@chablis777
シャブリ

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・(風の音)
(行軍する音)
(四三)スヤ… お義母さん… 子どもたち…許してくれ。
(戸を閉める音)
(おりん)今度の引っ越しはさすがに荷物が多いね。
(孝蔵)やっ!えい!あっ!
えい!いてっ にゃろう…。
やっ!あっ この野郎。
(志ん生)<昭和11年2月26日 午前5時。雪道を踏み鳴らす軍靴の音が赤坂表町へ向かっておりました>
・(行軍する音)
(是清)そのオリンピックとやらはお国のためになるのかね?
(田畑)お国のためにはなりませんな。
ならんのかね。なりません。しかし 若い者には励みになります。
(女中)ああっ ああ…。
その若者の力を国を豊かにするために 生かすも殺すも先生方次第… でしょうな。
(時計の時報)
(中橋中尉)天誅~!
昭和維新 断行!
(銃声)
(菊枝)あなた… あなた… 起きて下さい。
♪~
(行軍する音)
♪~
<これが 首都 東京を震撼させた二・二六事件の始まりでした>
♪~
「よ~うっ!」(鼓の音)
♪~
♪~
♪~
♪~
♪~
♪~
「よ~うっ!」(拍子木の音)
(緒方)号外出すぞ。 いつでも刷れるようにしといてくれ。はい!
(細田)とても駄目だ!警視庁も軍隊に占拠されて近づけない。
クーデターですか?陸軍だそうだ。首謀者は皇道派の影響を受けた青年将校。「昭和維新 尊皇斬奸」をスローガンに決起だ。
岡田首相がやられたらしい。(一同)えっ!?
(緒方)こりゃ… 五・一五の比じゃないぞ。℡
おい ほかには?渡辺錠太郎教育総監が殺害されたと。
よし 1時間で紙面 組むぞ。(一同)はい!
(尾高)緒方さん 緒方さん!
内務省から…一切の記事を差し止めろって。
何!?
(美川)全く意気地がないな~ 金栗氏は。本当なら ラジオで流れるはずだろ。
(勝)駅長さんが言うとったけん暴動の起きて 東京は大混乱。
だけん 家出は中止。行っても かえって迷惑のかかるけん。
(クラクション)
(おりん)ほら 風邪ひくから中入ってな。
遅えじゃねえか! えっ?こちとら 昼から ラジオなんだ。 あっ?
雪のせいかい?旦那~ ご存じねえんですか?
(志ん生)「旦那 ご存じないんですか?兵隊が武装してクーデターってのやってて大変ですよ」。
…って 私は 二・二六事件のことを運送屋から聞いたんです。
現在 占拠されているのは首相官邸 警視庁 それと…。
℡(緒方)陸軍官邸はどうだ?
あああ~!
(緒方)何だ!? どうした 田畑!?緒方さん 電話です!
あっ あっ…!緒方さん 大阪本社から!
何だ 何だ 言葉で言え 言葉で。あっ あっ… ああ~!
何だ!?
(悲鳴)
♪~
将校が… 一番偉い人に会わせろって。えっ?
私が行こう。
(ため息)
ああ… 残念だがこれで最後になるかもしれん。
私が緒方だ。
この社の代表者だ。
(中橋)高橋是清に天誅を下してきた。
国賊新聞をたたき壊すのだ!
ちょっと待ってくれ!ちょっと待ってくれ!
ちょっと待ってくれ…。
中には 社員は もちろん女 子どももいる。
まずは それを出す。だから… ちょっと待ってくれ。
みんなを退避させろ。やつらに屈するんですか?
残って 変なものまで刷らされたらかなわん。 みんな 出ろ。
ここで ふんばらなければ言論の自由は終わりですよ。
しかし 田畑…。この先 ずっと我々は変なものしか刷れなくなりますよ。
あいつらは… 高橋是清を殺したやつらだ。
全員 外へ出せ!出ろ!
出ろ みんな! 行け!
出ないやつは殺すぞ! 出ろ!
♪~
おい!
おい!
やめろ やめろ… 田畑 おい!
おい… おい!
田畑!
や~!
ああ~!
