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2019-09-04

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・「やさしく、つよく、おもしろく。」
 この順序が大事なんだよと、よく言う。
 なによりまず、「やさしく」からはじまる。
 他の人が「愛」と呼んでいるのと同じようなことだ。
 そして、「つよく」がそれを支える。
 「よわさ」のままで、ほんとうになにかするのは、
 ちょっと難しすぎるだろう。
 約束は、つよくないとなかなか守れない。
 そして「おもしろく」は、最後にくるのだけれど、
 この「おもしろく」はめしのタネです、と、ぼくは言う。  
 腹の皮がよじれるほど笑う、というようなことではない。
 ふつうにしていて、しかも「おもしろい」のがいい。
 ふつうであることは、たいしたことなのだけれど、
 そこに「おもしろく」がないとそのまま埋もれてしまう。

 「おもしろく」って、どういうことですか? 
 と、よく質問されてきたような気がする。
 そこにはっきりした答えがあるとも言えない。
 ぼく自身も、その「おもしろく」ってどういうものか、
 ずっと考えてきているのだ。
 どうすれば「おもしろく」なるのか、
 よくわかってはいないのかもしれないけれど、
 実際に「おもしろい」ものは、たくさんある。
 それは、「いい人ってどういう人?」と訊かれて、
 なかなか説明しきれないのだけれど、
 現実には、たくさんの「いい人」がいるというのと、
 とてもよく似ている。 

 前にも書いたかもしれないけれど、
 ぼくの知っている、ぼくよりかなり年上のご夫婦がいて、
 その旦那さんが、ぼくに、さらっと言ったことがある。
 「女房はね、おもしろいんですよ」と、
 少し離れたところにいた奥さまを見ながら言った。
 「かわいい」ご婦人だというのは、見ていてわかった。
 でも、「おもしろいんです」と言われて、はじめて、
 なんだか、とてもうらやましいお二人なんだと思った。
 ぼくの言う「やさしく、つよく、おもしろく。」の
 「おもしろく」というのは、こういうことだ、たぶん。
 「あのこは、やさしくて、つよくて、おもしろいね」と、
 そんなふうに言われる人に、こどもたち、育つといいね。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
「おもしろくない」ということは、ほっといたらダメだね。


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