オーバーロード ~経済戦争ルート~   作:日ノ川

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聖王国は登場人物が少ないので、その他の登場人物やナザリックも一緒に出てきます。現地側のエンドロールはこれで最後になります


それぞれのエンドロール・第三楽章

「ま、また新しい建物が。それもこんなに大きい」

 家を出て早々、カルネ村に隣接するトブの大森林の一部を開墾した空き地に、建設された建物が目に飛び込んでくる。

 昨日までは周囲を目隠しされて、その全容を見ることはできなかったがとうとう完成したらしい。

 カルネ村の村長兼、魔導王の宝石箱カルネ村支店長のエンリ・エモットは予想以上に巨大な建物を眺めながら深く息を吐いた。

 

「ポーションだけではなく、魔法やマジックアイテム、武具の研究も始まったからね。こういう研究は意外と関係なさそうに見える分野でも繋がることもあるんだよ。そのためにできるだけ一か所に纏めようって話になったみたいだね。僕の研究室もこっちに移すことにしたんだ」

 隣に立つンフィーレアが早口で言い放つ。長い前髪から除く瞳は輝いていた。

 相変わらず研究のことになると人が変わったように積極的になる。夫婦生活でももう少しこの積極性を出してくれればと思わないでもないのだが、流石に口にするのは憚られた。

 

「大丈夫かな。日陰になって洗濯物が乾かなかったらどうしよう」

 

「……」

 

「何?」

 

「いや、はじめに気にするのがそれなんだなぁと思って」

 

「だって大事なことよ。お店のこととかもあるから、家事の時間が減ってるもの。乾く時間が伸びると大変」

 

「まあ大丈夫だと思うよ。居住区からは離れているしね」

 エンリは変わらないなぁ。と苦笑してから告げるンフィーレアに、そうだと良いけど。と心の中で考えながら、ぐるりと周囲を見渡すと、なんとなく背中に視線を感じた。

 

「?」

 

「どうしたのエンリ」

 

「いや、なんか。視線を感じたような……」

 振り返るが後ろには誰もいない。気のせいかと顔を前に戻そうとして。

 

「ほうほう。それはこんな視線では?」

 前方からそんな声が聞こえた。

 

「ルプスレギナさん!?」

 

「やっほー。お久っすね、二人とも」

 ここしばらく顔を見せていなかった、ルプスレギナの登場に思わず飛び上がりそうになるが、その前に彼女に抱きつかれ、動きが止められる。

 

「いやー。地味に寂しかったっすよー」

 抱き着きながら肩口でグリグリと頭を動かすルプスレギナは人懐こい犬か何かのようだ。

 いつもエンリをからかい、時折意地悪なことも言うが、ルプスレギナのことは決して嫌いではない。それどころか、両親を亡くして以後、幼い妹を守る姉という立場のこともあって、甘えられる存在のいなかったエンリにとっては──口には出さないが──姉のように思っているくらいだ。

 そんな思いが、普段はされるがままになっていたエンリの両手を、おずおずと彼女の背中に回させた。

 

「んー。んふふ。やっぱりかわいいっすね。本当にお気に入りっすよ」

 エンリの心を読んだかのように笑うルプスレギナに、少々気恥しくなる。

 

「あ、あのー」

 

「ああ。ごめんっす。ンフィーちゃん。妻を取っちゃって」

 

「い、いえ。そうではなく。今日はどうしたんです?」

 そうではなく。とは夫としてどうなのだろう。いや、本気で嫉妬されても困るのだが。

 そんなことを考えているとルプスレギナはああ。と言うように一つ頷き、エンリから離れていった。

 その隙に改めて周囲を見回すが、いつも彼女が来ると飛んでくる護衛のゴブリンたちの姿は見えない。

 ンフィーレアと共に暮らすようになってから気を使っているのか、夜間の護衛は離れた場所から行うことになっているので、今頃慌ててこちらに向かってきていることだろう。

 

「そうそう。例のあれを受け取りに来たんすよ。いやぁ、うちの女性陣が最近色々と動いているらしいんすよ、妹たちまで一緒になって、お姉ちゃんは嬉しいやら悲しいやら。まま、そんなわけで、さあ下さいっす」

 

「あ、はい。ちょっと待っててください。取ってきます」

 ずいと差し出された手を前に、ンフィーレアは慌てて自宅に戻る。

 

「あの、ンフィーに何か頼んでいたんですか?」

 

「んー? 言っちゃっていいんすかねー。内緒にしてるんなら知らない方が、いやいや。夫婦の間で隠し事はなしっすよねー。うんうん。んぷぷ、実はっすね」

 何やら一人で小芝居を始めるルプスレギナ。要するに言いたいのだろう。

 

「滋養回復系のポーション。いわゆる精力剤ね」

 耳元で色っぽく呟かれ、止めとばかりに、耳を一つ舐められる。

 

