@chablis777
シャブリ

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(坂場)これが企画書だ。
(なつ)もう書いたの!?
舞台は日本 北海道にする。えっ?
北海道を舞台にしてその物語を創ってみたいんだ。
♪~
♪「重い扉を押し開けたら暗い道が続いてて」
♪「めげずに歩いたその先に知らなかった世界」
♪「氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ」
♪「切り取られることのない丸い大空の色を」
♪「優しいあの子にも教えたい」
♪「ルルル…」
北海道の開拓者の家族の話にするってこと?
そう。
だから… 私に やってほしかったの?
というより 僕も柴田家の家族に影響を受けてるんだと思う。
柴田家だけじゃなく天陽君や 十勝の人々に…。
この日本にも ささやかな日常を一生懸命に生きている開拓者たちがいることをその作品を通して描きたいんだ。
リアルに もちろんアニメーションにしかできない表現で…。
それをできるアニメーターは誰かと考えたら君しかいないだろ。
本当に そんな企画通るの?
マコさんは賛成してくれた。必ず企画を通すって。
ただし マコさんの条件も君が 作画監督を引き受けてくれるならということだ。
作画監督を?うん。
下山さんも神っちもそれなら この作品に協力したいと言ってくれたよ。
下山さんも神っちもいるのに私が作監をやるの?
君に やる気があればの話だけどね。
分かった…。
イッキュウさんが 演出をしてくれるなら是非 やってみたい…。
やりたい。
♪~
この絵を 君が受け継ぐんだ。
こうして なつは決意したのです。
仲さん。
(仲)なっちゃん おはよう。おはようございます。
あの… お昼に少し時間を取って頂けないでしょうか?
いいよ。 僕は弁当だけど。私もです。
うん じゃ 一緒に食べようか。はい。
一体 どうしたの?話したいことがあるんでしょ?
はい…。言ってごらんよ。
はい…。
実は… 辞めたいんです。
この会社を辞めようと思ってます。
それは アニメーターをということ?
違います。この仕事は続けたいと思ってます。
アニメーターは やめません。
うん つまり…ほかで やりたいということか。
はい そういうことです…。
そうか… 君もか。
申し訳ありません。
どうして謝るの?
私は 仲さんのおかげで…皆さんにも 力になってもらってこの会社で仕事を続けることができました。
それを裏切ることになります。
なっちゃんは それを裏切りだと思ってるの?えっ?
この会社を裏切りたいとか僕たちを裏切りたいと思ってる?
そんなことは思ってません。
だったら その選択は裏切りじゃないよね?
仲さん…。
マコちゃんのところに行くのか。
はい…どうしても やってみたい企画があって。
そう… うん それでいいと思うよ。
いいですか?
アニメーターは もう一つの会社に こだわってる時じゃない。
それより一つの作品に こだわるべきだろう…。
はい…。
私… 仲さんの弟子でよかったです。
弟子?はい。
自分で 自分の道を決めるしかなくなっても弟子は弟子ですから。
これからも 一生 そのつもりです。
弟子か…。
弟子なら 話が違ってくるな。えっ?
それは やっぱり裏切りだよ。
冗談だ。
はあ… 仲さんには一番 冗談が似合わないんですから。
冗談を言う時は 冗談だという雰囲気を出してもらわないと 誰も笑いませんよ。
あ… そうか?
いや… 今まで生きてきて気付かなかったな。
うん… 今度から そうしてみよう。
(笑い声)
これは… 純粋に 私のわがままです。
どうか お許し下さい。
(佐藤)奥原さん!あっ はい。
社長に 退職願を出したんですって?はい…。
そういうことは 私を通してくれないと…いや 困るよ!
すいません…。
本当に困るよ。君 大事な戦力なんだから…。
「魔界の番長」だって 大変好調なんだよ。
はい。
この番組は最後まで やってくれるんだよね?
はい そのつもりです。
何たって 君は主要なキャラクターを作り出したメインの作画監督なんだから!
はい。(堀内)あっ あの…私が 作画監督をやってはいけないでしょうか?
奥原さんの代わりに?代わりはできませんけどたとえ 奥原さんが抜けたとしてもその穴を埋めることはできるかと思います。
堀内さんなら 絶対にできます。
分かりました。
放送は この先 どこまで続くかまだ分からないけどもどこかで 堀内君にも作画監督をやってもらいましょう。
分かりました。
辞めんのか…。
もう できる人から辞めていくなこの会社は。
(荒井)取らんといて!
堀内さん… すみません。
いや いいんだよ。とっさに チャンスだと思っただけだから。
それなら ありがたいです。
少しは なっちゃんの負担も減らすことができたか?
はい すいません。
(堀内)しかし なっちゃんが辞めるなんて…。
やっぱり 子育ては大変だよな。
いえ… マコプロに移るんです。
(中島 堀内)ええっ!ほんまに!?
すいません… 皆さんにこのような形で報告することになって…。
あっ でも この作品は最後まで手を抜かずにやりますので皆さん どうか これからもよろしくお願いします。
よろしくお願いします…。お… お願いします…。
じゃ すいません…。
(中島)えっ…。よし。
ちょっと 堀内さん 堀内さん…。
(ノック)
遅くなりました。
(優)ママ お帰りなさい!優 ただいま。
(光子)お疲れさま。(咲太郎)お疲れ。
あれ 今日は2人だけ?お待たせしちゃって ごめんなさい。
優と ゆっくり遊べて楽しかったな。うん。
なっちゃんは大丈夫?大変だったでしょう?
いいえ…。
お兄ちゃん 光子さん私 来年になると思うけどまた イッキュウさんと一緒に作品を作ることにしたから。
えっ…。イッキュウさんと?
パパと作るの?うん そうだよ。
また 新しいことに挑戦することにした。
北海道で そう決めたのか?
うん… 優と そう決めたの。
あれ作るの?そうだよ。
やった~!ハハハ…。
よく分かんないけどお前も よかったみたいだな 北海道。
うん。それなら その作品にうちの声優を使ってちょうだいね。お~ それは頼むぞ!
分かった… 頑張る。
優… ママは ずっと お仕事するからね。
優には これからも 寂しい思いをさせちゃうかもしれないけどこれからも 絵を動かしていくからね。
うん いいよ。
ママ 大好き。
ママも 優ちゃん大好き。
でも 番長は嫌い。
えっ? 番長も いいやつだよ。
行こう。
なつは 年が明けた 昭和49年の3月まで東洋動画で働きました。
ああ なつよ そしてまた新たなキャンバスに向かえよ。
来週に続けよ。


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