2019年09月07日
アンケート
アンケートについては別問題だと思うので俺の知っていることをここに綴るね。
どんなことを書いても、もはや俺は「アンケート読まないおじさん」だと思うし、自己弁護をしたくて書いているんだと思う人はここで読むのをやめるべし。
そして幸せに生きるべし。
まず、俺自身がアンケートという言葉そのものに引っかかりを覚えた体験から。
自分がやっているイベントとかでお客さんから「今度の公演のアンケートに書きますね!」等、言われたことが何度かあった。
内容についてはどんなだったかなぁ。
俺のことだから「俺、干されるの得意だから」とか「次の公演の時にはクビになってると思うよ」とか、そういう文脈だったような気もする。
その場合「干さないで下さい」とか「クビにしないで下さい」とか、そういうアンケートを書いてくれていたのだろうか? わからんけど。
これからはその逆振りが殺到しそうだが。
まあそれはよい。
そのときに「ん?アンケート?」って引っかかったのね。
「へー、アンケートってやってるんだ」という感覚。
まあでも「やってそうだよな」とは思った。
ただ、回収されたアンケートそのものを観たことは、この十年位は無い。
だから「アンケートって効果あるの?」だし「アンケートって誰が見てるの?」がそもそもの俺の疑問だったわけだ。
ここで「俺とアンケート」の関わりを書く。
元々劇団を作って小劇場で演劇をやっていたのでアンケートはやっていた。
活動していたのは2000年~2010年の間。
アンケートは当然、紙ね。
その日の芝居が終わり、お客さんは客席でアンケートを書いている。
おそらく「今後の公演の参考に致しますのでアンケートに御協力下さい」とか、前説後説で言っていたこともある気がする。
完パケ(お客さんが全員客席から外に出た状態)し、回収されたアンケートを客席で回し読みするのは「楽しかった風景」として記憶している。
「アンケート回収率80%です! 凄い!」みたいな、なんだか回収率にも一つの価値観があった思い出がある。
もしかしたら今も小劇場の劇団はそうなのかもしれない。
でも、アンケートの一番の目的は「住所とメールアドレス」だったように思う。
顧客リストね。
んにゃ、出演者や演出家的には「感想」が一番だが、制作にとっては「顧客データ」が一番だったという感じか。劇団だと役者も制作を兼ねて居る場合が多いから分けるのは難しいけど。
最近はこれも減っているんだと思うけど、2000年代半ばくらいまではDM(Twitterのではなく、お家にチラシを封書で送るやつね)が主流で、後半はメールで宣伝だけとかになってきていたような気がするが、これも俺個人の体感。
つまりは、お客さんを再び劇場に呼ぶために住所とアドレスが必要だったの。
正直なところ、俺とアンケートの関わりはこの辺りで終わっている。
世の中的に個人情報の管理について厳しくなって来たのもあるけど、自分自身が人の感想(お客さん、友人、同業、評論家含め)を受けて作品を変化させていくタイプではないことに気づいたのもある。
あと、これが一番大きいんだけどSNSの発達は無関係では無いと思う。
自分がTwitterを始めたのが2010年の二月だから、劇団を解散させる半年前くらいか。
その時にはもうアンケートはやってなかったと思う。
お客さんを呼ぶために80円切手貼ってDMを送らなくても宣伝が出来る時代になったのね。
Twitterに至る前にBBS→ブログ→mixiみたいな流れもあったのだけれど、そこは割愛。
回りくどいことを書いてないで今のことを書けという話だと思うのだが、なんとなくここの時代の流れを整理しておいた方が良い気がしたの書いている。
もしかすると、この時代のアンケートの印象が残っている人もいるんじゃないかと思うから。
アンケートが紙の時代。
みんなで回し読みしていた時代。
お客さんの声がアンケートで届いていた時代。
時代というか、キャパなのかもな。
小劇場は回収率100%でも百枚だから読める。
中劇場の定義は難しいのだけれど毎回500枚のアンケートを読むことは時間的にも難しいと思う。
この時期に商業演劇に関わったりもしていたけど、アンケートについての記憶は無い。
それに関しては別の誰かの情報が必要だなぁ。
色々ウロウロしたけどSNSが発達したことによって、
「感想や意見を書ける場所(作り手側からしてみたら読める場所)」がアンケート以外に出来たというのは大きいのかもしれない。
少なくとも自分の体感としてはそう。
で、2010年以降の話。
小劇場もやりつつ、商業演劇(商業演劇の定義については別の話なので割愛)の舞台に関わるようになる。
繰り返すようだけど、自分の関わった商業演劇の現場で回収された紙のアンケートを見たことは無い。