「んっ!」

 

「あはは。色っぽい声っすね。ンフィーちゃんは毎晩その声を聴いているんすねー」

 

「る、ルプスレギナさん、やめて下さい」

 耳を押さえながら声を張り上げる。それと同時に自宅からンフィーレアが革袋を持って戻ってくる。

 

「えっと。どうしたの?」

 自分とルプスレギナを交互に見ながら首を傾げるンフィーレアに、ルプスレギナの口元に裂けるような笑みが浮かんだのを見て、エンリは先手を打って大きく首を横に振った。

 

「な、なんでもない! 大丈夫」

 

「そう? ならいいけど、あ。ルプスレギナさん。これが例の──あれです」

 言葉を濁すンフィーレアに少々不満を覚える。

 そう言えば床に就く前に何かしていると思っていたが、精力剤を飲んでいたとは。

 

「どうもどうも。この分はちゃんと成果として加算しておくっすからね。そのうち商品としての売り出しも検討するっす。なにせ──」

 革袋を受け取ったルプスレギナは、ンフィーレアとエンリに向かって一度ずつ鼻を鳴らし、ニタリと意地悪く笑った。

 

「効果のほどは実演済み見たいっすからね」

 

「ルプスレギナさん!」

 今度こそ、大声を出してしまったせいで、護衛だけではなく仕事をしていた全てのゴブリンが集合してしまい、言い訳に苦慮する結果となってしまった。

 

 

 ・

 

 

「妹はそっちでしょぉ」

 

「……違う。そっちが妹」

 

「そっちぃ」

 両手を持ち上げ、威嚇のポーズを取るエントマと、ファイティングポーズで向かい合うシズ。

 

「あ、あのう。お二人とも喧嘩は止めた方が良いかと」

 

「……妹の躾は姉の仕事。ネイアはそこで見てて」

 

「そうですぅ。妹の友達ぃ。私はシズが変な勘違いをしているからぁ、姉としてそれを正してあげているだけですぅ」

 

「で、でも。お二人とも今は仕事中じゃないんですか? ユリさんに言いつけますよ。私は二人が喧嘩しないようにちゃんと見ていてって頼まれているんですから」

 

「……むぅ。後輩のくせにぃ」

 

「うぅ。なんでユリ姉様はこの娘にぃ」

 シズの姉妹である──この状況を見ては妹とも姉とも言いたくない──エントマが持ち上げていた手を下ろす。

 それは自分も聞きたいところだ。

 今回の仕事は聖王国と魔導王の宝石箱の合同で行われる。とはいえ聖王国側から参加しているのはネイアと数人の道案内役だけであり、魔導王の宝石箱もアンデッドが殆どで、従業員はシズとエントマの二人だけだ。

 その中で何故かネイアがリーダーに任命され、同時にユリから二人の面倒も見てほしいと頼まれたのだ。自分には向いていないと思ったが、この喧嘩ばかりの二人を見ているとまだ自分の方がなんとかなる気がしてくる。

 

「バラハ班長閣下。そろそろ目撃情報があったポイントらしいですよ」

 

「班長はともかく閣下はやめてくださいよ、メナさん」

 戦争後退役せずに、そのまま軍士として残り、今回の仕事にも自ら志願してくれたという元弓兵部隊第七班のメナの言葉を必死に否定する。

 既にネイアは聖騎士団に戻っており、当然弓兵部隊も解散しているのだが、彼はいまだに自分を班長と呼ぶ。

 そのことは諦めたが、ここ最近ではこうして閣下という名称まで付けてくるようになった。

 

「いいじゃねぇか。元九色のオルランド・カンパーノ殿だってそう呼ばれていたらしいぜ。せっかく同じ地位に就いたんだからよ。まずは呼び方からってな」

 

「強さも経験も違いすぎますよぉ」

 かつて自分の父とも肩を並べて戦っていた九色の中でも強さだけでその地位に就いた存在と、政治的な意味合いで殆ど無理やり父と同じ九色の黒を押し付けられただけのネイアとでは、天と地ほど差がある。

 

「だからこそだろうよ。先ずはって言っただろ。形からでも周りにそう認識してもらうことが大事なのさ。実力は後から付けりゃいい。今はのんきなこと言ってる場合でもないからな。んじゃ伝えましたよ」

 カラカラと笑いながら、言いたいことだけ一気に言い放ち、メナは返事も聞かずに戻っていった。

 確かにそうだ。聖王国の現状は決して安定してはいない。

 魔導王の宝石箱の協力により、再び復興に向けて動き出したが、今度は国内での不和が大きくなってきたと聞いている。

 ヤルダバオトとの戦いや、先の法国との戦争、そのどちらにも参加しなかった一部の者たちが、聖王国の教義を捨てアンデッドを積極的に取り入れようとする聖王女の政策に反対しているらしい。

