平成31年4月17日 衆議院国土交通委員会議事速報(未定稿) ◇この議事速報(未定稿)は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◇後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◇今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いいたします。 ○谷委員長 次に、小宮山泰子さん。 ○小宮山委員 国民民主党、小宮山泰子でございます。  本日は、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律案、本会議に続きまして質疑をさせていただきます。  まず最初なんですけれども、けさの国土交通委員会理事会で、下関北九州道路の新しい資料が提出されました。そこで、一点お伺いさせていただきたいと思います。通告はございませんけれども、よろしくお願いいたします。  さて、今週月曜日、四月十五日に、国民民主党の原口国会対策委員長を始めとする野党各党の議員が北九州市で現地視察を行い、六つの海峡プロジェクトのうち、どうして下関北九州道路だけ復活できたのか何度も確認をしましたが、数字が全 く示されなかったそうです。これがけさの資料につながり、平成二十八年十月七日時点で下関北九州道路についてのみ数字を用いて必要性を検討しているが、ほかの五つのプロジェクトには触れておりません。これでは比較ができません。比較が できる資料を要求されて、きょうの資料提供につながったんだと思います。  この提供資料を見ていまして、私も拝見させていただきましたけれども、今回の復活というのは、それでは、ほかの五つのプロジェクトの復活を示唆されているのかともとれますし、また、とはいえ、福田内閣のときに、経済的な状況を鑑みて、この案件は全て凍結をされていると認識をしております。あの時代よりも今の日本の財政状況は必ずしもよくなっているとは思えませんし、借金を見れば、相当膨れ上がっている部分もございます。  そこで、改めて、大臣、この五つの海峡プロジェクトとどのように比較をしたのか、比較に用いた資料の提出、また、できれば、ほかの五つの海峡プロジェクトは復活しておりませんが、復活していない状況等についての数値も含めた資料とい うものを改めて御提出いただければと思いますが、いかがでしょうか。 ○石井国務大臣 けさ理事会に提出した資料は、私が事務方に問題提起をしたものですから、それに対して事務方がどう説明をしたかという資料でありまして、これ以上の資料はございません、私に対する説明資料としては。  ただ、じゃ、なぜほかの五つの海峡プロジェクトと違うかということでありますが、ほかの五つというのは、東京湾口、伊勢湾口、紀淡海峡等々でありますが、ここには、現状、トンネルも橋もございません。関門海峡は、現状、トンネルがあ り、橋があり、そしてその現状の道路にいろいろな問題があるということがほかの五つの海峡プロジェクトと関門海峡との全く性格の異なる部分だというふうに認識をしております。 ○小宮山委員 大臣の認識、わかりましたので。  それでは、そのほかもあるかもしれませんが、改めて、比較ができるような資料の提出をお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。 ○石井国務大臣 性格の違いというのは、私、今答弁したとおりでありまして、地図を見ていただければわかりますけれども、ほかの五つの海峡には、現状、トンネルも橋もございません。 ○小宮山委員 口頭でなく、できれば資料としていただけることをお願いしたいと思います。  委員長、この点に関しましても、改めて理事会の方で御協議いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしくお願いいたします。 ○谷委員長 後日、理事会で協議させていただきます。 ○小宮山委員 では、改めまして、ぜひこの分野に関しまして、とはいえ、ほかの海峡プロジェクトにおいても、恐らく望まれている方々はたくさんいらっしゃると思いますし、その利便性というものは認識されるからこそ、最初にプロジェクト がつくられたんだと考えますと、やはりこの点に関しまして、一つだけ復活ということに関しては改めて検証は必要なのかと思いますし、ほかの道も探れることもあるのかと思っておりますので、今後ともしっかりと私どもは検証させていただき たいと思っております。  