田畑 やめろ!
やめてくれ!ううっ ううっ…。
やめろ 田畑! 田畑 出ろ!ああっ あっ あっ…!
大丈夫か!? おい!
♪~
(ざわめき)よいしょ…。
(五りん)あれ? 師匠サゲないで下りてきちゃった…。
おしまい。 お茶をくれ。はい。
(美津子)お父ちゃん…。
あの時代の噺は駄目だな。笑いになんねえや。 はあ…。
五りん 悪いけどね あと頼んだよ。ええっ!?
改めまして 五りんです。
(拍手)
え~… 何 話しましょうか?(笑い声)
(五りん)何か ありますかね?
(観客)「目黒のさんま」。「目黒のさんま」…。
「目黒のさんま」… え~ 「目黒のさん」…。
いや お客さん さんまは目黒じゃ取れませんよ。 海ないもん 海。危ない 危ない…。(笑い声)
(五りん)<何せ 前代未聞のクーデター事件。政府は報道を差し止め 新聞もラジオも事件を伝えられずにいた>
「さんまとは何じゃ?」。「え~ 下魚でござりまする」。
「そうか。 よし 余は それを食すぞ」。
えっ?何してんの! 演芸は中止!
帰った 帰った!
<第一報は 事件発生から 15時間がたった午後8時半>
臨時ニュースを申し上げます。臨時ニュースを申し上げます。
陸軍省 発表。
(ラジオ)「本日 午前5時ごろ 一部青年将校が『昭和維新』を標語に決起し首相官邸ら 都内主要機関を襲撃せり。将校らの決起せる目的は…」。(戸が開く音)
「その趣意書によれば内外 重大危急の際 元老 重臣 財閥…」。
ただいま 帰りました。
(幾江)し~っ 大事なとこが聞こえん。(スヤ)ごはん そこ。
あっ… あの~ 書き置きは…。
(幾江 スヤ)し~っ!
「占拠されたのは 首相官邸 警視庁斎藤内大臣私邸 渡辺教育総監私邸高橋是清大蔵大臣私邸」。
(号砲)いけ~! いけ~!
ゴー ゴー ゴー ゴー ゴー!ゴー ゴー!
(拍手と歓声)
(一同)ばんざ~い! ばんざ~い!
君は 怖いものなしだな~。(笑い声)
(銃声)
(ラジオ)「勅令が発せられたのである。既に 天皇陛下のご命令が発せられたのである」。
<首都機能が占拠されるという事態を受け政府は戒厳令を敷いた。反乱軍は 29日に投降したが依然 東京は厳戒態勢のままであった>
(ラジオ)「逆賊とならなければならない。正しいことをしたと信じていたのにそれが間違って…」。
(菊枝)あなた… ねえ あなた…。
まーちゃん… まーちゃん 起きて。
まーちゃん…。
また2~3日 会社に泊まり込みだ。
あれを。あっ 下着でしたら かばんに。
ああ…。あっ まーちゃん。
どうせ 検閲が入ってろくな記事など書けんだろう。
あっ それから…まーちゃんと呼ぶのは2人…。
(山本)田畑さん!あっ 山本さん どうしました?
ラトゥールがサンフランシスコを出港しました。
何? 来るのか こんな時に。
2週間後 横浜に着くそうです。嘉納さんは 何と?
「こんな時だからこそ オリンピック」と。
どんな時でもオリンピックだろ あの人は。
すぐ行きます。はい… 奥さん お邪魔しました。
シャツ… アイロンかけますから少し待って。
俺は怖い…。
是清さんも犬養さんも…俺が関わった政治家は 次々に殺された。
話せば分かると言った犬養さんは話の通じんやつらに殺された。
ロサンゼルスの年だ。
その4年後ベルリンの年に是清さんが殺された。
次は誰だ!? 緒方さんか? 河野か?俺か!?
そのように考えてはいけません。
記者になど なるんじゃなかったよ。
記者じゃなかったら もっと能天気にオリンピックに邁進できた。
なまじ 政治に片足突っ込んでるから齟齬が生じる。
「こんな時だからこそオリンピック」の「こんな時」がどんどん悲惨な状況になっていくのを記者の田畑は見過ごせない。
だったら… やめたらどうです?