 ネイアのような未熟な聖騎士見習いが九色を授かったのも、それが理由だ。

 要するに、聖王女の地盤固めに加え、聖王女派閥の生命線である魔導王の宝石箱と聖王国の誉れである九色が共に仕事を行うことで、友好関係の強化を図りたいということだ。

 そのことは聖王女から直接聞いており、聖王国のためだと言われたら嫌とは言えない。

 メナにはそこまで詳しく話してはいないが、雰囲気で察しているのだろう。だからこそ、先ずはここにいる案内役たちにネイアが九色の一人だと印象付けようとしてくれているわけだ。

 事実、乗り込んだ案内役の水夫たちが、遠巻きにこちらに意識を向けているのがわかる。

 

「……ん。じゃあ、ネイア班長閣下。そろそろ準備する」

 

「もう。シズ先輩までー」

 無表情ながら、明らかにネイアをからかっていることが分かる。

 

「まぁまぁ。妹ってそういうものだからぁ。私たちは姉として大目に見てあげましょうよぉ」

 

「い、いや。私は姉では……というかエントマさん。急にどうしたんです?」

 

「……ネイア。エントマは私の妹だからさん付けじゃなくて、エントマちゃんとかで良い」

 

「それは流石に」

 

「……」

 無言で両手を上げたエントマからシャー。という威嚇音のような声が聞こえてくる。

 また喧嘩が始まるのか。と思ったが、エントマはゆっくりと手を下げた。

 

「私はぁ。姉だからぁ。怒らないぃ」

 低い声は明らかに怒りを抑え込んでいるだけなのが分かるが、それでも先程までは我慢などしていなかったのに、急にどうしたのだろう。と考えて、なんとなく答えに気が付いた。先ほどのメナの言葉だ。周りにそう認識してもらうことが大事。それを実践し、姉として振る舞うことで、周囲にそれを認めさせようとしてるのではないだろうか。

 

「…………! エントマ。卑怯な」

 同じタイミングでその事実に気づいたらしいシズが、ジロリとエントマを睨みつける。

 

「何のことかしらぁ」

 

「…………やはり先に決着を」

 

「望むところぉ」

 

「っ! 待ってください、霧が出てきました!」

 周囲にうっすらと霧が立ち込める。

 本来この甲板上には霧など発生しないはず。むしろ少し離れた場所に霧を発生させることで、内部に霧を入れないのがこの幽霊船の特徴なのだ。

 それに干渉するとすれば……

 

「班長閣下! お出ましだ。この船は便利だが、霧のせいで視界が狭いのが難点だな」

 幽霊船は海に入っても少し浮かんでいるため波も関係なく、自分の意志で進むので風も必要ないのはいいが、常に船を中心として霧を張り出しているせいで、遠くが見えづらいという欠点がある。

 だからこそ、常に警戒を続けていたのだが、遅かった。

 

「二人とも! 喧嘩は終わりにしてください。幽霊船が出ました」

「……はぁい」

「……生意気」

 シズの言葉は聞かなかったことにして、ネイアは大きく息を吸う。

 

「皆さん。所定の位置についてください! 幽霊船の捕縛任務開始です」

 声を張り上げると、水夫やメナ、そしてアンデッドたちがそれに応えて雄たけびを上げる。

 未だ混乱渦巻く聖王国のため、ネイアはネイアにできることをやるだけだ。

 それこそが聖王国を救ってくれたアインズに報いることになるのだから。

 

「二人とも。頑張りましょう」

 改めて大切な友達の少女と、きっとこれから友達になれる少女に声をかける。

 聖王国の思惑がどうあれ、この感情は計算したものではない、ネイアの本心なのだから。

 二人は一瞬、顔を見合わせてから揃って手を持ち上げた。

 

「おぉー」

「……オー」

 その様子を見ながらネイアは満足げに頷き、背中から再び貸してもらったアルティメイト・シューティングスター・スーパーを手に取った。

 

 

 ・

 

 

「全くよぉ。せっかくアベリオン丘陵に来たってのに、やることは荷物運びかよ」

 

「護衛と言わんか。これは鍛冶師長が作り上げた最高傑作にルーンを五つも刻んだ一品。陛下の許しを得てようやく販売にこぎ着けたんじゃ、道中何かあってはたまらんからのぅ」

 これまで店で出していたルーン武器は、ルーン工匠のものではなく、アインズ手持ちの伝説級ルーン武器を貸し出していた。

 そのせいで客のルーン武器そのものに対する期待値が跳ね上がってしまい、今まで作っていたようなルーン武器では売れないとのことで、ルーン工匠たちは先ずルーンの研究に着手した。

 その結果、現在残っているルーン工匠では四つが限度だったものを、五つのルーンまでは刻むことに成功した。かつてルーン工匠が栄華を極めた祖父の時代に刻まれた六つとはまではいかないが、この短期間での成果としては上出来だ。