それでは、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律案につきまして質問をさせていただきます。  法律の目的におきましては、総合的な枠組みの構築、省エネ対策の強化を通じて住宅・建築物の省エネ性能の向上を図り、持続的な経済成長及び地球温暖化対策に寄与するということが求められているものであります。  そして、今回の改正案では、オフィスビル、マンション、戸建て住宅の省エネ基準への適合の推進などが行われることとなります。  しかし、この中で、さまざま民間からのお話もございますけれども、大臣が本会議での答弁におきまして、住宅・建築物省エネ対策は、中小の住宅生産者等の事業者に与える影響や消費者に与える影響などを的確に把握しながら検討を進めるこ とが重要と考えていますとおっしゃっていただきました。事業者、消費者双方に、あるいは建築業、建設業にかかわり、広範囲に経済的影響がないかという懸念が読み取れるものですから、十分な対応を行っていかなければならないと思います。 では、具体的にこのような対応事項が必要となってくるといった、対策の根拠とされているのはどのようなものなのか。事業者や消費者に与える影響について、特に注視している懸念点及び懸念が現実のものとならないようにとる対策の内容に ついてお聞かせください。 ○石井国務大臣 住宅・建築物の省エネ対策は、中小の住宅生産事業者や消費者に与える影響などを的確に把握しながら検討を進めることが重要であり、本法案に盛り込まれた施策につきましても、このような観点から慎重に検討を進めてまいりました。  特に適合義務制度の拡大につきましては、着工禁止という強い規制措置を伴うことから、市場への影響を丁寧に把握、分析することが重要と考えられます。  このため、関連事業者から供給される住宅・建築物の省エネ基準への適合状況の把握、中小工務店に対するヒアリングやアンケート調査による省エネ基準への習熟状況等の把握、省エネ基準に適合させるために消費者サイドに必要となる追加コ スト等の試算等を行ってまいりました。  こうして把握された事業者や消費者に対する影響に関する情報も踏まえまして、住宅及び小規模建築物につきましては、省エネ基準への適合率が低く、適合義務制度の対象とした場合、市場の混乱を引き起こすことが懸念されること、関連事業 者に省エネ技術について習熟していないものが相当程度存在していること、省エネ基準への適合のための投資に係る効率性が大規模、中規模の建築物に比べ低いと試算されること等の課題があることから、適合義務制度の対象とはせずに、届出義 務制度の監督体制の強化、説明義務制度の創設、住宅トップランナー制度の対象拡大等の措置により、省エネ性能の向上を図ることとしております。  さらに、本法案の施行に際しましても、例えば事業者向けの講習会の場を活用いたしまして、説明義務制度において建築士が建築主に対して丁寧できめ細かい説明を行うことを促すなど、的確な運用に努めるとともに、関連事業者や消費者に与 える影響について、十分に把握、分析を行ってまいります。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  今回、従来の、二〇二〇年以降全ての新築住宅に省エネ基準の適合を求めることは見送られることとなりました。中小工務店や建築士を始め木造住宅建築にかかわる関係者の皆様が最も関心を寄せ、影響について懸念を持たれた部分であります ので、まずは、しばらく、当面の間はというにすぎませんけれども、適合義務化が見送られたことに少し胸をなでおろしているという方も多くいるように感じております。  ただし、基準適合は見送られたものの、改正により、戸建て住宅など延べ床面積三百平方メートル未満の小規模の住宅・建築物の新築等の際、建築主から評価及び説明不要の意思表示がない限り、建築士から建築主に、省エネ性能に関して書面による説明が義務づけられることとなります。基準適合義務化ではありませんが、負担が課せられる建築士が皆、問題なく行えるのかという懸念はやはり大きいところであります。建築士の負担を軽減するため、簡易な検査法を使えるようにするなどの対応も必要ではないかと考えます。  木造住宅において、構造の強度、安全確認のための計算法として許容応力度計算法とともに、簡易な手法として壁量計算法による確認が行えます。  