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水原希子の「芸名問題」にみる日本の閉鎖性と人種差別~ナタリー・ポートマンもブルーノ・マーズも芸名。その本名は?

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左から時計回りに:ナタリーポートマン(wikipediaより)、水原希子(公式instagramより)、ブルーノ・マーズ(公式instagramより)

 「水原希子は日本人じゃないのに、なぜ日本名を使う?」と一部でかまびすしいが、これは人種差別の言い換えである。水原希子を非難している者たちが言わんとしているのは「韓国人は韓国名を名乗れ!」である。

 本来、女優やモデルがどの国で活動しようが、どんな名前を使おうが、まったくもって本人の自由だ。しかし水原希子が日本名を使わなければならないのは、日本に人種差別があり、かつ人種差別主義者だけでなく、「私は人種差別主義者ではない」と思っている多くの人も、名前に表される国や民族に対してなんらかの偏ったイメージを抱いているがゆえだ。

「日本人」の定義とは?

 ネットであちこち検索した結果、水原希子のバックグラウンドはおおよそ以下のようである。

水原希子:在日韓国人の母親とアメリカ人の父親のもと、アメリカのテキサス州で1990年に誕生。本名はAudrie Kiko Daniel (オードリー・キコ・ダニエル)。米国籍。一家は水原が2歳の時に日本に移り、以後、水原は日本で育つ。兵庫県で育ったため、関西弁。英語はあまり得意ではないと思われる。韓国語を話すかは不明。

 こうしたバックグラウンドを持つ水原が日本で芸能活動をするにあたり、もっとも容易なのは日本名を使うことだろう。アメリカ人、または白人とのミックス(ハーフ)であることを全面に押し出すためにオードリー・ダニエル名義でデビューすることも可能だっただろう。そこは本人のアイデンティティと、ビジネス戦略次第だ。芸名は文字どおり「芸」の一部なのだから。

 水原が韓国籍や韓国名を持っているか否か、韓国系としての強いアイデンティティを持っているか否か、どちらも筆者に知る由はないが、日本の芸能界の状況をみる限り、 韓国名を使うのは大変な困難に思える。

 いずれにせよ日本は「生まれた国」「母親の人種・国籍」「父親の人種・国籍」「育った国」「国籍」「話す言葉」がすべて「日本」でなければ「世間」が日本人と認定しない、非常に稀な国である。

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