン!!!-
-ドゴン!!!-
-ドゴン!!!-
痛っ!?ちょ!?待って!?止めて!?痛い!?
止むことのない衝撃をお尻に受け続け、悶え苦しむ私。
流石に頭に来たので、お尻を蹴っていた人間に全身全霊、全力の攻撃を加える。
え?風が全く効いていないんですけど……。
-ドゴン!!!-
-ドゴン!!!-
-ドゴン!!!-
反撃が無意味だと知り、諦めの境地で蹴りを甘受する。
もう、どうにでもしてくれ。
そして、とうとう宇宙と呼ばれる領域近くまでやって来た。
やっと、やっと終わった……。うう、お尻が痛いよぅ……。
私のお尻を蹴り続けていた人間が何か言っている。
「さあ、戦いを始めようか。ここなら、本気を出しても周囲への被害はないだろうからな」
マジで!?
この人間、今まで私の事をさんざん甚振っておいて、今更そんな事を言うの!?
私、さっきの無意味だった反撃で全力を出していたんだよ?
私、威力は自信があるけど、攻撃のバリエーション多くないんだよ?
私、流石にこの高度だとほとんど風を出せないから、攻撃手段が更に減るんだよ?
風が効かないなら、もう体当たりとか原始的な攻撃手段しかなくなる。
あまり言いたくはないが、私は結構重い。体重は秘密だ。
流石に私の体当たりが決まれば、人間なんて一溜りも無いだろう。
やったるぞゴラァ!!!
-バゴ!!!-
痛い!!!
うぅ、思いっきり顔面殴られた。
その後も滅茶苦茶凹られた。
し、死ぬ……。
「そろそろ、止めを刺してやる」
そう言って、人間は拳を握った。
あ、アレはヤバい。なんか、殺意が凄い。多分、食らうと死ぬ。
身体が弱っていて避けられる気がしない。
あ、コレ死んだ。
いや、待て、諦めるな私。
命乞いを。何とか命乞いをするんだ。
「死ねええええええええ!!!」
命乞いの時間がねええええええ!!!
こ、こうなったら最後の手段!
私の意識を身体から切り離すしかない。
この身体は捨てることになるけど、完全に死ぬよりはマシだ。
お腹を殴られそうだから、頭の方に結晶を作って、肉体を入れる。
竜のままだと殺されかねないから、人型がいいよね。
少しでも生存率を上げる為にも、幼女の姿にしておこう。
脅威と思われたら危ないから、ひたすら弱っちくしよう。
全力で媚びを売らねば!
よし、間に合った!ギリギリセーフ!私、やれば出来る子!
これで、私が死ぬと同時に幼女の方に意識が移る。
人間が拳を握り締めて接近してくる。
あ、あんまり痛くしないでね?
ぐふっ!
是非、前話と行動を見比べてみてください。
疑問点は多いと思いますが、次回である程度説明しますので、それまでお待ちください。
なお、他の災竜の失伝はありません。