省エネ基準への適合判定のための計算においては、熱橋やひさしの出ぐあいにより日射が遮られるかなど詳細な計算が求められている建築単体で見れば、こうした方法そのものは理にかなっておりますが、隣地の建築物の状況など敷地固有の条件も加味されなければ、実態に合わない計算結果を求めていることとなります。  簡易な計算法として、建築物の外皮仕様、壁、床、屋根、開口部の性能を種類分け、体積や表面積などをもとにどの程度の性能を有するのかを等級、グレードで示すことなども考えられます。  省エネ性能について、必ずしも全ての建築士が現在詳しくない現状にある中で、支障なく説明義務が果たされるのかどうか懸念の声も多く、国土交通省の見解を求めるとともに、混乱が生じないように、先ほども大臣に触れてはいただいており ますが、どのような対応を行うのか、改めて具体的にお聞かせください。 ○石井国務大臣 説明義務制度に基づく建築士による説明が適切に行われるためには、建築士が省エネ基準の内容等について的確に理解をしていることが必要であり、その準備のための期間を考慮いたしまして、説明義務制度の施行日を法律の公 布から二年以内としております。  建築士を始めとする関連事業者の省エネ関連の技術力の向上につきましては、中小工務店を対象といたしました講習会を実施をしております。平成二十四年度から平成三十年度までに延べ十三万人が受講しております。  今般の建築士による説明義務制度の円滑な推進に向けて、本改正案に盛り込まれた施策に関する内容も含め、施行までの準備期間においてこうした講習会を引き続き全国各地域で行うことを予定をしております。  さらに、省エネ基準への適否を簡易に判断することができる計算シートを整備することを予定をしております。  具体的には、断熱材、サッシ、冷暖房設備等に関する設計の基本的な情報を記入することにより、簡易に省エネ基準への適否を確認できるものを考えており、こうした計算シートに関する情報についても講習会において提供していくこととしております。  また、説明を受ける消費者が本制度を適切に理解していることも重要でございますので、消費者等に対しましても、施行までの準備期間において、メディアの活用やパンフレットの作成等を通じて、本制度に関する周知を進めてまいります。  これらの取組によりまして、説明義務制度を円滑に実施するための環境整備に努めてまいりたいと存じます。 〔委員長退席、松本(文)委員長代理着席〕 ○小宮山委員 ありがとうございます。  大臣は、風通しのいい日本伝統的構法による住宅への配慮に関して、本会議答弁におきまして、「現行の届出義務制度では、所管行政庁が認める場合に、壁や窓などの断熱性能に関する基準を適用除外とするなど、伝統的構法による住宅の供給 に配慮をしているところであります。 本法案では、小規模住宅等に係る建築士から建築主への説明義務制度の創設を盛り込んでおりますが、本制度でも同様の緩和措置を適用するとともに、所管行政庁による運用が円滑に進むよう、対象とする 住宅の仕様を例示すること等を検討しております。」と述べていただいております。  新設される説明義務制度に関して、所管行政庁が認める場合の緩和措置の内容について、もう少し御説明をお願いいたします。 ○石田政府参考人 お答えさせていただきます。  まず、現行の届出義務制度におきましては、所管行政庁が気候及び風土に応じた住宅であることにより外皮基準に適合されることが困難と認める場合には、壁や窓などの断熱性能に関する基準について適用除外としますとともに、エネルギー消 費量に関する基準におきましては、一般的な住宅が省エネ基準で必要とされる設備を採用すれば、その基準を満たせるという形に緩和をしているところでございます。  現行の届出制度は三百平米以上のものを対象としていることから、伝統的な構法の住宅が対象になるケースは非常に限定的でございましたが、今回創設されます説明義務制度では、三百平米未満の住宅も対象となるため、伝統的構法の住宅が、 大部分がその説明義務の対象となってくると考えられます。  こうしたことを踏まえまして、説明義務制度の創設に当たりましては、届出義務制度と同様の緩和を適用しますとともに、所管行政庁による運用などが円滑に進みますよう、国として緩和対象とする住宅の仕様を例示することを検討していると ころでございます。  例示する仕様につきましては、例えば伝統的構法の住宅において一般的に使用されております土塗り壁等の活用の状況を一つの目安として検討したいと考えております。  