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ワインの味わいを決める要素は、原料であるぶどうと、気候[天]、土壌と地形[地]、つくり手[人]の4つです。それぞれがワインの味わいにどのような影響を与えるか、見てみましょう。
赤ワインになるぶどうの中から、世界で広く栽培されている主要品種12種をご紹介します。
濃い色調、濃い色の果実と清涼感の共存、しっかり酸、しっかりタンニン、カチっとした構造の強さを感じるテクスチュア、凝縮感のある強い味わい、ヒンヤリした冷たさ、ハズレのない安定感、長期の熟成能力など。強い赤ワインの典型を生むぶどうの一つです。
比較的淡い色調、広がる華やかな香り、繊細な果実味、しっかり酸、キメ細かいタンニン、重くならないけど複雑な味わいなど。きまぐれではありますが、エレガントな味わいの典型を生むぶどうの一つです。スパークリングワインの原料としても、重要なぶどうです。
濃い色調、豊かな果実味、スパイシーでスモーキーな独特の香り、動物や肉を連想する香りも。濃くて渋いと思われがちだが、意外に滑らかで上品な味わい。2大産地である、フランスのローヌ地方とオーストラリアではかなり異なった味わいになります。
濃いめの色調。肉厚でタップリとした包み込むような果実味、穏やかな丸い酸、やわらかなタンニン、重量感のあるボディなど。やわらかでタップリとした味わいで、渋い赤ワインを飲みなれない方でも親しみやすいぶどうの一つです。
明るい外観。華やかで甘い果実の香り。ボリュームはあるが、比較的シンプル。やわらかくてフレッシュな果実味、イキイキした酸、軽めのタンニン、軽やかな味わいなど。早飲みのチャーミングなものが中心ですが、中には10年以上の熟成能力を持つものもあります。
名前は海外のぶどうのようですが、新潟県で交配された日本固有のぶどうです。明るい外観、独特の甘い香り。フレッシュでピチピチした果実味、意外に固くて鋭い酸、とても軽くてまろやかなタンニンなど。フルーティーという言葉がぴったりの味わいです。
イタリアで最も広く栽培されている、イタリアを代表する黒ぶどう品種です。多くのクローンがあり、多種多様なスタイルのワインがつくられるので、一概には言えません。呼び名も産地によって色々あり、沢山の顔を持つぶどうです。
現地では牛肉や猪肉などと飲まれますが、食材というよりも、やはりイタリア料理と良い相性を見せます。軽めのものはトマトソースのパスタやピザなども◎。
スペインを代表する黒ぶどう品種。スペイン中で栽培され、サンジョヴェーゼ同様に、多種多様なスタイルのワインが作られます。なめらかな酸とタンニンのコクのある味わいになる事が多いです。
色調は中庸から濃いめ。ドライフルーツを連想させる甘い果実の香りと、おだやかなスパイシーさ、やわらかで肉厚な果実味、まったりとした低い酸、ホロホロと崩れるような独特の質感のタンニン、高いアルコールなど。あたたかさを感じさせる味わいです。
ほほ肉やすね肉などのゼラチン質のあるお肉の、トロリとした煮込みが最高です。スパイスを使った羊料理などともよく楽しまれています。
歴史的に「黒ワイン」と呼ばれた事も納得の暗くて濃厚な色調が特徴。みっちりと詰まった果実の香り。凝縮したボリュームのある果実味、高めの酸、しっかりとしたタンニン、高めのアルコールなど。凝縮感のある強めのワインを生むぶどうです。
しっかりとした濃厚な外観、濃色の果実と植物を感じさせる香り、刺激的なスパイシーさ。凝縮して詰まった果実味と、しっかりとしたタンニン、太くて引き締まった酸。比較的安価な場合でも、ガッチリとして力強く飲み応えのあるワインが出来るぶどうです。
中庸の濃さ、フレッシュで軽やかな果実味、イキイキとした酸味、軽めのタンニン、あまり重量感を感じないボディ。キメ細やかなテクスチュア。涼やかな味わいなど。カベルネ・ソーヴィニヨンの親なので、似たところがありますが、より軽やかな味わいになります。
