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この作品「金髪のつくりかた。」は「今日から俺は‼」「腐」等のタグがつけられた作品です。

初投稿、初小説です。原作とドラマをMixして少し時代も90年位にしてあります。ゲ...

金髪のつくりかた。

くれい

2018年12月2日 23:01

初投稿、初小説です。
原作とドラマをMixして少し時代も90年位にしてあります。
ゲンジ大好き！イトミツです！

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「イトー、おごって」
少し離れた後ろから手をひらひら振りながら金髪の男が呼ぶ。
またか。ふぅ、溜め息をつく。
「テメーで買えよな……」
そう言いながらもポケットから小銭を出し、片手で器用に自販機に投入する。
「金がねェんダョ」
ピッ。ガシャン！
当たり前の様にコーヒーを飲む。
三橋が金欠なのは知っている。でも今月の小遣いを先日貰っているのも知っている。
「？なんで？」
「週末ゲンジサンのトコ行くんだョ」
あぁ、ナルホド。
三橋の髪型は金がかかる。
自分もかなりかかるが、それ以上だ。
理子ちゃん曰く、身だしなみに気を使うOL並、らしい。
ならもっと自然な茶髪にすればと思うが、金髪で最初から売ってしまったし、何より三橋本人が気に入っている。
ならばいっそ……
「自分で染めれば？」

「なぁんで俺が！買わなきゃなんねェんダョ‼」
伊藤はご立腹である。それもそのはず、ブリーチ剤だけでなく、お菓子に漫画まで買わされたのだから。
「しかも俺ん家で！」
鼻唄まじりにビニール袋をガサゴソしながら三橋は悪びれず
「仕方ねェべ。家じゃカァチャンキレッからョ」
買ってきたばかりの菓子を食べながら言う。
「ウチだって怒るよ……」
情けない顔で伊藤は口ごもる。
「ほれ、準備準備」
伊藤は三橋に手渡されたブリーチ剤を受け取り、仕方なく準備しだした。
薬剤を作って、塗布して、ビニールを被せ、ラップを巻く。
薬剤臭いからベランダで漫画読んでろと渡せば、怒りもせずに持ち出したイスに座って漫画を読み出す。
そんな様子を見てふぅ、片付けるか、と独り言を言いながら出した物を片付ける。
ケタケタ笑う三橋に、そろそろ流す時間じゃないか？と声をかけると、うし、流すか。パン。漫画を閉じてのそのそと風呂場に向かった。

まさか、この後あんな悲劇が起こるなんて……

「ゲンジサンっ‼」
ヘアーサロンゲンジのドアを伊藤は壊す勢いで開けた。
「オォ、イラッシャィ」
客が居ないからってくわえ煙草で接客業としてどうよ？な態度でゲンジは客を迎える。
「伊藤と、貴志？」
伊藤のこめかみがピクッとひきつる。
ゲンジは三橋を気に入っている。名前で呼ぶくらい。三橋もゲンジを気に入っている。名前で呼ばせるくらいに。それが気に入らない。
ムスッとした伊藤の後ろから演技か本気か、半べそ顔で頭を触りながら三橋が出て来た。
それを見るなりゲンジは険しい顔になり、三橋の髪に触れる。
「お前、これ自分でやったな？」
グスッと三橋は鼻を鳴らす。嘘泣きの癖に。
「ガビガビじゃんよ？」
セルフブリーチで傷みまくった髪を確かめる様に触る。
「伊藤が自分でやればいいって言うからョ」
ジロリと伊藤はゲンジに睨まれる。
言ったが自分でやる判断をしたのはお前だろうがと思いながら伊藤は黙って見ていた。
ゲンジはまた煙草をくわえ、レジ横をガサゴソ荒らし、見つけ出したカードをこちらに差し出した。
伊藤は黙ってカードを受け取る。
「今からその店に行け。俺の知り合いが居るから。なんとかしてもらえ、予約入れとくから」
ふたりで渡されたカードを見ると、隣駅の近くらしい美容室のカードだった。
めんどくせぇって言いながら店を出る三橋の後を続く伊藤の背に
「責任取って支払ってやれョ？伊藤」
意地の悪い顔でゲンジは送り出した。