また、本緩和措置が円滑に適用されますように、関連事業者に対しまして、今申し上げました住宅の仕様の例示について周知いたしますとともに、所管行政庁における認定制度の運用状況などに関しても情報提供を行うほか、所管行政庁に対しまして円滑、柔軟な制度の運用を促してまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  小規模建築物である戸建て住宅においては、環境に配慮した二酸化炭素削減や使用エネルギーの削減に向けては、建築物そのものの断熱性能のみならず、さまざまな仕様や住まい方が影響してまいります。  以前の質問でも取り上げました、日本建築家協会が実施した二十数棟の伝統的木造住宅のエネルギー使用量調査では、土壁を用いた、壁、床ともに断熱材の入っていない住宅であっても、基準エネルギーよりも数十%も少ないエネルギー使用量 で暮らしている実態が明らかになるなど、ほとんどの調査住宅では、外皮性能を満たさずとも、ほかの快適要素や暮らしの工夫で低エネルギーな暮らしが実現されておりました。  外皮性能、断熱性能については数値では評価されていますが、湿気、湿度など、居住の快適性に大きく影響するにもかかわらず、評価の指標に入らないものもございます。また、結露の問題、とりわけ外皮性能が数値上高性能となった際に増加 も想定される内部結露とどのように関係していくのか、建築の寿命や居住者の健康への影響などについての調査研究も急務だと考えております。  そこで、湿気、湿度などについての評価、取扱いの検討、内部結露と外皮性能の関係並びに建築の寿命との関係、あわせて健康への影響についての調査研究の必要性について、国土交通省の見解を簡潔にお聞かせください。 〔松本(文)委員長代理退席、委員長着席〕 ○石田政府参考人 お答えを申し上げます。  断熱性能の高い住宅の供給の促進を図る上では、適切な湿度の維持や結露の防止、これは非常に留意することが必要だと考えております。  湿度に関しましては、断熱化や気密化を図るに当たりまして、劣悪な湿度環境とならないよう、適切な換気等を行うことが重要になってまいります。  また、結露に関しましては、欠損のない適切な断熱材の施工や防湿層の設置等を講じることが一般的ではありますけれども、調湿機能が高いとされます土塗り壁等については、適切な湿度の維持を通じて、結露の防止や快適性の確保等に効果が あると指摘されているところでございます。  国土交通省では、平成二十八年度から、伝統的構法を採用しながら環境負荷の低減を図るモデル的な住宅の整備に対して支援を行いますとともに、そういった対象になった住宅におけます省エネ効果や湿度、温度等のデータの収集、蓄積を進めてきているところでございます。  こうしたデータも活用しながら、例えば土塗り壁につきましては、調湿機能による結露の防止や快適性の確保等に効果があることなども考慮しながら、先ほど申し上げました緩和対象となります住宅の仕様の例示について、そういう点も生かし ながら検討していきたいと考えております。  また、湿気によります結露が健康に与える影響や結露発生の防止策につきましても、今後調査研究を行ってまいりたいと考えているところでございます。 ○小宮山委員 これまでも伝統的構法の振興に関して質疑を重ねてまいりましたけれども、「伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験」検討委員会に関して、伝統的構法をより採用しやすくなるためのデータ整備や告示などの整備を積極的に進 めていくべきだとの観点から質疑も行ってまいりました。  改めて、伝統的構法をより採用しやすくなるためのデータ整備や告示などの整備について、昨年五月以降の進捗状況、取組、今後の見込みについて御説明ください。 ○石田政府参考人 お答えを申し上げます。  仕様規定に適合しない伝統的構法によります場合、地震に対する安全性の確保のために、建築基準法によりまして、構造計算がまずは要求されているところでございます。  このため、国土交通省では、構造計算の際に活用可能な継ぎ手や仕口、木と木のつなぎ口でございますが、の接合部のデータベースの整備を進めておりまして、専門家の確認が終了したものについて、平成二十九年三月からその利用のための公 開をしております。  昨年五月以降も、それまでに公開いたしました五十三件に加えまして、工学的な検証が終わりました十五件の接合部等のデータを追加しているところでございます。