 それと時を同じくして、アインズから受け取った特殊金属の溶解に成功した鍛冶工房長が作り出した剣に早速ルーンを刻み込んだ。

 これよって生まれた、純ドワーフ産のルーン武器。

 それをアインズに献上し確認してもらったことでやっと、魔導王の宝石箱のルーン武器として売り出す許可が出たのだ。

 もちろんまだまだ武器の性能はアインズの持つ二十個ものルーンが刻まれた武器には遠く、及ばないため、貸し出しをしている物の廉価版という不名誉な肩書きを付けての販売なのだが。

 

「アベリオン丘陵はともかく聖王国は亜人には厳しいと聞くからのぅ。一人ではちと不安でな」

 ドワーフは亜人ではないが、人間とも違う価値観で生きているため、一人で向かうのは心細い。

 それにゴンド自身、華々しい成長を遂げ、皆から讃えられるルーン工匠を見ているのが辛く、自分からこの荷運びの仕事を請け負ったのだ。

 才能の無い自分にはピッタリだと。

 それを思い出してしまい、気分が落ち込んだゴンドの背中に突然衝撃が走る。

 

「ま、これも仕事だ。さっさと終わらせてアベリオン丘陵を観光して帰ろうや」

 バシバシと背中を叩く、巨躯の蜥蜴人(リザードマン)ゼンベルに、ゴンドはため息を吐いた。

 

「お主、前々から思っておったが、本当に変わった蜥蜴人(リザードマン)じゃのう」

 蜥蜴人(リザードマン)は、本来とても閉鎖的な種族だ。

 住んでいる場所から動こうとせず、外の世界に出ようとする者は旅人の烙印を押される。

 それが理由なのかは不明だが、種族全体として、他種族と関わることを拒む傾向にあるように思える。

 実際ゴンドも仕事の中で、何度か他の蜥蜴人(リザードマン)と会うことがあったが、みな必要最低限の会話しかしないようにしている節があった。

 かつてドワーフの国に現れ、今でもこうして気さくに話しかけてくるゼンベルと比べるとなおさらだ。

 

「そうか? 最近じゃ、同じ旅人のザリュースの奴も頭の固い爺みたいな思考になっちまったせいで、外に一緒に行ってくれる奴もいなくてなぁ。だから誘ってくれたゴンドには感謝してるんだぜ? お前とは馬が合うからな。夜は酒盛りと行こうじゃねぇか!」

 確かにそれはそう思う。

 この変わり者の蜥蜴人(リザードマン)と自分は不思議と相性が良い。

 アインズたちと出会ったあの旅で唯一、魔導王の宝石箱の直接の配下ではない者同士だったというのもあってなのか、良く話をした。ゴンドが誰か護衛をと考えた時にまず思い浮かんだのがゼンベルだったのもそれが理由だ。

 しかし最後の言葉には頷けない。

 

「だから儂はそれほど酒は好かんと……」

 何度もそう言っているのだが、ゼンベルは毎回忘れて同じことを言う。

 

「ドワーフのくせに酒嫌いなんて、お前もよっぽど変わりもんじゃねぇか。だがよ、古い考えを変えていくのはいつだって変わりもんって相場が決まってんだ。何落ち込んでんのか知らねぇけど、胸張っていこうぜ」

 笑い飛ばすようにゼンベルが言う。

 どうやらゼンベルは自分が気落ちしていることに気づいていたらしい。

 

「……そうか。儂等は変わり者同士というわけか。その意味では陛下が一番の変わり者じゃな」

 

「当たり前よ。なんせ世界の頂点に立とうって御方だぜ。そりゃ世界に一人だけしかいない変わり者中の変わり者だぜ」

 

「それもそうじゃな! よし、儂も久しぶりに飲むか! 愚痴りたいことがたくさんあるのでな」

 

「おいおい。酒は楽しく飲もうぜ」

 

「なにを言うか、苦手な酒に付き合うんじゃ。それぐらい我慢せい」

 

「へいへい。そんじゃさっさと行こうぜ」

 荷物を背負ったままズンズンと突き進む変わり者の友人を見ながらゴンドは思う。

 確かに自分は祖父や父のようにルーン工匠としての才能はなく、これからも大成する事は無いのかもしれない。

 しかし、一度火が消え掛けていたルーン技術に再度日の目を当てたのは、自分が変わり者であり、才能が無かったおかげなのだ。

 だからこそ、アインズに。そしてこの変わり者の友人と出会うことができた。

 そのことには胸を張って良いはずだ。

 そう考えると重かった足取りも、軽くなったような気がする。

 今ならば、この武器を注文した聖王国相手でも、これはルーン工匠の総力を挙げて作り上げた品なのだと胸を張って言えることだろう。

 

 

 ・

 

