スズキ・アルト ターボRS(FF/5AT)
これぞ上級グレード 2015.05.07 試乗記 「久々のターボモデル復活」と、「アルトワークス」を知る世代の人々の注目を集めることとなった「アルト ターボRS」。新時代のホットハッチをロングドライブに連れ出し、その魅力を味わった。つい遠くまで走ってしまう楽しさ
試乗に土日の2日間をもらったので、ちゃんと燃費を計測するために300kmくらいは走れるかなと考えていた。しかしである。2日間が終わってみると、走行距離は800kmを超えていた。あまりに気持ちよくて、ついつい遠くまで走ってしまった。初日は関越自動車道で群馬県富岡市あたりまで行き、甘楽(かんら)のワインディングロードを楽しんだ。翌日は箱根に出かけてターンパイクと芦ノ湖スカイラインで至福のひとときを過ごし、そのまま勢いあまって青梅から飯能方面まで走っていった。いささかはしゃぎ過ぎだったと反省しきりであるが、「スズキ・アルト ターボRS」というのはそういうクルマなのである。
評判を聞いていたので試乗を心待ちにしていた。そういう時は往々にして期待値が高くなりすぎてしまう。思ったほどじゃなかったな、という感想を持ってしまいがちだが、ターボRSの出来は想像をはるかに上回っていた。軽自動車の走りが全体的に底上げされていて、トールワゴンタイプのモデルでも驚くほどスポーティーだったりする。だとすれば、軽量で剛性も確保できる小型のボディーであればさらに高い性能を得られるのは当然のことだ。それにしても、ここまで仕上げてきたことには称賛を送らずにはいられない。
見た目からして好ましい。ベースモデルがすでに新鮮なスタイルだったが、ターボRSにはスポーティーさを強調する意匠が凝らされていた。ヘッドランプにはメガネ型のガーニッシュが加えられて目ヂカラを強めており、フォグランプも装備される。リアのコンビネーションランプの下にはハイパフォーマンスカーの2本出しマフラーにも見える装飾があるが、もちろんこれは形だけ。サイドには誇らしげに「TURBO RS」のデカールが貼られている。「アルトワークス」時代にはもっと派手な演出がなされていたような気がするが、このモデルにはこれくらいがちょうどいい。