また、設計時の参考となりますように、そのデータベースの使い方を紹介する 事例の作成を今進めているところでございます。  さらに、構造計算を行うことなく伝統的構法を採用しやすくするために、実験等で安全性が確認できた壁や接合部の仕様を基準化してきているところでございます。  最近では、前回の五月にもお答え申し上げました、一階の柱と土台を鉛直の方向に固定しない接合の方法や、土塗りの垂れ壁、腰壁等の仕様について、仕様規定としてその後告示に追加をしているところでございます。さらに、現在、大黒柱な どの太い柱で構成された架構、柱とはりで組んだ構造でございますが、それについて、実験等による知見が得られつつありますので、仕様規定に今年度中にも追加をすべく検討を今しているところでございます。 ○小宮山委員 ぜひ、伝統的構法、さまざまな知恵の入ったものでありますので、これからも検討していただき、実際に建てられるような状況というのを進めていただければと思います。  さて、本会議におきまして、住宅・建築物の省エネ性能の向上を進めることにあわせて、建築物の状況を踏まえて周辺の緑化を進めることはエネルギー消費を抑制する効果があること、また、建築物周辺の緑化は居住者や利用者にとって快適で 豊かな環境の提供になること、また、建築物周辺の緑化を進めることの効果につきましても周知を進めていきたいとの大臣の答弁がございました。  国交省では、これまでも、建築物、特にビルなどの屋上緑化や壁面緑化について、エネルギー消費量低減やヒートアイランド現象対策、美観向上など多面的な目的も認めながら取組を進めてきております。建築物省エネ法に関する講習会で緑化 の効果について取り扱うことは、省エネ基準への適合を求め設計していく上で、緑化についても計算の中に取り入れていくことを可能としているのか、確認したいと思います。  また、既に義務化されている大規模建築物並びに今回適合義務化となる中規模建築物の壁面緑化、屋上緑化などを省エネ性能の計算に入れることができるようになるのか、さらには、性能評価、説明義務化となる小規模建築物についても、周辺緑化や植栽の効果について性能評価計算に用いることができることになるのか、将来に向けては、建築物本体ではないこの緑化等の活用が省エネに有効であるとの認識は、とても心強く大臣の答弁を聞いていたところでもありますが、この点に関しまして、大臣の真意を改めて確認をさせていただければと思います。 ○石井国務大臣 住宅・建築物の壁面緑化、屋上緑化を進めることや建物の状況等を踏まえて周辺の緑化を進めることは、夏季において日射の室内への流入を抑制することを通じまして、冷房に係るエネルギー消費を抑制する効果があると認識を しております。  一方で、例えば、新築時におきましては冷房に係るエネルギー消費を抑制する効果のある植栽につきましても、生物である植栽の管理が十分でない場合にはその効果が短期間で失われてしまう、そういった場合も想定をされまして、建物本体の 断熱性能に比べますと、省エネに関する効果の安定性に欠ける面が、省エネ基準に反映させる上での課題となってございます。  このため、壁面緑化、屋上緑化や植栽等の周辺の緑化の効果につきましては、現在のところ、省エネ基準への適合可否の判断要素に盛り込むことは困難と考えております。  なお、壁面緑化、屋上緑化につきましては、過年度調査におきまして、その省エネ効果等のシミュレーションを行うなど、データの集積、蓄積を進めております。これらのデータも活用しまして、専門家の方々の御意見も伺いながら、壁面緑化、屋上緑化や植栽等の周辺の緑化による省エネルギー効果につきまして、引き続き調査研究を推進をしてまいりたいと考えております。  また、本法案に盛り込んだ施策の円滑な推進に向けまして、関連事業者等に対する講習会を実施していくことを予定をしておりますが、こうした機会を活用いたしまして、屋上緑化、壁面緑化や植栽等の周辺の緑化を進めることの効果につきま しても周知を進めていきたいと考えております。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  ぜひ、今回の法案の対象からは外れていますけれども、建物というのは、それだけではやはり省エネにはならないんだと思います。さまざまな環境というものも影響すると思いますので、この性能調査を続けていただければと思います。  また、本日、大変丁寧にお答えいただいておる関係で、少し先にまず進ませていただいて、時間があれば戻りたいと思いますが、次、地方公共団体の条例による建築物エネルギー消費性能基準の付加について、質問を続けていきたいと思います。  