やめる? 記者をかね? それとも…オリンピックをかね!?
答えろ おい!
それによっちゃ たとえ 君でも…。
どちらにしろあなたの忙しさが半分になる。
夫婦の時間が増える。新婚旅行にも行ける。
いや… あっつ!
タバコの本数が減る。
私には いいことばかりです。
悪いことは何だ!? えっ?
来ないんだぞ!? あれが 東京に!
あの興奮や感動を知らずに君は死ぬのかね!? えっ?
冗談じゃない!新婚旅行など いつでも行ける!
できました。貸せ!
何だ これ…。
(ドアが開く音)
(治五郎)田畑 遅い!ラトゥールが来るんだぞ ベルギーから!
東京で オリンピックを開催できるか否かIOC会長自ら 品定めに来るんだぞ!?
知ってますよ 新聞読んでますから。
(牛塚)「最近の東京事變はオリムピツク招致問題に對しては何ら影響を與へるものではない」。
さすが我が友 ラトゥール。分かってる。
分かってないよ!あんたら2人とも どうかしてんだよ!
戒厳令ですよ。
剣つき鉄砲 構えた兵士がそこら中に突っ立って にらんでやがる。
いつ 反乱軍と鎮圧軍で戦が始まるか…民間人が巻き込まれるかも分からない。
そんな東京で お祭りですか?
こんな時に オリンピックですか?
頭 どうした?
やられましたよ 反乱軍に。
嘉納さん あんた 本気でこの日本で 今オリンピックがやれると思ってるのか?
俺 無理だと思う 正直。
寝てないし…怖いし!
死にたくない!
♪~
でも やりたい!
だから嘉納さん あんたが本気ならついていく。
どうなんだよ!? やれんのかよ!?
やれるとか やりたいとかじゃないんだよ。
やるんだよ!
そのためなら いかなる努力も惜しまん!
よ~し 分かった! やりましょう!
今後一切 後ろ向きな発言はしません。
皆さんも…オリンピックをやるんです 東京で!
これ… 家内が作りました。どうぞ! どうぞ これ…。
家内が作りました。 どうぞ。
ベルギーの国旗。ええ。 どうぞ どうぞ…。
振りましょうよ。
(牛塚)いい奥さんだな…。
<ラトゥールを迎える前にちょっと おさらいです。何としてもオリンピックを開催したい日本は最大のライバル ローマに開催を譲ってもらうという約束を取り付けた。相手は イタリア首相 ムッソリーニ。しかし…>
(杉村)ノー ノー ノー ノー…。
<ラトゥールを怒らせてしまった日本の作戦は…?>
東京に呼んだら どうだろう?
謝りついでに東京を視察してもらうんだよ。
至れり尽くせりのおもてなしで接待するんだよ。
(副島)優先すべきは神宮外苑競技場。オリンピックのメイン会場を見て頂くこと。
歌舞伎や相撲なども視察し日本文化にも触れて頂きたい。
(山本)これは… 戒厳令下の東京を横断することになりますな。
…となると 専用の車が必要ですな。抜け道に詳しい運転手も。
それなら… ふさわしい男が一人いる。ふさわしい男?
ライトマンがね。
3月19日 IOC会長アンリ・ド・バイエ=ラトゥール伯爵が東京に到着しました。
いいか? おもてなしだからといって卑屈になってはいかん。
あくまでもナチュラルに。はい。
自然にだ。 なっ?自然にね 自然にいこう。
ナチュラルに。はい。
ラトゥール ばんざ~い!あっ!
(一同)ばんざ~い! ばんざ~い!ばんざ~い!
♪「走れ大地を 力の限り」
♪「泳げ正々 しぶきをあげて」
ざまあみろ~。 ハハハハハ。
ミスター牛塚。
ウェルカム 東京。
心から 歓迎します。
あ~ 副島。
ウェルカム トゥ トウキョウプレジデント。
<見ました? ラトゥールの顔色が今 さっと変わりましたな>
ラトゥールさんこの度の訪日のご用件は?