今時美容室に男が来るのは珍しくはないだろうが、余りにも場違いなふたりはなかなか入る気になれなかった。コジャレた外観のガラス扉からふたりが見えたのか、店員がドアを開けた。
「まぁ、アンタがゲンジお気にの金髪ちゃん？」
声をかけて来たのはパッと見、男前のオネェ店員。
この人がゲンジサンの知り合い？どういう人脈？などと混乱していると、黒髪男前オネェ店員はフムフムと三橋の頭を観察し手首を掴みまだ混乱する三橋を店の奥に連れて行こうとする。
「アンタはそこで待ってなサィ」
それだけ言って伊藤は小綺麗な待ち合いにひとり残された。

それからかなりの時間が経った。
今日が平日の夕方で本当に良かったと、伊藤は何度も思った。
髪を立てたツッパリには余りにも場違い過ぎる。
する事が無さ過ぎて、人目が気になり過ぎて、下を向いてずっと「京ちゃんもこんな店で切ってるのカナ」「そうだ、いつか京ちゃんの付き添いで待たされる練習だ」などと考えていた。
やっと聞き慣れた声が頭上からして顔を上げる。
「イトー、終わったゾ」
三橋の機嫌は大分直っていた。
そして、髪も。
会計で打ち出された金額に伊藤は驚愕する。
『14000』
目を疑う。トリートメントだけでこんな金額だなんて。
ゲンジの店を出る時にもうひとつ忠告があった。
「金、おろして行けョ？」
素直に従っておいて良かったと伊藤は胸を撫で下ろしていたが、それで終わりではなかった。
「あと、このサンプルを使いなさい。２週間は持つはずよ。で、あと２回はトリートメントしに来なさい、伊藤クンの出資でネ」
伊藤は青ざめた。なんでと慌てて聞き返したら、だってゲンジが伊藤クンの責任で持つって言ってたわョ？と返ってきた。
「ま、トーゼンだべ？」
三橋もさも当たり前の様といった顔で、ほれ、支払い。なんて言ってくる。
胃に穴が開きそうな気持ちで会計を済ませ、黒髪男前オネェ店員にまた来るのよ～と見送られて帰宅についた。

「ちょっと良くなったゾ。」
三橋は髪を弄りながら鼻唄を歌う。
どれどれと触ると確かにしっとり柔らかい。
これを維持する為に俺はまだ出資しなきゃならないのかと溜め息をつく。