白ワインになるぶどうの中から、世界で広く栽培されている主要品種10種をご紹介します。
ぶどう品種としての個性的な風味が少なく、産地や醸造方法によって、驚く程多彩な表情を見せるます。すっきりした辛口から、リッチでコクのある辛口、スパークリングワインまで、あらゆるスタイルで高品質のワインを生む、大変ポテンシャルの高いぶどうです。
ワインのタイプによって合う食材は変化します。強いぶどうなので、魚介類だけでなく、豚や鶏肉も◎。樽熟成したものはクリームやバターを使ったお料理に。
アロマティックな果実や花を連想させる香りと、石油のような独特の香り(ペトロール香)が共存しています。引き締まった果実味と、シャープで厳しい酸と、強いミネラル感からくる硬い味わいが印象的な、繊細で透明感あふれる味わいのぶどうです。
弾けるようなもぎたての柑橘類やフレッシュハーブなどの味わいを連想する、鮮やかで若々しい香りが特徴的です。イキイキとした強い酸味と、鮮烈でフレッシュな果実味が特徴の。爽やかな味わいを代表する白ぶどうです。
日本で1,000年の歴史を重ねると言われる、日本固有のぶどう品種です。他のぶどう品種ではあまり感じない日本を感じさせる要素があります。自分からはあまり強く主張しませんが、日本の素材やお料理に寄り添う、穏やかでしっとりとした味わいです。
華やかでボリュームのある香りのアロマティック系品種です。完熟した果実や大輪の花、白いスパイスなどを連想させるゴージャスな香りと、肉厚な果実味、低めの酸味が特徴です。トロリとした粘性の飲み応えのあるワインを生む、魅力的な味わいのぶどうです。
エキゾチックな香りがあるので、ピリ辛系の中華や、エスニック料理、ブルーチーズなどの少しクセのある食材に幅広く合わせる事が出来ます。
強い特徴を持つわけではなく、どちらかというと目立たない存在の地味めのぶどう品種です。味わいの特徴としては落ち着いた酸、どっしりとした重量感のあるボディなど。他のぶどうとのブレンド活きるタイプです。また、貴腐ワインの原料ぶどうとしても重要です。
香りにクセがないので、白身魚、豚肉などと好相性です。ソーヴィニヨン・ブランとブレンドしたボルドータイプは、魚料理全般に広い相性を誇ります。
よく熟した甘くてリッチな果実味と、引き締まった強くて鋭い酸味のメリハリの効いた味わいが特徴的です。海のすぐ横が産地のため、ワインの中に海の塩を感じさせる独特のフレーバーがあります。海の幸の相棒として、高い評価を受けているぶどうです。
グラスからあふれだすような華やかでボリュームのある香りを持つアロマティック系品種です。マスカットやゲヴュルツトラミネールなどに似た華やかな香りが、比較的安価に楽しめるということで、近年人気のぶどうです。酸もしっかりしており、後口はスッキリです。
果実味を活かす、鶏肉や豚肉との相性が抜群。ワインをソースにする感じで、シンプルに焼きがおすすめです。実は中華料理やエスニック料理とも好相性です。
マスカットそのものの香りが楽しめる、フレッシュでフルーティー、軽やかな味わいのぶどうです。世界で広く栽培されているワイン用ぶどうの中では、原料であるぶどうの香りがそのままワインに表現される、ほぼ唯一の存在です。
ピノ・ノワールの果皮の色が突然変異でピンク色になったぶどうです。厚みのあるボディ感とゆったりとした低めの酸味、ほんのりとした苦味などが味わいの特徴です。強さとコク厚みに加えて、豊かな香りもあり、近年人気が上昇しているぶどうの一つです。
天気がワインの味わいに与える影響について見てみましょう。
緯度が高く寒い国と、緯度が低く暖かい国とを比較すると、やはり暖かい国の方がぶどうがよく熟します。ぶどうは熟すにつれて糖分が増し、酸度が低くなっていきます。そうなると、出来上がるワインについてもそのぶどうの特性が出た味わいになっていきます。