<招致委員会によるラトゥール全力接待作戦が始まりました>
(清さん)遅いよ 旦那。何か 人 集まってきちゃったよ もう。
おい… 何だ? 君は。
あ~ 今日は陽気がいいから隅田川を下るのがいいんじゃねえか?
(小梅)桜の季節だしね~。ああ。
答えろ。 「何だ? 君は」と聞いている。
清さんです。
清さんだそうです。ああ 清さんだよ。えっ?
<治五郎先生のライトマンこそ元車夫の清さんでした>
嘉納治五郎の頼みとあっちゃ断れねえだろ。
じゃあ 田畑君 ガイド よろしく。えっ?
あんた 最後のお勤め しっかりね。ああ 行ってくるよ。
よし… あらよっと!
「あらよっと」じゃねえよ… えっ?待って 待って…。行ってらっしゃ~い。
何で 俺? ねえ…。待て… ちょっと おい…。
何で 俺まで… おい。
<一行は 隅田川沿いを桜を見ながら新橋方面へ流し歌舞伎を鑑賞して 芝の料亭で会食。そして この日は オリンピックのメイン会場 明治神宮外苑競技場の視察。勝負の日です>
(治五郎)ほぼ完成という時に関東大震災が起こりここを避難所として一時期 東京市民に開放しました。
おい 田畑。俺?あれ あれ。
約5,000人の避難民がここで生活しておりました。
俺も住んでたよ。ここで運動会もやったよな。
ああ。 うるさい自治会長だった 清さん。ハハハハ…。
アントワープの大会は実に すばらしかった。戦争で痛手を受けた町で あえて開催したあなたの決断に感銘を受けた。この東京も 震災で被害を受けたが13年かけて ようやく立ち直った。
♪~
だからこそ 私は やりたい。ここで オリンピックを。
アッ! ハハハ…。
カナクリ!(笑い声)
ノー ノー ノー ノー…あれは 孫基禎と南昇竜。
朝鮮から来て 頑張ってる選手です。
(清さん)マラソン日本代表の最有力だ。2人とも 金栗さんに憧れてハリマヤの足袋で走ってんだ。
サンキュー。
<明治神宮を参拝したあと岸 清一体協会長の墓に花を手向けYMCAプールを視察し寄席にも足を運んだんだそうです>
こう… 蒸しへかけて シュ~ッと脂を取っちゃった。(笑い声)
…でもって小骨が あっちゃいけないってんでこう みんなでもって毛抜きで 一本一本…。
フィッシュボーン…。
さんまが クチュクチュになっちゃった。(笑い声)
何だ 何だ? どうした?
今日 いいよ。 今日 いいよ あれ。えっ そうかい?
チュパ~ッと こう脂が跳ね回ってるやつが出てくると思ってたもんだから…。
「これが さんまか?おっ… いや~そちも堅固で何よりであった。お~ めでたいな~」。(笑い声)
「これ… 即答を許す。このさんま いずこで仕入れたか?」。
「はっ 日本橋 魚河岸にございます」。
「日本橋? それでいかん」。
(田畑 孝蔵)「さんまは目黒に限る」。
(小声で)ちょっとうるさいな お前…。(笑い声)
(拍手)よっ! いいぞ!
馬生! 馬生! 馬生 いいぞ!
どうだい? 暮らしは。 貧乏か?
カツカツだよ。
ガキが3人いるからね。フフッ 3人も!どうりでな~。何だよ?
腹決めたって感じがしたよ。
頼んだぜ 孝ちゃん。世の中 ちっとも よくならねえからよせめて 思いっきりバカ笑いさせてくれよ。なっ?
早く出せよ 俥屋。 早く。
おっ?ネクストは ここね 二重橋。
ダブルブリッジね。あれ? 浜松の河童!
うん?お前 河童を運んでんの?
河童? 河童?ダブルブリッジ。
おい… 何で こんなとこ通んの?近道なんだよ。 急いでんだろ?
いや だけどさなにも こんな汚え路地…。
ストップ ストップ ストップ…。
ほら 興味持っちゃったよ。 ほら。あ~ あ~ あ~。
おお…。おお… とっとっと…。
ホワット イズ… ホワット イズ ディス?えっ?
