「本物のまわし」制作でプロ・アマ問わず相撲界に貢献している三福商事さん。今回はまわしのことから、それ以外の相撲用品のことにまでに話題が及びます。引き続き、菅原社長にお話を伺いました!
祖父・父・ご自身と三代でまわしを作り続けている菅原社長。三福商事の相撲用品は、世界中で愛用されています。
まわしの一番発注が多いのは2月
――大相撲で使うまわしは、どのように発注されるのでしょうか。部屋ごとに注文が来るのですか?
菅原社長(以下、菅):いえ、協会さんからご一括です。
――「黒まわし何メートルください」とか…?
菅:そうですね。場所が終わるとまとまって注文が来たり、あとは新弟子が多く入ってくる2月はたくさんご注文いただきます。8メートルを20本、7メートルを10本、とか、そういった感じです。あと反物もご注文いただきます。
――反物って…?
菅:まわしは104メートルの反物で織っています。
――へぇ、そうなんですね!反物で購入して、好きな長さに切っているんですね。白まわしも協会からまとめて発注があるんですか?
菅:はい。あと学生相撲や全国の個人の愛好家の方がお買い求めになります。相撲のクラブとか大学のコーチとか、行政から来ることもあります。ただ、マーケット自体がとても小さいので、弊社がほとんどをまかなっていると思います。これが大きいマーケットだったら、大手のスポーツメーカーさんも手をあげると思うのですが(笑)。
巡業時のちびっこ相撲で配布される子ども用のまわしに、日本相撲協会の文字を印字。手作業で行われます。
相撲の普及に役立つアイテムを次々と開発
――まわしを締めずに相撲がとれる「マイティパンツ」というものも開発されたんですね。
菅:うちの父が「大学で相撲があるんだけど、まわしを締めるだけで授業時間が終わっちゃうからなんとかならないか」という相談を受けて開発しました。小学校の授業などでは男女ともに相撲をとったりしますから、ジャージの上から使える、使い回しができるという点で重宝されているようです。
――マイティの意味は……
菅:英語のmighty、力強いとかいう意味ですね。そこから来ています。
――なるほど。ちなみにアマチュア女子相撲の方はどんなまわしを締めているんですか?
菅:1号とか2号ですね。けっこうしっかりしたまわしを締めていらっしゃいますね。
――室内土俵というのは、いつから作ってらっしゃるのですか。
菅:昭和38年ぐらいからだと思います。武道館のこけら落としで相撲をとりたい、という話がありまして、でも武道館のなかには砂を入れて土俵を作ることはできないから、なんとかできないかということで開発に至りました。
――こちらにご依頼があったのはどうしてでしょう。
菅:まわしでお付き合いがあった相撲連盟さんからお話を頂戴しました。
――従来タイプと新軽量化タイプがありますが。
菅:従来タイプは俵がゴムで、裏からネジでしめていたんですが、新軽量化タイプでは発泡ポリエチレンという素材にして面ファスナーで留められるようにしたので、設営も非常にラクです。わんぱく相撲の予選会とか、そういうときに使っていただいたりしています。弊社では、レンタルも行っています。わんぱく相撲を普及させようというムーブメントのときは日本全国をまわっていましたが、現在は各地で定着していますので、普及させることに関しては少し手助けできたのかな、と思っています。
相撲って手っ取り早くできるイベントなんですよね。ですから、相撲をやりたいと思ったらまず土俵をレンタルしていただいて、定着したら買っていただこう。もっと本格的にやりたいときは、本物の土俵を作ってもらったらいい、という思いがありました。相撲自体が一般的に認知されて、少しでもまわしを締めて体験する人が増えれば、一過性じゃない相撲人口が増えるんじゃないかな、と。そういったものの一貫として、マイティパンツも作りました。