 

「ドワーフの護衛が蜥蜴人(リザードマン)とは……本当に亜人が増えたな」

 荷物の受け取りが完了後、配達人を見送ってから、レメディオスがため息混じりに呟く。

 

「そうですね。昔では考えられない光景です。この亜人をくい止めるための城壁が、亜人との交易の拠点になるだなんて」

 今でも信じられない。とグスターボは首を横に振った。

 

「しかし、まだ両者とも完全に信頼関係が築かれた訳ではない。だからこそ、有事に備えた監視として我々がここにいるんだ」

 現在の聖王国の情勢で、カルカの下を離れるのは心配だったが、そのカルカたっての頼みであり、更に聖騎士団見習いでありながら九色の黒を授かったネイアも自分と同じく、魔導王の宝石箱がらみの仕事を請け負っているのだと聞けば、自分だけ断るわけにはいかない。

 

「ですね。早くこうした仕事をしなくて済むようになると良いですな」

 つまり聖騎士という武力による監視が無くても、お互いに信頼し合える関係ができればいいという意味だ。

 

「とは言え亜人との確執は根深い、まだ時間は掛かるだろうな。カルカ様は積極的に亜人との交友関係を構築していくと言ったが、どうされるおつもりなのか……」

 

「……」

 

「なんだ。変な顔をして」

 

「いやー、団長も成長したなぁ。と、イサンドロ副団長が居たら泣いて喜んでいたことでしょう」

 

「それは皮肉か?」

 

「い、いえいえ。あ、ところで団長。今回の取引で団長の専用武器も購入したって聞きましたけど、何買ったんです?」

 話を変えたいのが見え見えだが、それに気づかない振りをしてやるのが、良い上司というものだ。

 実際早く中身を見たくて溜まらなかったということもあり、レメディオスは布で巻かれた一本の剣を取り出した。

 見事な装飾の施された鞘に納められた一本の剣。それも貴族たちが持つようなゴテゴテとした装飾ではなく、機能性を突き詰めた上で中心に注文通り聖王国の紋章が刻まれ、それを際だたせるような装飾だ。

 そしてゆっくりと刀身を引き抜くと、そこには五つの不思議な形の文字、ルーンが刻み込まれていた。

 聖剣は確かに強いが、あくまで悪魔やアンデッドなどの邪悪な相手に特化している。

 対してこの武器のルーンは、多種多様な状況に対応できる汎用性を高める組み合わせを相談して決めたものだ。

 

「貸し出しではなく、購入できる物だから、ネイアが使っていた弓よりは少し落ちるが、購入できる物の中では一番の剣だ。普段使いではこの方が良いからな……よし、ちょうど良い。これの使い心地を確かめたい。グスターボ、訓練をするぞ」

 

「ええ? 今からですか?」

 

「今からだ。不服か? なら先ほどの話の続きでもするか?」

 

「いえいえ。お付き合いしますとも……しかし団長、少し妹さんに似てきていませんか? そう言う方向の成長はちょっと……」

 大きく首を振ってから了承したグスターボがため息を吐く。

 

「あの腹黒と一緒にするな。よし行くぞ、聖王国をカルカ様を守るため、私はもっと強くならねばならないからな!」

 剣を手に意気揚々とレメディオスは歩き出す。

 主にして親友であるカルカを守るため、頭脳面だけではなく、剣の強さも今まで以上に磨かなくてはならない。

 カルカと自分たち姉妹が目指した誰も泣かない国、そこに至るまでの道なりはまだまだ遠く、険しいのだから──

 

 

 ・

 

 

「王国と帝国は直ぐにはぶつかりそうにないわね……皇帝が先延ばしにしたのか、それとも王国の新王がやり手なのかしら」

 元法国の領土を平定した後は、直ぐにでも帝国が動くかと思っていたが、その様子は無い。

 聖王国にとっては二国間で争って貰っていた方が良かっただけに、正直残念だ。

 他国とは言え戦争が起こらないことを残念に思う辺り、自分も大分性格が歪んできたと自覚できる。

 為政者としてはそちらの方がいいのだろうが、徐々に罪悪感を感じなくなっていくことで、今までの自分が消えていくような恐怖感もあった。

 小さく頭を振って、それ以上考えないようにしてから、時間を確認する。

 これから貴族との会談がある。

 今後の聖王国にとって、貴族との関係は重要だ。

 

 それというのもケラルトの死去と、復興や防衛にアンデッドを使用したことで、聖王国内の神殿勢力と王家の関係が殆ど断絶状態になったからだ。

 ヤルダバオトの件でそもそも神殿勢力もかなりの被害を受け、民の多くも神殿勢力よりアインズや魔導王の宝石箱を心のより所にしているからこそ、今はまだ大人しくしているが、今後もこれが続くとは限らない。