何って…。ちょっと ちょっと…。
ベーゴマ けん玉 あと ゴム跳び…。
♪「かごの中のとりは いついつ出やる」
(子どもたちの笑い声)♪「夜あけのばんに」
♪「つるとかめがすべった」(清さん)お~ 来た 来た 来た。
♪「うしろのしょうめん だーれ」
おめでとう。
オリンピック?ああ 下町オリンピックだ。
何?何て?(においを嗅ぐ音)
あっ… どっかでさんまでも焼いてんじゃねえか?
えっ?オナカ スイタ。えっ?
春に さんまがあるかよ バカ。めざしだろ。
春さんまってのがあんだ バカ。おなかすいた?
オナカ スイタ。もうちょっと我慢できないかな?
うなぎ 予約してるしね。イヤ… オナカ スイタ。
子どもか。 我慢して 我慢して。
俺の弁当でよかったら 食うかい?
やだ やだ…。ちょうだいって ちょうだい ちょうだい。
(幾江)やめんか。もう じゃあ ばあちゃんのちょうだい。
うん ほれ。ありがとう。
ほら ちゃんと…。
義母上 ちょっとお話が。
(スヤ)ど~れ 片づけて風呂ば沸かさんと…。スヤも。
お前たち… お前たちも聞いて。
嘉納治五郎先生から…こぎゃ~ん手紙の来たったい。
東京に オリンピックば呼ぶ運動ばしよるけん四三君も ひとつ 力になってくれって。
それで… ここ数日そわそわしとると思っとったばってん。
すんまっせん。
行くとか?
身重の嫁ば 里に置いても行かにゃならんとか そるは。
そぎゃん行きたかなら 行ったらよか。
そんかわり立派に きっちり成し遂げてこい。国ば挙げてのお祭りだけん。
は… はい! あ~ よかった~。
あっ 4年後の大会ば見届けたらすぐに帰ります。
まあ… 俺なんか留守しても… うん寂しゅうはなかでしょうが ハハッ。
あっ ほっとしたら 腹ん虫 鳴りだした~。ハハハハ。
スヤ お代わり。はい。
ほら 食べれって。よし子 な~し 野菜ば残すと?
ちゃんと野菜も食べ…。ほれ…。
寂しくなかとは どぎゃんこつか?
寂しくなかこつ あるわけなかろが。
な~し そぎゃん 他人行儀な冷たかこつば言うとか こん男は。
(スヤ)お義母さん…。
すんまっせん… いや ばってん…ばってん お義母さんスヤが一番って言うとりましたけんスヤと暮らすために 俺は養子に…。
初めは そぎゃんでん… 情の移るとたい。
まして おるは せがれに死なれて…あんたは 生みの親ば亡くしてもう ほかに頼るもんもおらん。もう親子になるしかなかとばい!
もう順番に同じ墓に入るしかなかとばい!
だけん もう… 観念せい!
腹くくって 息子らしくせい!
おるは とうに諦めたぞ。働かん 走ってばかりの息子でん4年もおらんかったら 寂しか!
それが 親じゃ! こん あほが!
あほが!
ああ…。あ~ 悔しか! こぎゃんこつ言うつもりはなかったばってん止まらん… あ~ 年だろか…。
ばってん思うとることは腹にためん方がよかけん。
はあ~…。
お義母さん…。今更甘えても遅か。
そぎゃ~んこつ言われたらおるも 寂しか! お義母さ~ん!
あ~! すいまっせん!すいませんでした!
ちょっと おとうちゃん子どもたちが見とるけん。(笑い声)
お義母ちゃ~ん!(幾江)もう離せ!
分かった… 離せ…。すいまっせん すいまっせん…。
分かったけん…。おとうちゃん!
ハハハ…。お父ちゃん!
お義母さ~ん!
(笑い声)
逆らわずして勝つ!
サカラワズシワ… カツ。
ハッハッハッハ!
トゥー ファー?
サンキュー。ユー アー ウェルカム。サンキュー。
お話し中 すいません。ちょっと急がないと昼飯。
(治五郎)ああ…。行きましょう ねっ?
