挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
異世界転移で女神様から祝福を! ~いえ、手持ちの異能があるので結構です~ 作者:コーダ

第9章 エルガント神国編

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました
218/264

列伝第4話 A級冒険者クロードの英雄譚(後)

おまけであり、真実であり、人によっては蛇足でもある。

列伝、真の最終話です。

 リフェル公国奪還から1週間が経過した。


 冒険者、騎士達が国内の確認を終え、リフェル公国の国民達が帰国を始める。

 そんな中、リフェル公国の占拠の際、最初に偽アンデッドが溢れた森の中で、何者かが笑い声を漏らしていた。


『くっくっく、いやはや、中々に面白い見世物であった。我が力を与えただけの価値はある』


 その存在は周囲に瘴気を撒き散らしながら、その黒い靄の身体を振るわせる。


『ああ、やはり人間で遊ぶのは本当に楽しい。さてさて、次はここから西で遊戯を始めるとしようか。いずれは、あの面倒な聖域とやらも喰らい尽してやりたいからな』

「残念ですが、貴方に次はありません」

『何者だ』


 少し前までは、森の中には黒い靄以外、誰もいなかった。

 しかし、ほんの一瞬で8人分の気配が近づいて来ていた。


「僕達は『セイバーズ』と名乗っています。当然、僕達の事はご存知ですよね?」

『ああ、我がしもべを討ち果たした者達だな。何故、ここに来れた?ここに我が居る事を予め知っていたのか?』

「はい。貴方が偽アンデッドや男を通じて、僕達の事を見ていると言う事も知っています」


 その存在……偽アンデッドに自身の欠片を宿らせていた邪精霊の集合体は、全ての偽アンデッドと支配下にあった精霊術師の男を通じて、リフェル公国の戦いを鑑賞していた。

 邪精霊は愛する女の死を嘆き、心を壊してしまった男を唆し、女の遺体に邪精霊を入れさせた。そう、邪精霊は壊れた男の暴走を特等席から見ていたのだ。


『ほう、そこまで知っているのか。ならば分かるであろう?貴様らでは、我をどうすることも出来ないと言う事は。当たり前の事だが、我は我がしもべよりも遥かに強大な力を持っているのだぞ?何故、我の前に姿を現した?』


 邪精霊は『セイバーズ』に対して余裕の態度を崩さなかった。


 リフェル公国の戦いを特等席から見ていたのだ。

 邪精霊は、自ら力を与えたしもべ相手に苦戦していた『セイバーズ』には、まるで脅威を感じてはいなかった。


 勝てない事が分かっていながら、何故リスクを負ってまで自分の前に現れたのか?

 邪精霊はそれが疑問だった。


『もしや、我が力が欲しいというのか?確かに貴様らは人間にしては力のある方だ。我の力を得られれば、人間と言う枠組みでは並ぶものはいなくなるだろう。ふむ、おもしろい。……良かろう、貴様らが我が支配を受け入れ、新たなる玩具となるというのなら、この力を貴様らに与えてやろう』


