人気軽自動車が全面刷新!フルモデルチェンジでさらなる磨きがかかった 新型「タント」「タント カスタム」の進化に迫る
2019年の軽自動車市場における大きなニュースのひとつと言える、ダイハツ「タント」のフルモデルチェンジ。新型モデルは、ダイハツの次世代のクルマづくり「DNGA(Daihatsu New Global Architecture)」を採用した第1弾モデルで、新しいプラットフォームによる走行性能や燃費性能の向上に加え、スライド幅最大540mmの「運転席ロングスライドシート」をはじめとした使い勝手のよさや、合計15個もの予防安全機能や運転支援機能を備えた安全性など、全方位で進化を遂げている。ここでは、そんな新型「タント」「タント カスタム」の進化ポイントに迫ってみたい。
1使い勝手使いやすさにこだわった知恵と工夫が満載
現在の軽自動車市場の売れ筋は、“小さいけれど大きく使える”をとことん突き詰め、広い室内空間を備えた「スーパーハイト系」と呼ばれるカテゴリーのモデルだ。その市場を牽引するモデルのひとつが、2003年にこのマーケットを開拓したダイハツ「タント」と、「タント」をベースにスタイリッシュなデザインを施した「タント カスタム」である。新車販売台数ランキングで常に上位にランクインする人気の背景には、助手席側のピラー(柱)を前後ドアに内蔵することで1,490mmもの広いドア開口部(助手席側)を実現した「ミラクルオープンドア」や、多彩なシートアレンジなど、軽自動車という規格からは想像できないほどの広々とした室内空間と、使い勝手のよさがあると言える。
そんな人気の「タント」が2019年7月に約6年ぶりのフルモデルチェンジを果たしたとあって、軽自動車の購入を検討している人は、その進化ポイントが大いに気になっているはずだ。
軽自動車市場の人気を牽引し続けてきた「タント」。2019年7月9日に待望のフルモデルチェンジを果たし、より洗練度を高め、より魅力的なモデルに生まれ変わった。写真は「タントX」と「タント カスタムRS」
「タント」「タント カスタム」のグレード構成
グレード | 価格 | ||
---|---|---|---|
2WD | 4WD | ||
タント | L(スマートアシスト非装着車) | 1,220,400円 | 1,344,600円 |
L | 1,306,800円 | 1,431,000円 | |
X | 1,463,400円 | 1,587,600円 | |
X ターボ | 1,560,600円 | 1,684,800円 | |
タント カスタム | カスタム L | 1,549,800円 | 1,674,000円 |
カスタム X | 1,668,600円 | 1,792,800円 | |
カスタム RS | 1,749,600円 | 1,873,800円 |
※価格は2019年7月9日時点のメーカー希望小売価格。消費税8%込み。
「タント」というと、「子育て世代のファミリー向けのクルマ」という印象があるが、新型モデルは従来までの使いやすさをさらに磨き上げ、ファミリー層はもちろん、通勤や趣味に使う人、シニア層など、幅広い世代から受け入れられやすいクルマへと進化を遂げている。
そのひとつが「ミラクルウォークスルーパッケージ」だ。従来モデルでも好評だった「ミラクルオープンドア」は引き続き踏襲しつつ、運転席最大540mmのスライドを可能とした「運転席ロングスライドシート」を装備。乗り降りに加えて、車内での移動などもラクに行えるようになった。また、新機能として注目したいのが、降車時に予約しておけば、電子カードキーを持ってクルマに近づくだけで解錠やドアオープンを自動で行ってくれる「パワースライドドア ウェルカムオープン機能」や、パワースライドドアが閉まった後に自動でドアロックしてくれる「パワースライドドア タッチ&ゴーロック機能」、半ドア状態でも安全に全閉する「助手席イージークローザー」などの装備。小さな子どもを連れていたり、多くの荷物を抱えていたりする場合に非常に便利な機能だ。このほか、乗降時に足を乗せやすい「ミラクルオートステップ」や、大人でも子どもでも握りやすい「ラクスマグリップ」など、多くの人が「あると助かる」と感じる新機能が数多く盛り込まれている。
