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【社会】

目黒虐待死「結愛ごめんなさい」 母、被告人質問で涙

 東京都目黒区で昨年三月、両親に虐待された船戸結愛(ゆあ)ちゃん=当時(5つ)=が死亡した事件で、保護責任者遺棄致死罪に問われた母親の優里(ゆり)被告(27)の裁判員裁判が五日、東京地裁であり、優里被告は被告人質問で「結愛にごめんなさいと謝り続けるしかない」と涙した。

 二〇一五年に香川県で夫の雄大(ゆうだい)被告(34)=同罪と傷害罪などで起訴=と出会ったころは、「幅広い知識を持っている人」と尊敬していた。だが、翌年に結婚すると優里被告の行動や性格を否定するようになり、実子ではない結愛ちゃんには「しつけ」と称して暴力を振るうようになったという。

 児童相談所による二度の一時保護を経て、優里被告と結愛ちゃんは昨年一月、目黒区に転居。一カ月早く上京していた雄大被告は「結愛が太った」と優里被告を責め、結愛ちゃんの食事は「スープにごはんを混ぜたおじやなどだけになった」という。

 雄大被告に何度も殴られ、二月二十七日からは毎日嘔吐(おうと)するようになっていた結愛ちゃん。「病院に連れて行かせて」と雄大被告に頼んだが、「あざが消えたらね」とかわされたという。

 亡くなった三月二日の午後、優里被告は雄大被告に「とにかく外に行って」と頼み、一緒にDVDを見るなどして過ごした。間もなく結愛ちゃんは死亡。そのときの心情を弁護人に問われた優里被告は、うつむいたまま押し黙った。

 雄大被告から「おまえに育児は任せられない」などと説教を受け続けていたという優里被告。「当時はDV(ドメスティックバイオレンス)という認識はなかった。誰かに助けを求めるという考えも浮かばなかった。もっと周りを頼るべきだった」と悔やんだ。

  (山下葉月)

 

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