 復興が終わり、神殿勢力の力も回復した後は、アンデッドを使用することに異を唱えてくるだろう。

 そうなった時に、王家と神殿勢力の結びつきが強いままでは、表だって反対できなくなる。

 その前に王家と神殿勢力は切り離して置かなくてはならない。その代わりとして貴族を懐柔して纏めておく必要がある。

 戦争によってアインズの力を知った貴族相手ならば、カルカでも十分対処可能だ。

 それなりに後暗い手は使わなくてはならないだろうが、今の自分ならばそれもできる。

 レメディオスを荷物の受け渡し監視の為に、城壁に派遣したのもそれが理由だ。

 できる限り自分がそうした手段を使うところは見て欲しくない。

 彼女には今まで通り、カルカにとっての心のオアシスでいて欲しい。

 

「なんて。これも私のワガママかしら」

 カルカはレメディオスまで自分のように汚れて欲しくないと思っているが、そもそも今まではケラルトがこうした仕事を請け負っていたのだ。

 ケラルトにそうした仕事を押しつけていながら、今更自分の手を汚したことを嘆くことも、レメディオスにこうした自分を見て欲しくないと思うのも、自分勝手な考えなのかもしれない。

 レメディオスにもこうした仕事を覚えて貰えば、より手早く聖王国の強国化が進むだろう。

 だがそれでも。

 あれだけの地獄を見て、心が折れてもなお、自分で自分を立て直し、まっすぐに己の信じる道を突き進もうとするレメディオスを見ているとそれを邪魔したくないと思ってしまう。

 

(アインズ様が聖王国にいらっしゃれば。こんなことを考える必要なんてないのに)

 色々と考えていると、いつもこの結論に辿り着く。

 今日もきっといくつも縁談の申し込みがあるのだろう。それを考えると気が重くなる。

 だからこそ、カルカはいつも仕事を始める前に自分の想い人の姿を思い浮かべる。

 あの人はどんな顔をしているのだろう。

 手や足は、体つきは、どんな風に笑い、どんな風に愛を囁くのだろうか。

 まるで夢見る十代の少女のような妄想に自分でも笑ってしまいそうになるが、聖王女となる前から、王族として自由な恋愛など望めなかったカルカにとって、それは物語の中にしか存在しなかったのだから仕方がない。

 

 だが。この恋は夢で終わらせる気はない。

 だからこそ、そちらの情報集めも、なるべく積極的に行っていきたい。

 何しろカルカには時間が残されていないのだから。

 自分を実験体にした美容系魔法により、何とか今の状態をキープしているが、王族であることもふまえると、年齢で言えばそろそろ婿を捕まえないとまずい。

 アインズとの婚姻は、ある意味で今彼女を取り巻く全ての問題を一挙に解決できる最善手でもある。

 そのためなら打てる手は全て打っておこう。

 さし当たってまずはネイアを通じてシズから情報収集を行い、アインズとも積極的に交流を深める。

 そのためにもアインズ自らがこちらに出向くような大口の商談を作る必要がある。

 そう考えると、これから会う貴族たちとの会談にもやる気が出てくると言うものだ。

 聖王国のためにも、貴族たちを丸め込み魔導王の宝石箱と取引を行うようにし向けなくては。

 

「そうよ、私は聖王国の為ならどんなことでもすると誓ったのだから」

 口に出してそう言うと、同時に笑いがこみ上げてくる。

 どうやって貴族を丸め込もうかと、あの手この手と考える今のカルカの顔は、きっと今は亡き親友のようにいやらしい笑い方をしていることだろう。

 聖王国の民を救い、自分を愛してくれるお婿さんを求める彼女の戦いはまだ始まったばかりだ。

 

 

 ・

 

 

 今日も一日が始まる。

 かつては人類が生存できたことを神に感謝していた一日の始まりも、今では憂鬱なものでしかない。

 断じて人類が生存していることを呪うようなことはあり得ないが、いつかそう思ってしまうのではないかという不安になる。

 

「あらん。今日も朝から元気がないわねぇ。そんなんじゃ一日を乗り切れなくてよぉん」

 男とも女とも判別しづらい濁声が聞こえ、今日も拷問が始まるのだと実感した。

 たゆまぬ信仰心によって作り上げられた彼らの精神は、あの悪魔に聞かされた最悪の未来予想を乗り越え、再び微かな希望を見出していた。

 いや実際に万年経てばそうなる可能性もあり得るのかもしれないが、こんな横暴がいつまでも続くはずがない。

 かの竜王や、切り札を用意していると思われる元神官長、本物の従属神である闇の神スルシャーナ第一の従者。

 他にも強者はいる。そうした者たちが協力はせずとも、奴らの罪を暴きさえすれば、人間は一致団結できるという希望だ。

 だからこそ、そうした情報だけは口にしてなるものかと、皆必死で拷問に耐え続けていた。

 口にするのもはばかられるおぞましい拷問も、肉体的な意味なら、なんとか耐えることができる。

 しかし、ここしばらく、肉体的な拷問だけでは難しいと悟ったのか、この気色悪い拷問官はやり方を変えてきた。

 そのせいで微かに射した希望の光が、再び曇り始めているのがひしひしと感じられた。

 

