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この作品 「【黒手】ブリーチ!」 は「黒手」「腐向け」等のタグがつけられた作品です。

黒田と手嶋とセルフブリーチ。会話劇。たぶん大学生。黒田の場合リタッチだから液を塗...

たます

【黒手】ブリーチ!

たます

2017年1月12日 22:55
黒田と手嶋とセルフブリーチ。
会話劇。たぶん大学生。

黒田の場合リタッチだから液を塗る手順が逆だなと思ったけど、こまけーことはいいんだよ、という精神でお読みください。

東京ドームシティコラボの黒のダウンジャケットが似合う、という話から。
「おまえ今暇だろ、これよろしく」
 手嶋は、ポンと渡されたパッケージを見る。
「ギャ○ツビー……」
「ナチュラルブリーチカラーアクアシルバーな」
「なにそれ呪文?」
「は、それが一番キマんだよ。今からソレ、頼んだ」
「マジか! おまえ、美容院でしか染めね―とか言ってそうなのに? まさかのセルフブリーチ!」
「ビンボー学生舐めんな。おまえこそ、美容院でゆるふわにしてくれとか言ってんだろ、この女子力お化け」
「クセが強いんでー、それを活かす感じでお願いしますー。あ、ゴムでまとめることもあるから、あんまり短くない感じでー」
「夢見る乙女か! 小顔カットして女子力アップ狙うお嬢か!」
「ただし、だいたい千円カットです」
「学生の味方か。とりま、生え際がヤベーから頼む。とりあえずコレ混ぜろ」
「おうよ」
 手嶋がパッケージを開封して、説明書を読みながら、ブリーチ剤を混合する。
「おまえは何やってんの」
「あ? 書いてあんだろ、ブリーチ剤が沁みねーように生え際にワセリン塗ってんだよ」
「へー。よかったな、自転車やってて。ワセリン使い放題だろ」
「その言葉、そっくりおまえに返してやんよ」
「うるせーわ。よし、やるぞ」
 手嶋がゴム手袋をつけた指を黒田の後頭部に這わせる。
「かてーよなーおまえの髪。染め過ぎだろ」
「カッコいいだろ」
「まーなー」
 ブリーチ剤を付け、髪全体に揉み込む。襟足、後頭部、サイド、もみあげ、頭頂部、前髪。
「毛の中心から毛先まで、っと」
「細かいとこは指に液つけて、髪を摘まむ感じで頼む」
「こまけーなー、べつによくね?」
「ムラになったらかっこわりーんだよ!」
「へーへー」
 仕方なく、黒田の言う通りに指を動かす。
「毛束は少しずつな」
「どんだけ必死だよ。で、5分から10分置きます、と」
「オレは10分置いてる」
「この間、何すんの」
「肩でも揉めよ」
「なんでオレだよ! むしろオレ揉んでもらう方だろ! 働いたのオレ!」
「チッ」
「チッ、じゃねーし」
 舌打ちをしながらも、黒田か手嶋の背後に回り、10分だけな、と言いながら肩に手をかけた。
「おーきもちいー」
「凝ってんのな」
「ストレスです!」
「ンだソレ」
 目をつぶって完全にリラックス姿勢の手嶋が癪に障って、力一杯揉んでやる。
「痛い痛い痛い……いや、痛気持ちいい」
「Mか! 痛みが快感で喘ぐドMか!」
「自転車乗りなんてドM集団だろ。おまえ含め」
「はッ。レースでは勝ちを上げたいだけでMじゃねーし」
「荒北さんの前での黒田のマネしようか」
「……ルセェ。10分経ったぞ」
「ほーい、続きなー。場所チェンジ」
 手嶋がゴム手袋にブリーチ剤を取る。
「今度は、根元を中心にまんべんなく揉み込みます、と」
 全体にブリーチ液をまぶしながら、黒田の頭皮を揉む。
「おーいいな。他人にやってもらうと楽」
「しかも頭皮マッサージ付きとか、おまえ贅沢すぎんだろ」
「根元、キッチリ塗れよ。この髪色維持すんの大変なんだからな」
「プリンなユキちゃんも可愛くてよ」
「可愛くねーなープリンじゃねーし」
「なー。ミルクプリンか逆さ富士」
「あ? ……って、山頂から雪が融けた富士山か! 高度3000メートルから先に雪溶けるとかありえねーだろ! 異常気象か! 天変地異か!」
「雪成だけに、雪解け」
「うまいこと言ったとか思ってんじゃねーぞ。つか、面白くねーし」
 手嶋は何度もブリーチ剤を追加して、黒田の髪に塗りたくっていく。
「なんか、コレ、触感がシャンプーとも違って面白いな」
 髪に薬液を揉み込みながら、手嶋は黒田の髪を撫でつけて遊ぶ。
「オールバック……は、つまんねーな」
「は?」
「フツーに似合ってて面白くねー」
「なんだそれ」
 手嶋は左右の毛を逆立て、額からうなじまで一列の畝を作る。
「トサカ」
「おい」
 前髪と後ろ毛を逆立てて、頭頂に集める。
「ぼくたち、ぴーく○ん。あなただけにーついてーゆくー。きょうもはこぶ、たたかう、ふえるそしてー」
「食べられないから安心しろ」
「ノリ悪いなー白ピクミン!」
「ッセ、花も咲かねーよ!」
「そこは咲かしとけよー。足はえーよ、花咲いたピクミン。なーこの余った液どうすんの」
「それは捨てる」
「勿体ね―な」
「おまえ使うか?」
「え?」
 黒田が手嶋の腕を引いて座らせた。
「貸せ」
 手嶋にゴム手袋を外させて、自分で装着する。手近にあったタオルを手嶋の肩にかけ、慣れた手でブリーチ液を取り、手嶋の後頭部の髪を摘まむ。
「ちょっ、オレのバージンヘア。イメージ大事だから」
「後ろ、中の方だけだって。見えねーよ」
「見えねーとこ染めてどうするよ」
「捨てんのもったいねーつったのおまえだろ」
 文句を言う割に暴れない手嶋の髪をかき分け、目立ちにくそうな内側の毛束を3房ほど取り、ブリーチ液を付けた。
「よし、20分経ったら流すぞ」

   × × ×

 黒田と手嶋、順番にシャワーで髪を洗って、ドライヤーで整えた。黒田は輝く青みかがったシルバーのできに満足したらしく、矯めつ眇めつ鏡を眺めている。
「やっぱ黒服着こなすにはこの色だよなー。なんでわかんねーかなー」
 お気に入りらしい黒のダウンを羽織って、すでにファッションショー気取りだ。
「手嶋、おまえ選んでよかったわ。ムラなくキレーに染まったわ」
「毛染めで実感されても嬉しくねーし……つか、オレの後ろメッシュ入ってんだけど」
「ちょっと薄くなった程度だろ。ホントはもっと時間置いてキッチリブリーチしたほうがいいんだけどな」
「オレは黒髪でよかったの!」
「つまんねーな。ま、すぐカットされて目立たなくなるからへーきだろ。とりあえず出かけねー? 街歩きたい」
「おまえホント、髪染めた直後楽しそうだよなー。一番キレイなオレを見てくれ的な? 鼻擦って照れんなよ、褒めてねーよ。ばか、ほら、行くぞ」

(了)


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