現行の建築物エネルギー消費性能基準については、日々の平均外気温をもとに市町村単位で全国を八つの地域に区分した上で、地域区分ごとに基準値を設定する形で運用しております。しかし、同一市町村内でも気象条件にばらつきがある場合、地域によっては、国が定める基準のみでは建築物の備えるべき省エネ性能の確保を図ることができないという面もございます。  今回の改正にて、地方公共団体は、その地方の自然的社会的条件の特性により、省エネ性能基準のみによっては省エネ性能を確保することが困難であると認める場合においては、条例で省エネ性能基準に必要な事項を付加することができること とされております。  そこで、地方公共団体での条例によるエネルギー消費性能基準の付加が妥当であると認められるのはどのような場合か、詳しく御説明をお願いいたします。 ○石田政府参考人 お答え申し上げます。  先ほど先生お話ありましたとおり、現在の基本的な省エネ基準につきましては、全国を八つの地域に分けまして、市町村を基本単位として適用をしております。  ただ、先ほど先生がお話もありましたとおり、今回の条例で基準を強化するケースとして、例えば、平野部と山間部がある市町村において、気候が相対的に寒冷である山間部、こちらにおいて基準を強化する、また、南北に長い市町村におきま しては、気候が相対的に南北で異なる場合がございます。そういったときに、寒冷である例えば北部側なりで基準を強化するといったものを想定をしております。  説明義務等においてもこの基準が問題となってまいりますので、そういった意味で、なるべく地域のエリアに応じた内容で適用ができるように今回の措置を設けさせていただいたものでございます。 ○小宮山委員 それでは、条例で定めることができるというのは、通常の基準に比べて、より厳しい、高い水準を定めることができるということになるんでしょうか。あるいは、より低い水準の基準を定める形で制度の上書きも行えるのか、この 点についても御見解をお聞かせください。 ○石田政府参考人 今回の改正案におきます条項に基づく条例につきましては、よりきめ細かな形でいわば省エネの確保を図っていくための措置でございます。  したがって、強化を行うことを想定しておりまして、今回の改正を盛り込みます制度において、基準の緩和を行うことはできない形になってございます。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  エネルギー消費性能基準を示して、同基準への適合を求めていくことのみを突き詰めていきますと、建築物は高気密、高断熱化を進める外皮性能向上への基準へとなっていくのではないでしょうか。  しかし、住宅において省エネを達成するもう一つの枠組みとして気候風土適応住宅があり、各地域の特定行政庁がその地域の気候風土に適した住宅について独自のガイドラインを認定することができるものとされております。  短期の利益誘導を目的とする家づくりに対して、気候風土適応住宅は正反対の位置にあります。断熱材を例にすれば、量産型住宅でよく使われる発泡プラスチック系の材料は、断熱性能ではすぐれておりますが、廃棄処分方法が不確定のままなのが現状です。近年、海洋微小プラスチックごみ、マイクロプラスチックごみの問題に対して、SDGsへの取組などでも議論を集めるところとなってきております。  断熱性能が高い、省エネルギー性能が高いというだけで採用していくことばかりが正しいとは言えないのが、環境に着眼していかなければならない現代の課題だと考えます。  気候風土適応住宅は、国のガイドラインにおいて、地域の気候及び風土に応じた様式、形態、空間構成、そして構法、材料・生産体制、景観形成及び住まい方などの特徴を多面的に捉えている住宅であることにより、外皮基準に適合させること が困難であると想定させる要素を含む住宅であることと定義されております。  複数の行政区において検討もされてきましたけれども、省エネ基準への適合義務化が見送りになったこともあり、議論は鈍化、あるいは、地域によっては議論そのものが消滅していると聞いております。  今回の改正による地方自治体での条例によるエネルギー消費性能基準の付加と気候風土適応住宅のガイドライン認定とはどのように関係してくるものなのでしょうか。