福井「鳥博士」、夢かなえ3年目 福井市自然史博物館の学芸員・出口さん
福井市自然史博物館に「鳥博士」として親しまれている男性がいる。動物担当の学芸員、出口翔大さん(30)だ。一度は民間企業に就職したが、同館の学芸員になる夢をかなえて今年で三年目。好きな仕事に、飛び回っている。 出口さんは福井市出身。幼いころから生き物に興味があり、当初の夢は動物学者だった。小学校高学年でブンチョウを飼い始め、中学一年の時、お年玉で双眼鏡を購入。自転車で出掛けては野鳥の観察ノートをつけるようになった。高校生になると、自然史博物館の骨格標本作製ボランティアグループ「ホネ部」に参加し、同館の「ジュニア学芸員」に。「学芸員になれば好きな動物を調べられる」と夢を描いた。 新潟大農学部に進学すると、鳥の生息環境について研究し、学芸員の資格も取ったが、二〇一二年春に一度は福井市内の企業に就職。転機は、全国の学芸員の募集情報が掲載されるインターネットの掲示板で、自然史博物館の試験を知ったことだった。「やりたいことがあるのに、このままでいいのか」。同年夏、仕事を辞めて挑戦したが、狭き門で合格しなかった。 「客観的に見れば、四年間大学に行っただけの鳥好きの少年。これでは受からない」。自分の専門性のなさを思い知らされた。一三年四月に新潟大大学院に進学し、本州中部以北で繁殖するノジコの生息環境を研究。博士課程に進みつつ複数の学芸員の試験を受け、一七年春から自然史博物館で働くことが決まった。翌春、農学博士を取った。 同館では、企画展やホネ部、鳥など動物の観察会を担当している。活動の中で「地域に博物館があるのとないのとでは、市民や子どもの自然に対する知識や興味の度合いは違ってくる」と、博物館の重要性を感じている。「子どもたちと一緒に楽しみながら、自然の面白さを分かってもらえるようやっていきたい。鳥だけでなく自然や、自然に関する仕事に興味を持ってもらえたら」 (鈴木啓太) 今、あなたにオススメ Recommended by PR情報
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