わかりやすく例を挙げると、世界で最も緯度の高いワイン生産国の一つであるドイツのワインは酸が強くて軽やかな味わい。逆に太陽が燦々と降り注ぐ南欧スペインのワインはアルコール度数が高くてリッチな味わいと言った感じです。
実際のワインの味わいの変化例としては、「りんご」を思わせる香りが特徴のぶどうを寒いところから暖かいところにかけて栽培すると、寒いところでは「青りんご」、少し暖かくなると「黄色いりんご」、もっと暖かくなると「蜜入りりんご」と言った感じで、同じ系統ながら、より熟して甘くて色の濃い果実を感じさせるようになっていきます。
ただし、ワインの酸味やアルコール度数は、ぶどう品種の個性やぶどうの収穫時期などもワインの味わいに影響を与える一つの要素になりますので、一概に寒い国のワインが酸っぱくて軽やかな味わいで、温かい国のワインがアルコール度数が高くて丸い味わいだとは言い切れません。
近年は地球温暖化の影響によって、これまでワインを生産していなかった北の国(イギリスなど)のワインが評価されていたりしますし、温かい産地ではより標高の高い土地に畑をつくったり、これまでよりも早めに収穫したりして、味わいのバランスを取っているようです。
気候がワインの味わいに与える影響として、もう一つ要素があります。それが「ヴィンテージ」です。たとえ同じ土地であったとしても、自然は毎年異なった天候を我々に与えます。農産物であるぶどうの味わいにはその年の天候が反映され、その結果としてワインの味わいにも、その年の天候の影響が刻まれます。同じ銘柄のワインでも、暖かかった年のワインは、果実味が豊かでまろやかに、反対に涼しかった年のワインは、酸がしっかりしてボリューム感よりもエレガントさが表現されるといったように、ぶどうが収穫された年の天候によって味わいに違いが出ます。
ワインのラベルにぶどうの収穫年が表示される事が多いのは、ぶどうが収穫された年によってワインの味わいが変化するのが当然だからです。
現在では古くて価値のあるものを「ヴィンテージ」と呼んでいますが、英語のVintageの本来の意味は「ぶどうの収穫」。そこから、ワインになるぶどうが収穫された年の事をヴィンテージと呼びます。
ヴィンテージワインというと、晴れが多くてぶどうがよく熟した年のワインの事を言う事が多いのですが、毎年の気候を「いい」「悪い」ではなく、それぞれの「個性」と捉えると、ワインが農産物である事をより実感出来るかと思います。
ちなみに、低価格の量販ブランドワインなどでは、色々なぶどうをブレンドする事でブランドの味わいを表現しているので、ヴィンテージの個性は現れにくくなっています。
ぶどうを育む大地がワインの味わいに与える影響について見てみましょう。
ぶどうは土から養分を吸収するため、ぶどうが植わっている畑がどのような土壌であるかという事も、 ワインの味わいに影響を与えます。一般的にぶどうは痩せた水はけのよい土壌を好むと言いますが、これは植えられたぶどうの品種によっても異なってくるので、ワイン用のぶどうにはこのタイプの土壌がよいと言い切る事は出来ません。また、ぶどうは地中10m以上にも深く根を伸ばすこともあるため、表面の土だけでなく、深いところの土壌も味わいに影響すると言われています。
ではどのような土壌だと、どのような味わいになるのかというところですが、これを証明するのはなかなか難しく、まだまだ飲み手の感覚の部分に委ねられているようです。ただ、つくり手・製法・エリア・年度・ぶどう品種までが同じで、そして土壌だけ異なる畑から取れたぶどうでつくったワインの味わいを比較した場合に、確かに違いは感じられます。