「イトー、おごって」 少し離れた後ろから手をひらひら振りながら金髪の男が呼ぶ。 またか。ふぅ、溜め息をつく。 「テメーで買えよな……」 そう言いながらもポケットから小銭を出し、片手で器用に自販機に投入する。 「金がねェんダョ」 ピッ。ガシャン！ 当たり前の様にコーヒーを飲む。 三橋が金欠なのは知っている。でも今月の小遣いを先日貰っているのも知っている。 「？なんで？」 「週末ゲンジサンのトコ行くんだョ」 あぁ、ナルホド。 三橋の髪型は金がかかる。 自分もかなりかかるが、それ以上だ。 理子ちゃん曰く、身だしなみに気を使うOL並、らしい。 ならもっと自然な茶髪にすればと思うが、金髪で最初から売ってしまったし、何より三橋本人が気に入っている。 ならばいっそ…… 「自分で染めれば？」 「なぁんで俺が！買わなきゃなんねェんダョ‼」 伊藤はご立腹である。それもそのはず、ブリーチ剤だけでなく、お菓子に漫画まで買わされたのだから。 「しかも俺ん家で！」 鼻唄まじりにビニール袋をガサゴソしながら三橋は悪びれず 「仕方ねェべ。家じゃカァチャンキレッからョ」 買ってきたばかりの菓子を食べながら言う。 「ウチだって怒るよ……」 情けない顔で伊藤は口ごもる。 「ほれ、準備準備」 伊藤は三橋に手渡されたブリーチ剤を受け取り、仕方なく準備しだした。 薬剤を作って、塗布して、ビニールを被せ、ラップを巻く。 薬剤臭いからベランダで漫画読んでろと渡せば、怒りもせずに持ち出したイスに座って漫画を読み出す。 そんな様子を見てふぅ、片付けるか、と独り言を言いながら出した物を片付ける。 ケタケタ笑う三橋に、そろそろ流す時間じゃないか？と声をかけると、うし、流すか。パン。漫画を閉じてのそのそと風呂場に向かった。 まさか、この後あんな悲劇が起こるなんて…… 「ゲンジサンっ‼」 ヘアーサロンゲンジのドアを伊藤は壊す勢いで開けた。 「オォ、イラッシャィ」 客が居ないからってくわえ煙草で接客業としてどうよ？な態度でゲンジは客を迎える。 「伊藤と、貴志？」 伊藤のこめかみがピクッとひきつる。 ゲンジは三橋を気に入っている。名前で呼ぶくらい。三橋もゲンジを気に入っている。名前で呼ばせるくらいに。それが気に入らない。 ムスッとした伊藤の後ろから演技か本気か、半べそ顔で頭を触りながら三橋が出て来た。 それを見るなりゲンジは険しい顔になり、三橋の髪に触れる。 「お前、これ自分でやったな？」 グスッと三橋は鼻を鳴らす。嘘泣きの癖に。 「ガビガビじゃんよ？」 セルフブリーチで傷みまくった髪を確かめる様に触る。 「伊藤が自分でやればいいって言うからョ」 ジロリと伊藤はゲンジに睨まれる。 言ったが自分でやる判断をしたのはお前だろうがと思いながら伊藤は黙って見ていた。 ゲンジはまた煙草をくわえ、レジ横をガサゴソ荒らし、見つけ出したカードをこちらに差し出した。 伊藤は黙ってカードを受け取る。 「今からその店に行け。俺の知り合いが居るから。なんとかしてもらえ、予約入れとくから」 ふたりで渡されたカードを見ると、隣駅の近くらしい美容室のカードだった。 めんどくせぇって言いながら店を出る三橋の後を続く伊藤の背に 「責任取って支払ってやれョ？伊藤」 意地の悪い顔でゲンジは送り出した。 今時美容室に男が来るのは珍しくはないだろうが、余りにも場違いなふたりはなかなか入る気になれなかった。コジャレた外観のガラス扉からふたりが見えたのか、店員がドアを開けた。 「まぁ、アンタがゲンジお気にの金髪ちゃん？」 声をかけて来たのはパッと見、男前のオネェ店員。 この人がゲンジサンの知り合い？どういう人脈？などと混乱していると、黒髪男前オネェ店員はフムフムと三橋の頭を観察し手首を掴みまだ混乱する三橋を店の奥に連れて行こうとする。 「アンタはそこで待ってなサィ」 それだけ言って伊藤は小綺麗な待ち合いにひとり残された。 それからかなりの時間が経った。 今日が平日の夕方で本当に良かったと、伊藤は何度も思った。 髪を立てたツッパリには余りにも場違い過ぎる。 する事が無さ過ぎて、人目が気になり過ぎて、下を向いてずっと「京ちゃんもこんな店で切ってるのカナ」「そうだ、いつか京ちゃんの付き添いで待たされる練習だ」などと考えていた。 やっと聞き慣れた声が頭上からして顔を上げる。 「イトー、終わったゾ」 三橋の機嫌は大分直っていた。 そして、髪も。 会計で打ち出された金額に伊藤は驚愕する。 『14000』 目を疑う。トリートメントだけでこんな金額だなんて。 ゲンジの店を出る時にもうひとつ忠告があった。 「金、おろして行けョ？」 素直に従っておいて良かったと伊藤は胸を撫で下ろしていたが、それで終わりではなかった。 「あと、このサンプルを使いなさい。２週間は持つはずよ。で、あと２回はトリートメントしに来なさい、伊藤クンの出資でネ」 伊藤は青ざめた。なんでと慌てて聞き返したら、だってゲンジが伊藤クンの責任で持つって言ってたわョ？と返ってきた。 「ま、トーゼンだべ？」 三橋もさも当たり前の様といった顔で、ほれ、支払い。なんて言ってくる。 胃に穴が開きそうな気持ちで会計を済ませ、黒髪男前オネェ店員にまた来るのよ～と見送られて帰宅についた。 「ちょっと良くなったゾ。」 三橋は髪を弄りながら鼻唄を歌う。 どれどれと触ると確かにしっとり柔らかい。 これを維持する為に俺はまだ出資しなきゃならないのかと溜め息をつく。

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