見落としている可能性もあるけど、小劇場のように「アンケート置き場」みたいなのは見たことが無い。
今はWEBアンケートが主流なのかもしれないけど、それも見たことはない。
見方を知らない。
自分から求めたことも無いし、制作さんから見方を教わったこともない。
これはアンケートを軽んじているということには直結しないことを断っておく。
おそらくこの規模になると、アンケートは制作が把握するものという共通認識があるのだと思う。
脚本家、演出家、俳優によっては制作さんに「アンケート読ませて」と言って読んでいる人もいるとは思う。
特に俺よりも先輩の世代にはそういう人がいるのは何人か知っている。
その辺は「人による」というのが本当のところだと思う。
そういう人が多いか少ないかは見えている角度によると思うので断言はできないけど、俺の見えている角度からでは「少ない、むしろほぼ皆無」と言い切れてしまう。
制作さんはきっと読んでいるんだと思うけど、俺は制作さんじゃないのでわからないというのも本当のところ。
ここ、結構重要なポイントだと思うんだけど、もしアンケートをちゃんと書いてくれている人の中で「特定の誰か(特に俳優)にメッセージを綴っている」場合、それは届いてない場合の方が多いんじゃないかと思う。
もしそういう人がいたら、アンケートはそういうものじゃないという認識をして、個人への手紙に切り替えてもらえればと思う。
それは、おそらく、多分、届く。
多くは無いけど、俺に届いた手紙は制作さんから受け取って読ませてもらっているし(ありがとね)。
だからもし、俺の「アンケートって誰が読むの?」発言で推しの俳優さんがアンケートを読んでいないことにショックを受けている人がいたら「商業演劇におけるアンケートはそもそもそういうものではない」という認識をして欲しい。
そのことで俳優を責めるのは違うし、そもそも責められる仕組みのものではないということね。
俺がこれ言うと言い訳に聞えるだろうから俺に関しちゃもう責めまくりでいいです。
これからも読まんと思うし。
規模が大きければ大きいほど、アンケートは制作側(主催者側?)が把握するもの、という印象。
自分のセクションだけで言うと、もし俺が脚本を書いている作品で「次はこういう作品を書いて欲しい!」みたいな要望があっても、それがアンケートに書かれていた場合、俺のところに届く可能性は非常に低いということ。
(その要望を読んで俺がどう思うか、そもそも俺にそんな権限があるのかは別の話)
もちろん、制作さんから「そういうアンケートが有りましたよ」と言われる可能性が無いとは言いきれないけど、今のところの経験としては無いし、それを制作さんの怠慢とは思わないで欲しい。
制作さんはやることいっぱいあるし「物販コーナーの導線悪いんじゃ!」とか「劇場寒くて死ぬかと思ったわ!」という対応が優先されると思う。
あえて言わないだけで、日常会話の中に意見として入れ込んでいる可能性はあると思うけど。
そろそろまとめたいんだけど…難しいなぁ。
まず「アンケートは無意味では無いけど過信しないこと」が一つ。
制作会社や制作者個人、もっと言ったらアンケートの仕組み、項目によって反映の度合いは変わる。
マーケティングの為にやっている側面はやっぱり強いと思うし、それはサービスの向上に繋がるわけだから否定するべきものでもない。
嫌なことを言うようだけど場合によっては「アンケートで思いは届く!」という思いそのものを投げ込ませておくだけの場所という可能性だって完全否定は出来ないと思う(多分、一番言っちゃいけないやつだな。全方位敵にまわすやつだ)。
だから、思いを届ける場所が何処なのかを明確にして、その対象にメッセージを送るといいんだと思う。
アンケートは一票ではないということ。
あと、SNSも併用した方が良いと思う。
アンケートの仕組みによっては即日対応出来なかったり、公演が終わるまで制作さんが読めなかったりする場合もあると思う。
「会場が寒かった」ってアンケートを書いても、それが伝わるのが公演終了後じゃ話にならんし。
そういうのはSNSの方が早い。
細かいこと言うようだけど、冷房直撃の位置だけ寒いとかあるから、なんとも言えんけどね。
直接メールするのも効果的なんじゃないだろうか。
ちなみに俺に関しちゃ手紙か、会った時にでも言ってくれ。
SNSがどうでも良くなった。
書き切れた気はしないんだけど、アンケートを書く側と読む側のズレが少しでも修正出来ればと思います。
あくまで俺の意見だから。
真逆の人だってそりゃあいるかもしれん。
これについては新しい情報とか考えとか修正とかあったらまた書きます。
締切近いのでしばらくは無いと思いますが。
ぷすー。