@chablis777
シャブリ

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(雪次郎)お待たせしました!雪月ロールとシュークリームそしておバタ餡サンドです。
優ちゃん これはな粒あんが6 バタークリームが4の割合で混ぜてあるんだ。そこに焼き塩を隠し味に使ってる。
(夕見子)そったらこと優が聞いたって分かるわけないべさ。
分からなくても手ぇ抜かねえのが雪月の魂だべ。
いい いい。 優 いいから食べな。
(優)頂きます。
(雪見)どう? 優ちゃん うまいかい?
うん おいしい!
よかった。何で あんたが喜んでんのさ?
そりゃ 雪月の魂受け継いでるからだべさ。 なあ。
無理に受け継がなくてもいいからね。
雪見の人生は 雪見のもんなんだから。
そんな 雪見に分からんこと言うなや。(夕見子)分かるべさ。
(なつ)雪見君も大変だね。
えっ?何さ それ。
ハハ…。
(妙子)なっちゃん いかったわ。
何がですか?
なっちゃんが笑ってて。
お義母さん そったらこと言えばなつが 無理して笑ってるのがばれてしまうでないですか。
ああ… それは悪かったね。
いや いいんですよ。
そんなに無理してないよ 夕見。そう?
天陽君 ちゃんといたから…。
びっくりするくらい今でも変わらずに いるような気がする…。
そうかい…。
俺も そうなんだ なっちゃん。
天陽が いなくなったとはどうしても思えねえんだわ…。
♪~
♪「重い扉を押し開けたら暗い道が続いてて」
♪「めげずに歩いたその先に知らなかった世界」
♪「氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ」
♪「切り取られることのない丸い大空の色を」
♪「優しいあの子にも教えたい」
♪「ルルル…」
(とよ)あ~れ なっちゃんかい。
とよばあちゃん。
相変わらず めんこいね なっちゃんは。
えっ… とよばあちゃん?
あっ なっちゃんは こっちか。
え…。(夕見子 雪次郎)ばあちゃん。
もう… やだ 心臓が止まるかと思った!
何で あんたらが びっくりしてんの?
やだ もうそったら冗談やめて下さいよ!冗談になりませんから!(雪之助)お~ なっちゃん いらっしゃい。
あっ おじさんご無沙汰してます。
優ちゃんか。いらっしゃい。
ごぶさたしてます。ハハハハ…。
なっちゃん ちょっとねなっちゃんに見てほしいもんあんだわ。
何ですか?あれね。
いや… まだ それは早いんでねえか?何でよ?
いや それ見たら なっちゃん 泣くべや。えっ?
泣くと思う。何?
いやね…亡くなる前の天陽君に頼んでたんだわ。
この店の… 雪月のね包装紙を描いてくんないかって。
包装紙?(雪之助)うん。
それがね これなんだ。
♪~
(雪之助)この絵をさ 夜遅くにね天陽君が ここに持ってきてくれたんだ。
すばらしいな…。
この女の子はさひょっとして なっちゃんかい?
(天陽)なっちゃんみたいな人がこの十勝にはいや 北海道には たくさんいるでしょう。うん。
自然に 開拓者精神を受け継いでたくましく生きてる人が…。
そだね…。
僕の十勝も そういうなっちゃんから始まってるんですよ。
(雪之助)これはそのころの なっちゃんなんだね…。
そういう出会いを 雪月のお菓子にも込めたいと思ったんです。
うれしいね それは ハハハ…。
いや なっちゃんもそれ聞いたら喜ぶだろうね。
したら お菓子を送ってあげて下さい。うん?
東京に…。
もし なっちゃんが何かに くじけそうになった時にはそれで 雪月のお菓子を包んで送ってあげて下さい。
雪月のお菓子がたくさんの人を喜ばせるように今のなっちゃんも たくさんの人を喜ばせなくちゃならないでしょ。
きっと それを感じてくれますよ。
天陽君は 子どもの頃の思いをず~っと大切にしてたんだね。
(雪之助)それは なっちゃんも おんなじだべ?
♪~
ほれ あんた… これを。
はい。 はい はい。
なっちゃん残された者は つらいけどさその分 強くもなれるべさ。
ならないば先に逝った者に恥ずかしいからね。
大切な思い出に恥ずかしくないように生きないば。
はい… とよばあちゃん。
(雪之助)なっちゃんこれ 東京への土産に持ってって。
え…。
はい。東京のなっちゃんさ。
ありがとうございます…。
♪~
ただいま。ただいま。
(富士子)お帰り。(砂良)お帰り。
よいしょ。あっ あんたも来たの。
うん。 なつと優を 車で送ってきたの。
あっ 弥市郎さん。
(弥市郎)おお…。
天陽の人生には 長いも短いもない…。
そこにあるだけだ。
天陽の人生は ただ そこにある。それは なんと美しいことか…。あいつはあいつの作品そのものになったんだ。
俺は 羨ましいとさえ思う。
俺は… 天陽になり損ねて生きてるだけだ。
(剛男)そうかもしれませんね。
あ?
あ いや…弥市郎さんのことではなくて天陽君は 家族にとっていや その作品のように永遠に生き続けるものだと教えたくて病院を抜け出して 家に帰ってきたのかもしれないなと思って…。
それでも やっぱり悲しいわよ 家族は…。
(照男)悲しいのは当たり前だべ。天陽も それは よく分かってたんだ。
したから 最後に会いたかったんだべさ。
悲しみが大きい分だけ 家族には大きな幸せも残るんでないのかい。
(地平)死に方まで かっこいいもな山田天陽は。
お前 そう軽々しく言うな。軽々しくなんか言ってねえわ。
あんたのラブレター熊に つきあってくれた時の天陽君も かっこよかったもね。
その話はするな。
(泰樹)なつ…。うん?
お前は大丈夫なのか?
うん… 大丈夫。
じいちゃん… やっぱり天陽君は すごいわ。うん。
こうして 今でも みんなの中に生きてる。
きっと… それが答えだね 天陽君の。
うん。
「あるものといっては風の吹くままに 明るくなったりかげったりしながら波うつ草ばかりのとめどなくつづく広い大草原とその上に広がる大きな大きな青い空と草原から飛び立ちのぼっていく太陽に よろこびの歌をうたっている鳥たちだけでした。これだけ広い土地と空のなかに小さな幌馬車がぽつんと ひとつ立っているのです。そして…」。
<「父さんと母さんメアリィとローラとキャリーがすわり…」>
♪~
ママ! ママ!
うう…。
どうしたの? 優。
ママ すごい!えっ?
これ ママが描いたんでしょ?
昨日のお話でしょ? これ。
見たい! 優ちゃん これ見たいよ ママ!
見たいの? 優 これ見たい?
うん 見たい!
♪~
母さん!
あっ おはよう。おはよう。
ちょっと東京に… 電話 借りていい?
なんも いいけど どしたの?
ちょっと…。
♪~
なつよ… それが 君の答えか。


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