「さぁて。今日はどこの映像を見せてあげましょうかしらん」

 水掻きのついた四本指が、地図の上を移動する。

 

「法国。あらん失礼。元法国の様子はこの前見せたのよねん」

 口にした言葉に、背筋におぞけが走る。

 自分たちの祖国にして、神の作り上げた人類生存の防波堤。

 あの戦争において、アインズが如何な手段を用いようと、信仰心という硬い絆で結ばれた国民たちは決して従うことはなく、国民が一致団結し聖戦と称して特攻するだろう。

 そう信じていた。

 しかし、実際に見せられた光景はまるで逆だった。

 自分たち最高執行機関の者たちがヤルダバオトと結託していた事実が広く知れ渡ったことで裏切り者と罵られ、多くの都市があっさりと帝国や王国、聖王国の支配を受け入れて、魔導王の宝石箱の持ち出したゴーレム──流石にアンデッドは認めていないようだが、それも時間の問題のように思えた──を利用し始めていた。

 一部残った敬虔な信徒たちは、無惨に破壊された神都に集まり再起を狙っているが、そこはあの裏切り者クアイエッセが権力を握っており、反対勢力をコントロールして一カ所に纏めようとしているのがわかった。

 残された高位神官たちは、そのクアイエッセの計略により欲に溺れ、そうした信徒たちを他国に売り渡すことで自分たちの安全と財産の保証をしようとしている節すらある。

 そんな現場を見せられた。

 

「それで昨日は聖王国も見せたわねん。なら次はどこが良いかしらん」

 

「ほう、はめてふへ」

 自殺防止のために填められた口枷では上手く話せないことも忘れて、懇願する。

 そう。見せられたのは法国だけではない。

 今まで見せられた光景に映し出された人間たちは、その全てが自分たちが人類の守護者として活動していた頃より遙かに生き生きとしており、人生を謳歌して見えた。

 

 自ら望んで魔導王の宝石箱の傘下に入ろうとする者や、あの悪魔の支配する店で、幸せそうに笑い合う少女たち、各国の著名人や三国の支配者たちもそれぞれ、法国のことなどもはや過去のこととばかりに自国のこれからについて話し合っている。

 冒険者やワーカーがアインズ主導の下、未知を切り開くために活動し、様々な商品を購入して自分の夢を叶えようとする者たちもいる。

 あれほど憎み合っていたはず聖王国までがアベリオン丘陵の亜人と交易を開始した。

 それはあの時、悪魔とアインズが語ってみせた、全ての種族がアインズの下で平等となる未来。

 そこに向かって人間たちが突き進み近づきつつあることを示していた。

 

「あらん。良い顔ねん」

 不気味な化け物の指が、地図上の東側に向かって滑っていく。

 爪に塗られた奇怪なネイルアートに付けられた宝石が怪しげに輝き、一点で止まる。

 その場所がどこなのか、当然知っている。

 

「ここ。竜王国って言うのよねん。人間国家でアインズ様の影響を受けていない唯一の国。アルベドのブスがそう言っていたわん」

 三国に加えて、法国の大部分も失った今、魔導王の宝石箱の手に掛かっていない唯一の人間の国ではあるが、竜王国は元々ビーストマンの大攻勢によって滅亡の危機に晒されている。

 法国の支援がなくなったことで、どうなるかなど、想像に難くない。

 そうなったら、いよいよ人間国家全てがアインズの手に落ちることになる。

 

「やへほ!」

 必死になって訴える。

 そんなものを見てしまったら、自分たちの最後の砦すら崩れてしまいそうな予感があったからだ。

 

「さぁ。もっともぉっと、良い顔を見せてねん」

 こちらに顔を近づけてきた化け物の冷たいガラス玉のような瞳が細くなり、笑みを形作った。

 その瞳に写る自分の姿は絶望に歪んでいた。

 

 

 ・

 

 

「はぁ。おい宰相、あれはどうなった?」

 天真爛漫な声で草臥れた中年のような重苦しいため息を吐きながら、竜王国の女王黒鱗の竜王(ブラックスケイル・ドラゴンロード)ドラウディロン・オーリウクルスは頭を抱えながら眼前の宰相に聞いた。

 

「敵の頭を討つために送り出された精鋭部隊は、大量のビーストマンに飲み込まれ、壊滅状態です。豪炎紅蓮は契約外だと既に戦線から離脱したそうです」

 

「ワーカーはこれだから……あいつは?」

 