省エネ性能基準に関して地方自治体が独自の判断により条例で定めることが できるようにするに当たっては、基準の強化について定めるだけではなく、例外規定のような形ででも、地域の気候、風土や暮らし方を反映させる基準のあり方が、建築物、特に住宅に対して行えるようにしていくのがよいと考えますが、見解を お聞かせください。 ○石田政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘ありました、地域の気候、風土に適応した住宅につきましては、これまでも、大規模、中規模の住宅に係ります届出義務制度の運用に当たりまして、所管行政庁が認める場合に、壁や窓など断熱性能に関する基準を適用除外とするなど、 地域の気候風土に適応した住宅に配慮を行っているところでございます。  今回、説明義務制度を導入することにより、これまでは余り対象になっておりませんでした伝統的なそういった住宅が、規模の小さいものも説明義務の対象になることから、そういった地域の気候風土に適応した住宅の供給配慮の観点がより一 層重要になると考えております。さっき申し上げました届出制度に係ります緩和措置と同様のものを説明義務制度においても適用することとしております。  また、さらに、ニーズがふえるだろうことから、所管行政庁によります基準の緩和手続がより円滑に進みますよう、国において、緩和対象とする住宅の仕様を例示することを検討しているところでございます。 ○小宮山委員 本年二月三日には、埼玉県の飯能市内の会場にて、和の住まい推進リレーシンポジウム・イン飯能が開催されております。主催は埼玉の木づかい運動実行委員会、共催として、飯能型気候風土適応住宅推進協議会が開催されました。  リレーシンポジウムでは、国土交通省、林野庁、観光庁からも取組についての講演の後、どうしたらもっと当たり前に、普通に、ふだんに木の家に住むことができるかについて、さまざまな立場から意見交換が行われたと聞いております。  飯能型気候風土適応住宅推進協議会は、飯能地域に即した、飯能型の気候風土適応住宅のガイドラインについても検討されています。地域材の使用の基準、屋根、外壁、開口部、壁、床、建具などの仕様、金具に頼らない接合や小屋組み、軸組 みなどの構造などについてガイドライン案で示されております。  行政は一般的に、間違いのないように、判断によって不利な事象なども生じないようにと慎重に政策決定をしていくという面があると思います。  せっかく地場産の木材を活用して良質な木造建築、木造住宅を振興していこうと熱意を持っているところがあっても、さまざま慎重な対応によってはしぼんでしまいかねず、また、現に、今回の小規模建築物での省エネ機能適合が先送りになったことで、各地で気候風土適応住宅の議論が下火になりつつあります。  気候風土適応住宅についての議論が下火になっている理由の一つには、法的位置づけの弱さというのもあると指摘がされているところでもあります。せっかく検討も進みつつあった気候風土適応住宅はよくできた適用除外の取組だと思っており ますが、より位置づけを明確にしていく必要があると思いますが、この点に関しまして、大臣の見解をお聞かせください。 ○石井国務大臣 気候風土適応住宅に対する省エネ基準の緩和措置は、断熱性能は高水準でなくとも、通風の確保など地域の気候、風土、文化を踏まえた工夫の活用により、すぐれた居住空間の確保を図る伝統的構法による住まいづくりの重要性 に配慮をして措置されたものであります。  本法案により創設され、同様の緩和措置が適用される説明義務制度の施行に当たりましては、こうした緩和措置の趣旨について、関連事業者等への理解を促すことも重要と考えております。  こうした観点から、建築物省エネ法に基づく建築物のエネルギー消費性能の向上に関する基本的な方針におきましてこうした内容を明確に記述するとともに、今後実施していくことを予定をしております関連事業者等に対する講習会におきまし ても、周知を進めていきたいと考えております。  さらに、気候風土適応住宅につきましては、説明義務制度の運用に当たって、建築士から建築主への省エネ性能に関する説明の際に、本緩和措置の趣旨についても情報提供を促してまいりたいと考えております。  これらの取組によりまして、伝統的構法による住宅の供給と省エネ性能の向上の両立に取り組んでまいりたいと考えています。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  日本の伝統的構法によってつくられる住宅や建築物というのは、自然とともにあるというのが一番の特徴かと思います。 