女系は論外であり、女帝は混乱を招くだけだ
さて、秋の臨時国会以降、皇室典範の改正が争点化するだろうと見做されている。 この期に及んで、女帝を押し切り、皇室そのものを作り変える女系天皇への道を切り開こうとする邪まな陰謀が蠢動している。 女系天皇は論外である。先例が無い。さすがに今の状況で女系天皇を唱える人間など、極端な主張が生き甲斐の目立ちたがり屋しかいない。皇室の話をしているときに、得手勝手な理屈で先例を無視する論者に耳を傾けるなど、時間の無駄だ。現実の政官界でも、確信的女系論者は牙を隠し、女帝を押し出している。 そこで聞く。今の時期に女帝、すなわち「愛子天皇」論を主張する意味が分かっているのか? 五つの質問をする。 質問一。「愛子天皇」が実現した場合、悠仁親王殿下の皇位継承順位は、どうなるのか? 質問二。悠仁親王殿下の皇位継承順位が下がった場合、「お前は後回しだ」と言う覚悟があるのか? 質問三。先例に従えば、女帝は未亡人か生涯独身である。愛子殿下に、「あんたは一生、結婚するな」と言う気か? 質問四。仮に新儀により愛子天皇がご結婚されたとする。現行制度では、悠仁親王殿下と結婚されない限り、相手は民間人である。お二人にお子様ができた場合、皇位継承権はあるのか。 質問五。そもそもである。 天皇陛下が「愛子を天皇にしてくれ」と一度でも公の場で、仰ったのか。聞いた者がいるのか? 冷静になれ。正統な皇位継承資格者である悠仁親王殿下がおわすのに、なぜ女帝なのか。 我が国は、神武天皇の伝説以来一度も途切れることなく、皇室の伝統を守ってきた。その歴史は、悠仁親王殿下が背負われている。日本国民の義務は、悠仁親王殿下をお守りし、殿下がご即位あそばされた時に備えて皇位の安定継承をはかることだ。 女系は論外であり、女帝は混乱を招くだけだ。本欄で何度も強調してきたが、旧宮家を復活させればよい。 もし安倍首相が政治家として歴史に名を残したいなら、皇室典範の改正により、旧宮家を復活させるべきだ。その折には有識者会議を開かれるだろう。そこに、皇室史学者を名乗る不肖倉山満を招けば、正論を開陳するに吝かではない。
内閣改造で「皇室典範担当大臣」を設置せよ
申し訳ないが、上皇陛下の御譲位の際に招集した有識者会議は、無知蒙昧(むちもうまい)な愚か者の見本市と化した。中には陛下に対し、人として失礼な言を吐いた輩もいる。あれらの如き逆賊どもを呼ぶなら私の方が百万倍マシだが、安倍首相に私を呼ぶ度胸はあるまい。 そこで、極めて現実的な提言をする。9月に行われる内閣改造で、「皇室典範担当大臣」を設置せよ。そして、大臣の人選は今の自民党を見て適任者は一人しかいない。 衛藤晟一首相補佐官である。参議院当選3回。衆議院でも4回当選していて、入閣資格は申し分ない。安倍内閣で6年間、首相補佐官を務め、皇室や歴史の問題、いわゆる保守の根幹にかかわる政策を担当してきた。長年の安倍首相の兄貴分でもある。 “アベノシンジャーズ”は、「安倍さんに高いハードルを課すな」と批判を封じるのが常だったが、閣僚任命権は首相の専管事項である。障害は何もない。ただし、いずれは女系天皇を実現して皇室を解体したい邪まな勢力に喧嘩を売ることになる。安倍首相に覚悟があるかだけだ。 また、これまで「皇室の問題では安倍さんはしっかりしている。他の人では心もとない。だから安倍内閣に続いて貰わねばならないので、批判するな」と言われてきた。ならば、これくらいのことはやってもらおう。 私は今の安倍内閣に積極的不支持だ。6年も何の実績も残せていない無能が理由だ。 だからこそ、その私を唸らせる政治をしてもらいたいものだ。如何?
憲政史研究家 ’73年、香川県生まれ。’96年中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程を修了。在学中より国士舘大学日本政教研究所非常勤職員として、’15年まで同大学で日本国憲法を教える。’12年、希望日本研究所所長を務める。同年、コンテンツ配信サービス「
倉山塾」を開講、翌年には「
チャンネルくらら」を開局し、大日本帝国憲法や日本近現代史、政治外交について積極的に言論活動を展開。ベストセラーになった『
嘘だらけシリーズ』など著書多数