「クリスタル・ティアの閃烈。彼は最後まで勇敢に戦い、命を落としたとのことです」

 

「あのロリコン。本当に命を投げ出してまで戦うとはな。先に褒美をくれてやればよかったか」

 いつも自分のことをねっとりとした視線で、全身を嘗め回すように見ていた男を思い出す。

 陛下のために命を賭して戦います。と言ってはいたが、それはあくまで褒美としてドラウディロンを手に入れ、自分の欲望を満たすための方便だと思っていたのだが、本当に命がけで戦うとは。

 いや案外そのために頑張り過ぎただけかもしれないが。

 

「ですが、相手にもそれなりの損害を与えたことで、侵攻軍の動きが一時的に止まりました。彼と同様レベルの者がいるかもしれないと慎重になっているのでしょうね」

 ドラウディロンが下手に感傷を抱かないようにしているのか、宰相の言い方は実に淡々としたものだ。

 

「であれば、この貴重な時間を利用して、なんとかしなくてはならないな……法国はもう存在しないとみていいな?」

 

「一応神都周辺は残っていますが、もはやまともな国家として成り立っていません。魔人と結託して自国の民を生贄を用いて儀式を行うことで神の復活を狙っていたという話もあります。救援どころか今までの見返りに、陛下に始原の魔法を使わせて、同じことをしようとする恐れもありますので、警戒が必要かと」

 

「人類の守護者どころか、単なる危険分子の集まりに成り下がったということか。まあ自国の民を犠牲に言う意味では、私もそう変わらないか。始原の魔法を使うには大量の犠牲が必要だからな」

 いつか考えた、どちらを選んでも最悪しかない選択の時が近づいていることを悟る。

 

「……いよいよ覚悟を決めなくてはならないのか」

 

「陛下。その前に他国に救援を求めてみるのはいかがでしょうか?」

 

「他国って、帝国か? やつらも戦争が終わったばかりだろう。手を貸してくれるのか? いや、やるだけやってみるか。いざとなればあの小僧にこの身を捧げる覚悟で……」

 立地的にも法国がだめなら、次は帝国に頼むしかない。

 

「まぁ。現在の帝国の状況では皇帝陛下は正妃は国外から娶ることを考えているでしょうから、可能性がないとは言いませんが……陛下は嫌われていると言っていませんでしたか?」

 

「ああ。あの小僧は演技も巧いが、私の経験による観察眼は誤魔化せん。明らかに私本来の姿に気づき、子供を演じる私を嘲笑していた」

 男受けの良い本来の姿より、老若男女に愛されるこの子供の姿を取ることの方が多く、ドラウディロンは国外との会合でもこの姿を取っている。

 とは言え相手に不快に思われないように、天真爛漫な少女ではなく、幼いながら必死に国を運営する背伸びをして大人のように振舞っている子供という演技をしているのだが、帝国の皇帝ジルクニフはそれに気づいているらしく、一対一で話をすることを避ける様子さえ見せていた。

 とはいえジルクニフも皇帝。国の利益と天秤に掛ければ、無下にはできないだろう。

 つまりドラウディロンと婚姻を結ぶことで、帝国に何らかの利益を出させればいいのだ。

 一番分かりやすいのは婚姻によって、竜王国そのものを帝国に併呑させて一つの国になることだが、ビーストマンの大軍勢が襲ってきているこの現状では、竜王国の土地は帝国にはさほど魅力的には見えないだろう。

 

「ビーストマンと戦ってくれるほどの利益か、何があるかな?」

 

「やはり始原の魔法では? 帝国はフールーダ・パラダインを有していることもあって魔法に関する研究が盛んですから」

 

「実験材料かぁ。それしかないのか」

 ドラウディロン自身、始原の魔法が既存の魔法技術と異なることは理解しており、魔法研究の盛んな帝国ならば貴重な研究対象になるのは分かるが、土地が奪われる上、自身が実験材料にされると考えると、簡単に頷くことはできない。

 しかし物理的に国民が食料とされている現状を打破するにはそれしか──

 

「……陛下。実はもう一つ、方法がございます。少々お金はかかりますが、少なくとも帝国と異なり、竜王国が無くなることはないかと」

 

「何!? そんな方法があるのか? なんだ早く聞かせろ。国庫は厳しいが、法国への寄進が無くなった今ならなんとかできるだろう?」

 突然聞かされた希望に、思わず身を乗り出す。

 

「ええ。そちらは何とかなります。ですが、これも防衛力を他所にゆだねるという意味では帝国と大差ないかもしれませんが」

 

「……なんだ?」

 歯切れの悪い宰相の言葉に、ドラウディロンは前のめりになっていた姿勢を正して真剣に話を聞く体制を整える。

 やや時間を置き、決意したように宰相が口を開いた。

 

「魔導王の宝石箱。という商会をご存じですか?」




次はナザリックの話
最終話です

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