また、その中では、床の間、掛け軸などによって四季を感じたり、冠婚葬祭であったり、さまざまなことの形状ができたり利用ができる。そういう意味では、想像力を豊かにすることのできるのも、伝統的建造物でつくられた和の住まい方かと思っております。  国交省では、現在も、和の住まいの推進として、日本の、さらにそれぞれの地域の住宅のあり方を捉えつつ、それらがつくり続けられる意義を提示しております。  気候風土適応住宅の議論は、まさに和の住まい推進そのものであり、国土交通省でしっかり後押しをしていくべきであると考えております。この点に関しましての大臣の御決意をお聞かせください。 ○石井国務大臣 和の住まいの推進は、我が国の各地域の気候、風土、文化に根差した住まいづくりを通じまして、伝統的な住まいの文化のよさの再発見と普及につながるとともに、伝統産業や観光業などの振興、地域の活性化に資する重要な課 題と考えております。  平成二十八年三月に閣議決定をいたしました住生活基本計画におきましても、目標と基本的な施策の一つとして、伝統的な技術の承継、発展を掲げ、地域材を用いた良質な木造住宅や和の住まいの普及啓発等を推進することを位置づけておりま す。  このため、伝統的な住まいの要素や住まいの知恵等をわかりやすくまとめた手引書、「和の住まいのすすめ」を国土交通省のホームページに掲載するほか、全国各地における和の住まいリレーシンポジウムの開催等によりまして、和の住まいの 推進に取り組んでいるところであります。  気候風土適応住宅の供給は、地域の気候及び風土等に根差した住まいづくりに寄与するものであり、和の住まいの推進の一環として進めることが重要と考えております。  このため、和の住まいに関するシンポジウム等におきまして、気候風土適応住宅に関する情報につきましても積極的に提供するなど、和の住まいの推進と気候風土適応住宅を連携して進めることによりまして、地域の気候、風土等に応じた住ま いづくりを積極的に促進してまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 昨今のマンション等や住宅には畳の部屋もないという意味においては、和の住まいというのがなかなか認識がしづらいというのも現実だと思いますので、この点に関しましてはさらなる進めをしていただければと思います。  一番最後、先ほど飛ばしました既存住宅の建築物の省エネに関して、新築だけではなく既存ストックの対策というのが大変重要かと思います。  これにつきましては、省エネリフォームに対する財政上の支援の充実というのもさまざま努力をされております。既存ストックでの省エネ改修について、広報の仕方、工夫などによって、大手だけが、やはりその利益に資するのではなく、個人 事業主であったり工務店であったりとか、地域においても資するべきであることは多々あるかと思います。  最後に、消費者が取り組んでみようと第一歩を踏み出しやすいようにするべきと考えておりますが、この点に関しまして、国交省の取組について御説明ください。 ○石田政府参考人 お答えを申し上げます。  御指摘のとおり、既存ストックに係ります改修の対策を推進することは非常に重要であると考えております。  ただ、既存ストックの省エネ改修につきましては、改修前の住宅の状況や改修の内容などに応じまして、必要となる費用またその効果が大きく左右されるという特徴がございます。このため、どういったケースでどういった改修を行うことが効 果的か、また、どういう支援制度が活用できるかなどについての情報を消費者や地域の中小の工務店に提供していくことが非常に大事だと思っております。  具体の改修事例の分析などによりまして、効果的な省エネ改修の進め方、また具体的事例を整理して消費者や中小工務店に提供いたしますとともに、先ほど一部答弁させていただきましたが、ヒートショックの防止等の健康関係のそういった情 報もあわせて周知を図っていきたいと思っております。  また、中小工務店におきます省エネ改修を支援するため、今年度からは、中小の工務店等の関連事業者によるグループで省エネ性能等のすぐれた木造住宅の供給を支援する地域住宅グリーン化事業の補助対象に、既存住宅の省エネリフォームと いうものを新たに追加するという取組もさせていただいております。  こういった取組によりまして、既存ストックの省エネ改修の促進を進めていきたいと考えております。 ○小宮山委員 ありがとうございました。