杉村。(杉村)はい。すまんが 訳してくれ。はい。
そもそも ムッソリーニを説得せよと命じたのは私だ。
(杉村)いいんですか?(治五郎)構わん 訳せ。
(通訳する声)
道に反することをした。あなたの顔に泥を塗った。
それについては謝る。
このとおりだ。
(通訳する声)
ご覧頂いたように 東京はオリンピックを開催する条件がそろっている。
国民の関心度も高い。(通訳する声)
それなのにヨーロッパから遠いというだけでこれまで 見てもらうことすらかなわなかった。(通訳する声)
岸君は 志半ばで この世を去った。(通訳する声)
私も年だ… 彼ら若い世代にたすきを渡さなくてはならん。
正攻法では間に合わんと踏んで禁じ手を使った。
すまん。(通訳する声)
(治五郎)杉村も…。先生 もう少し ゆっくり…。
副島も… この田畑もみんな 一生懸命だ。
もし 東京でオリンピックをやってくれたらあなたの株を下げるようなことは絶対にやらん!
最高の アジア初の歴史に残る 平和の祭典にしてみせる!
約束する。
もう言いたいことは言った。
(英語で)
(フランス語で)
失礼。
私の願いは東京に オリンピックを招致すること。
そのためなら… 喜んで 身を引きます。
ローマが降りたのは杉村さんの功績です!
田畑…。
そのことを思い出す 俺は。
お疲れさまでした。
アッハッハッハ…。プレゼント。オ~…。
ヨロイカブト。
(拍手)
(ラトゥールのフランス語)
(通訳)9日間の滞在で何より驚いたのは日本国民の活動力と熱意である。
(ラトゥールの声)
(通訳)この国では 子どもでさえもオリンピックを知っている。
ヒノマル。
おお そう。 日の丸弁当だよ。
(ラトゥール)ヒノマル。(清さん)うめえよ うん!
ウン… オイシイ!
お~ おいしい? そっか。(拍手と歓声)
オイシイ。
おっ!(拍手と歓声)
ということは 委員長1940年のオリンピックは東京へ来ると見て間違いないですね?
うむ。 オリンピックは東京に限る!
よっ 五りん!(拍手)
あら やだ 「目黒のさんま」だ。 フフフ。
(清さん)はい 通るよ~。 ホッホッ ホッホッ…。
あんた~! あんた~ 日本一!おう! よ~し!
日本一!ハッ ハッ ハッ ハッ…。
スッスッ ハッハッ スッスッ ハッハッ。
アラヨット アラヨット…ストップ ストップ!
何だ 何だ… 何だい?ストップ!
(清さん)お~ 今度は何だい?ラトゥールの旦那。
タビ タビ! カナクリ!
何言ってんの。 金栗は熊本ですよ。ねっ? 出して 出して。
いい?うん 行って。
カナクリ…。金栗は熊本だって。 ねっ?
スッスッ ハッハッ スッスッ ハッハッ…。
♪~
「よ~うっ!」(拍子木の音)
俺は スポーツをやりに来たんだよ。
<ベルリンオリンピック その裏側で東京招致がついに決まる!?>
(一同)え~!?<更に驚きの真相が…>
金栗さんですよね?
オリンピックを招致しようと活動を続ける東京市。
日本を宣伝・紹介するために作成された写真集には各地の景勝地や祭り スポーツ施設更には 食堂車で西洋スタイルのおもてなしもできる様子がアピールされています。
訪日したIOC会長のラトゥールは横浜港で オリンピックの旗を振る子どもたちに感激。
その後 22日もの間治五郎や田畑は 東京招致の説得をします。
(中村)ヨーロッパの人たちから見ると東京は 非常に遠いと。時間もかかるしお金もかかるしというのが一番不利な条件だということを言ってます ラトゥールが。
東京市は ラトゥールのアドバイスを招致の条件に反映させました。
また さまざまな日本文化に触れてもらうため全国各地を案内したといいます。
(中村)いわゆる おもてなしがしっかりと計画されてラトゥール氏の対日感情 そういうものもだいぶ変化をして…
全力を尽くした招致活動の結果は?


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