もう一つの地形が味わいに与える影響ですが、同じ畑でも微妙な傾斜や畑の向きによって、日照条件や水はけ、風通しなどが異なる事はよくあります。微妙とは言え自然条件が異なれば、ぶどうの熟し方も変わってきますので、これもまたワインの味わいに影響を及ぼす要素と言えるでしょう。
ワインのつくり手である人がワインの味わいに与える影響について見てみましょう。
「気候や天候」や、「土壌と地形」などと同様に(もしかしたらそれ以上に)、ワインの味わいに影響を与えるのが、「ワインのつくり手」です。
イメージとしてはお料理を考えるとわかりやすいかもしれません。例えば、3人の方に同じ材料を渡して、「肉じゃが」を作ってくださいとお願いしたとします。3つの「肉じゃが」が出来るわけですが、それぞれの見た目や味わいは当然同じではありません。素材の分量が違ったり、調味料の配合や種類が違ったり、加熱時間が違ったりする事で、同じ「肉じゃが」という料理ながら、異なる味わいになります。ワインも同じ事。同じ産地で同じヴィンテージの同じ品種のぶどうを使って仕込んだとしても、つくり手が違えば違う味のワインが出来上がります。
出来上がるワインの味わいに影響を与える要素(の一部)としては、以下のような事が挙げられます。それぞれがどのように影響を与えるかはここでは割愛しますが、ワインのつくり手が考える必要がある事はものすごく沢山あるという事ですね。
ぶどうの栽培方法 | 品種の選択、剪定の方法、密植度、栽培管理、収穫時期、収量など |
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ワインの仕込み方 | 選果のレベル、圧搾の道具、圧搾率、発酵容器の素材や大きさ、 発酵管理の方法、発酵温度や期間、酵母、 複数品種を使うワインの場合ブレンド比率など |
熟成の方法 | 熟成させる容器の素材や大きさ、 熟成させる場所(温度や湿度)、熟成期間など |
その他のちがい | 瓶や栓の選択、価格設定など |
温度でワインの味わいは結構変化します。ワインを愉しむオススメの温度をご紹介します。
●赤ワインを高めの温度で飲むのは、低い温度で飲んでしまうと、折角の香りがあまり感じられず(一般的に赤ワインの方が白ワインよりも香りの要素が多い)、渋みを必要以上に強く感じてしまうからです。なので、タンニンの少ないボジョレーヌーヴォーのようなワインは赤ワインでも少し冷やして飲むことが多いのです。
●甘口のワインを低い温度で飲むのは、甘さをさっぱり、酸味(これがしっかりする事で、甘さをあまり感じさせなくする)をしっかりさせて、べったりとした味わいに感じさせないためです。
●辛口の白ワインの場合、フレッシュでフルーティーな軽やかなタイプは、低めの温度で爽やかさ・酸味を立たせるようにして飲むのがおすすめです。コクのある重いタイプは、香りやコクが強く感じ取れる高めの温度で飲むと、よりおいしく味わえます。
●スパークリングワインは基本しっかり冷やしてください。きちんと冷やさないと、抜栓の際に栓が飛び出したり、ワインが吹き出したりする可能性があります。(▶詳しくはこちらの動画をご覧ください)辛口でコクのあるものは、抜栓した後に常温に置いて、温度を上げながら飲むと味わいの広がりを楽しむ事が出来ます。
赤ワインは「室温」で飲むとよい、と一般的には言われることが多いです。空調してある日本の室温は大体25~28℃くらいでしょうか。そこで、上の飲み頃温度表で赤ワインを見てみると、日本の室温はやや高すぎるという事になります。ここで言う「室温」とはヨーロッパの昔の石造りの家の室温なんですね。日本では赤ワインでも飲む前に少し冷やしてあげた方がおいしく感じる事が多いようです。
※室温25℃のワインを冷やす事を想定しています。冷蔵庫は機種による差もありますので、大体の目安の時間とお考え下さい。
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