四十路人妻ナナさんと、昼食時に会った。

「これ」と、彼女がチョコレートをくれた。
「ありがとう」
『私たちは既婚者同士。だから好きとは言わないし、言っちゃいけない』と前に彼女は言っていた。
だから、こんなのを期待もしてなかった。
単純にうれしい。
彼女は3人の子持ち主婦だから、4時までには帰る。時間が限られてるから昼食はファストフードがいいと彼女は言う。
いつものラーメン屋で「ここの、うまいね」と、笑顔を交わして食事した。
食後はラブホへ直行する。
歯磨きとシャワーを交代にする。
俺が先にベッドで待っていると、笑顔の彼女が飛び込んできた。
口づけをじっくり交わしてから、互いの体を まさぐり合う。
ゆっくり触れていたら、「生理、まだだから」と彼女の手が 俺の頭を招く。
俺は彼女を大きく開いて、充血している ふくらみを 手と口で触れ回す。
「気持ち いい」と 彼女があえぐ箇所を中心に こね回す。
やがて「い き そ」と彼女の腰がうごめいて、体を ふるわせる。
俺は自身をあてがい「いい?」と尋ねる。うなずく彼女の潤んだ目を 見つめたまま 入る。
いつもより 彼女の熱さと うごめきを 肌で感じ取る。彼女から伝わる反応に寄り添って、俺は動く。
上から下になって、もう一度 上になって 達した……
彼女が体もぬぐわず 俺に抱きつく。
俺は彼女の髪に口づけて、頬よせる。
「今の私たちって、洋画の一場面的」と、彼女が俺の胸の上でつぶやいた。
「裸の男女が白いシーツにくるまって抱き合ってるのは、確かに洋画的だ」
「非日常的で、いいわー」
「……もっとよくするのに、もっとやって欲しいことを 言って欲しいな」
「そんなsㅌx、したことない」
「俺たち、もっとよくなれると思うんだ」
君を抱くたびに、俺は新たな快感を見つけている気がするから。
「哲さんって、攻め好きの Sなの?」
「違うよ。触りたい……、尽くしたいMって感じ?」
「私も哲さんに触りたいし、悦ばせたい。ご奉仕するのが大好きなM女?」
「いいね。MはMの気持ちがわかる。M同士のエロスは最高だと言われてる」
「そんな話、初めて聞いたわ」と彼女が笑った。
「でも悦ばせてくれようという気持ちは、一番大事だと思う。一番の優しさだと思うし、とても気を使ってもらえてる気がする」
俺は彼女を抱きしめた。
彼女も俺を抱き返す。
お互いの都合で、これから一週間は会えない。
ホテルを出て、笑顔で さらっと別れた。
好きだとか、会いたくて仕方がないとは言わない。そういう関係を、彼女は望んでる。
『私は気持ちなんか無い相手の方が、なりふり構わず感じられると思うの。だって、嫌われないかしらって遠慮する必要がないでしょ?』 (ダブルファンタジー: 村山由佳より)
彼女は何を求めてる?
俺は何を求めてる?
でも案外、二人とも答なんて 持ち合わせていないのかも……
冬の太陽が、妙にまぶしかった。