無電柱化 35年かけ進捗率わずか2% 京都市が長期方針案
京都市は、電線を地中に埋め、電柱をなくす「無電柱化事業」の長期的な整備方針案をまとめた。優先的に整備を進める地域や道路として、京町家などの歴史的建造物が多く、景観保全が必要な地区や、緊急輸送道路などを挙げた。
ただ現在の整備費は1キロ当たり7~9億円に上り、市内では1983年に着手しながら進捗(しんちょく)率はわずか2%にとどまっている。コスト削減と工期短縮が事業推進の鍵を握る。
無電柱化は、景観を保全するとともに、災害時に電柱が倒れて停電や救助活動の妨げになるのを防ぐ効果がある。仏パリ市や英ロンドン市は無電柱化率100%だが、日本は遅く、最も進んでいる東京23区でも8%となっている。
方針案は、一昨年に無電柱化推進法が施行され、自治体に推進計画の策定が義務付けられたことを受けて初めてまとめた。
方針案では、優先的に無電柱化する道路を「整備対象道路」と位置付けた。市市街地景観整備条例に基づき指定している歴史的景観保全修景地区やバリアフリー重点整備地区をはじめ、御池、五条、河原町、堀川の各通りに囲まれた「田の字地区」の道路などで、総延長は275キロに及ぶ。このうち未整備区間は225キロ。具体的な路線名は方針の決定後に策定する実施計画で示すとしている。
コストについても10年後に現行から3割削減する目標を掲げた。
本年度に無電柱化事業に充てた予算額は約6億円。全ての未整備区間で電柱を解消するには単純計算で300年かかるという。財政状況が厳しい中、施策の優先度を見極め、住民の理解を得ながら事業化していかなければならない。市道路環境整備課は「効率的で計画的な整備を進めていきたい」としている。
【 2018年11月04日 12時45分 】