 邪精霊は少し考え、『セイバーズ』の目的を自分の力だと勘違いした。


「いいえ。僕達の目的は邪精霊、貴方の討伐です」


 しかし、邪精霊の勘違いはすぐさま否定される。


『……貴様らは自分達の力も測れぬほど愚かなのか?』


 しもべとの戦いが面白かった為、『セイバーズ』を前にした邪精霊は上機嫌だった。

 しかし、『セイバーズ』が身の程を知らない発言をしたため、途端に不機嫌になる。


『貴様らが我がしもべを倒して数日、たったそれだけの時間で何が出来る。我がしもべ程度に勝ったからと言って、我の相手を出来ると、本当に思っているのか?』

「はい。今の・・僕達なら、あなたを倒すことが出来ます」


 邪精霊が軽く威圧するが、『セイバーズ』は1人として怯えた表情を見せない。


『……よかろう、我に楯突くというのなら、その身をもってその愚かさを理解させてやる』


 瞬間、邪精霊の存在感が急激に増した。

 そして、その黒い靄が凝縮し、悪魔の様な姿形をとった。


 邪精霊が地に足を降ろすと、その周囲の草が枯れた。

 邪精霊の強すぎる瘴気は、周囲の生態系にも影響を与える程だ。


『今の我は、貴様らが苦労して倒した女の100倍は強いと思え』


 実際、邪精霊が女に与えた力は、全体の100分の1程度だ。

 力の量が強さと比例関係にあるのかは不明だが、100倍に近いだけの差があることだけは間違いない。


 しかし、それでも『セイバーズ』に動揺はない。

 自分達に出来る事、出来ない事を良く理解している彼らは、今の邪精霊をそれ程の脅威とは見なしていないのだ。


「先程、貴方はしもべを倒して数日で何が出来ると聞きましたよね」

『言ったが、それがどうしたというのだ?』


 邪精霊も『セイバーズ』の考えに興味があるのか、直ぐに攻撃するようなことはせず、話を聞いている。


「僕達はその数日で、Sランクの冒険者になりました」

『くははは、それが何だというのだ。人間風情の作った枠組みで昇格し、強くなった気にでもなっているのか?それだけで、我に相対する力を得たとでも言うのか?』


 邪精霊が嘲笑をする。

 自らの権力が増したことで、実力も増したと勘違いするなど、滑稽にしか見えない。


「ええ、僕達がSランクになったから、今まで貯めに貯めたの使用許可が下りるんですよ。それを使えば、貴方を倒すことは苦ではない」

『?』


 邪精霊には『セイバーズ』の言っている意味が分からない。


「知識や経験の伴わない者は要らないと言われ、僕達はずっと最低限の補助で戦ってきました。ただの孤児に、実力でSランク冒険者になれなんて、中々に無茶を言いますよね」

『……何を言っている?』

「分かり易く言えば、Sランクになるまで実力を封印していたんですよ。今の僕達は貴方のしもべを倒した時の100倍以上は強いと思ってください」


 邪精霊は先程の自身の言葉を皮肉る様な発言を聞き、挑発されている事に気付いた。


『人間風情が……舐めた事を言うようだな。良かろう。ならば、我が直々にその思い違いを正してやろう。そして、貴様らの死体は、我が欠片を与え、しもべと使ってやる。死んでも仲間と一緒なのだ。我の慈悲に感謝するが良い。くははははは!!!』


 邪精霊は更にその存在感を増し、『セイバーズ』に襲い掛かった。



 『セイバーズ』の主人である仁は、配下が倒した魔物のステータスの内、一部を倒した本人もしくはパーティに還元している。

 これにより、仁の配下は魔物を倒すたびに強くなっていく。


 ここで気付いて欲しい事がある。

 クロード達が、巨岩竜ギガントドラゴンの偽物如き・・に苦戦するというのは、酷く不自然だと言う事に。


 知っての通り、『セイバーズ』は仁の配下の中では古参の部類に入る。

 そして、仁の配下の中で、最も長く戦い続けているのも『セイバーズ』である。

 当然、相当数の魔物を討伐している。

 つまり、『セイバーズ』は本来、もっと強大な力を持っていてもおかしくは無い。


 それを封じているのは、ひとえに仁の方針によるものだ。


 仁は力任せの解決を好む一方、基礎・地力を重視する部分もある。

 自らの配下をSランク冒険者にする時、スキルやステータス、異能によるゴリ押しをするような冒険者ではなく、Sランクに相応しい知識、経験を持った者にしたいと考えた。


 それ故、『セイバーズ』には冒険者として最低限のスキルやステータスを与えた後は、ほとんど恩恵を与えずに冒険者をさせていた。

 念話や<無限収納インベントリ>など、いくつかの能力の使用は許されていたものの、通常の冒険、依頼の間はステータスやマップを見ることすら許されていなかった。

 当然、ステータスやスキルの還元もほとんど行われていない。


 しかし、仁は不当な差別を殊の外嫌う。

 他の配下にステータスを還元しておいて、『セイバーズ』にだけ還元しない訳が無い。

 故に『セイバーズ』が得るはずだったステータスは、使われずにそのまま残っている。

 そして、そのステータスが解放されるのは、『Sランクになった後』である。

 超一流の冒険者として、実力を認められた後なら、圧倒的に高いステータスを使う事も何ら問題が無いと考えた。


 『セイバーズ』にとって、Sランク冒険者になる前と後では、全く意味が変わるのだ。

 『セイバーズ』の言う、100倍以上の強さと言うのが、全くの誇張ではない程に。


 しかし、『セイバーズ』はSランクの冒険者になったからと言って、その強大な力を頻繁に使うつもりはなかった。

 大きな力を持てば慢心しやすくなるし、何よりも自分達の努力だけで積み重ねてきた力の方に愛着があるからだ。


 それ故、『セイバーズ』がその力を使うのは、独力ではどうしようもない相手、そのままのステータスでは決して届かない、邪精霊のような存在と戦う場合に限る事を決めていた。


『ぐぼあああああ!!!』


 そして、邪精霊の断末魔が響く。


列伝書いてたら、本編が進んでいない。

本末転倒中。

+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。