中日2年目の伊藤康祐外野手(19)が7日、ウエスタン・リーグのオリックス戦(奈良県橿原市・佐藤薬品スタジアム)で継投によるノーヒットノーランを阻止する貴重な安打を放った。7回1死までドラフト4位新人左腕の富山、東明、沢田とつないだリレーにチームは無安打と封じられていたが、伊藤康が右前安打。6月上旬に2軍落ちして以降は2割6分9厘と成長の跡を記し、1軍復帰を目指す。試合は0-3と2試合連続の完封負けを喫した。
焦りが生じ始めてきた7回、ようやく伊藤康がチームを安堵(あんど)させた。5回までは先発の富山、6回は東明の前に中日打線は無安打。7回から登板の沢田からも安打を奪えず1死。しかし、そこから沢田の真っすぐを右前へはじき返した。
「何とか1本目を打たないといかん、と。真っすぐが来るんじゃないかと狙っていました。あんまりいい当たりではなかったんですが…」
1996年7月28日の広島戦で高橋建に記録されて以来、長く味わっていない屈辱は避けた。それでも逆転にはつながらず、結局は2試合連続の完封負けとあって、伊藤康に笑顔はなかった。
今季は4月下旬から1カ月少々、1軍を経験した。14試合に出場して32打数6安打の打率1割8分8厘。しかし左太ももを痛め、6月5日に出場選手登録を抹消された。それから約3カ月。再昇格を果たせないなか、2軍戦で130打数35安打の打率2割6分9厘。春先に昇格するまで1割7分3厘だったことを思えば、結果を出せるようになってきた。
「心に余裕が出てきたからでしょうか。春先まで変に萎縮するところがあって『どうやって打とうか』という感じが、今は『どう打ったろか』という感じです」
今季は2軍で1番か2番を務めてきたが、平田の実戦復帰にともない前日(6日)から3番だ。森野2軍打撃コーチは「平田とはみんな差がある。それが分かるだろうし、せっかく目の前に手本があるんだから、なんでこの人は打てるんだろうと考えてほしい」と話す。伊藤康はその機会を無駄にはしない。 (吉川学)