運転席と助手席にはスライド機構を採用し、運転席は最大540mmのスライドが可能となっている。運転席と後席のウォークスルーや、運転席に座ったまま後席にアクセスできるなど、シーンに合わせて自在にシートアレンジできる
「パワースライドドア」が閉まりきる前に、助手席のドアハンドルに触れるだけで、ドアが閉まった後の自動ロックを予約する「パワースライドドア タッチ&ゴーロック機能」も軽自動車として初搭載※。雨の日や、急いでいる時、「パワースライドドア」が閉まりきるのを待たずにクルマから離れられる
※ドアハンドルのセンサー操作で施錠予約できる機能として軽初。2019年7月時点。ダイハツ工業調べ。
手動で半ドアの位置までドアを閉めると自動で全閉する「助手席イージークローザー」も軽自動車として初搭載※。力の弱い子どもやお年寄りでも無理せず安全にドアを閉められる
※2019年7月時点。ダイハツ工業調べ。
乗って、使って納得するという意味では、居住性や小物収納、ラゲージルームの使い勝手も気になるところ。小さな子どもがいれば、出かける際にベビーカーや飲み物、おやつ、着替えなど、車内に持ち込む荷物は多くなるし、アウトドアが趣味の人なら、大きなものから小さなものまでさまざまなグッズを積載する必要が出てくるはずだ。
そんな時でも新型「タント」なら心配はいらない。頭上や足元スペースには十分なゆとりがあり、アイデア満載の小物収納も充実。シートアレンジによって長尺物もなんなく積み込める、驚くほどの積載性を備えているからだ。
室内長は2,180mmのゆとりある空間となっており、助手席をフルフラットにして後席片側を倒せば、ロール状にしたじゅうたんなどの長尺物も余裕で積み込める。さらに、後席を倒すだけで26インチの自転車がラクに積み込めるほか、後席は左右別々にスライドさせられるのでラゲージルームに積んだ荷物の大きさに合わせて調整することも可能だ
2安全性全方位の安心・安全を支える「次世代スマートアシスト」新搭載
「タント」が支持されてきた理由のひとつに、充実した安全機能がある。従来モデルには「スマートアシストⅢ」と呼ばれる予防安全機能が搭載されていたが、新型「タント」には、さらに進化した「次世代スマートアシスト」が搭載された。「いつもの運転をしやすくする」「ヒヤリの回避をサポートする」「もしもの被害を減らす」の3つのポイントを踏まえ、予防安全機能を進化させるとともに、新たに運転支援機能を追加。合計15個もの機能を搭載することで、運転中の安心・安全を全方位で支え、快適なドライブの実現をサポートしてくれる。
強調したいのは、高速走行時や渋滞時などの加減速をサポートする「全車速追従機能付ACC(アダプティブクルーズコントロール)」や、車線中央を安定して走行するようサポートする「LKC(レーンキープコントロール)」、夜間の視界を見やすくする「ADB(アダプティブドライビングビーム)」など、ドライブの疲れや運転に対する不安を軽減する機能が充実していること。さらに、運転にあまり自信のない人でもスムーズな駐車を可能にする「スマートパノラマパーキングアシスト」も軽自動車初搭載※。新型「タント」はこれら先進の安全機能によって、安全運転だけでなく、運転自体の負担も軽減してくれるのだ。
※カメラ映像を用いた駐車時のハンドル操作支援システムとして軽初。2019年7月時点。ダイハツ工業(株)調べ。
「次世代スマートアシスト」は、「全車速追従機能付ACC」や「スマートパノラマパーキングアシスト」をはじめとする8個の新機能を加え、合計15個もの先進の予防安全機能や運転支援機能で構成されている
※グレード、オプションなどによって装備や搭載される機能が異なります。詳しくは販売店におたずねください。
「全車速追従機能付ACC」は、先行車がいなければドライバーが設定した速度で走行。先行車を認識すると、先行車に合わせて加減速をアシスト。全車速追従機能により渋滞時のノロノロ運転でもペダルの踏み替えがいらないので助かる機能だ
車体の左右に搭載したカメラで駐車枠の白線を検知し、音声とモニターガイドに加え、ハンドル操作をアシストする「スマートパノラマパーキングアシスト」。音声とモニターの案内を参考に、速度調整、周囲の安全確認を行うことで、スムーズな駐車を可能にしてくれる。苦手な人の多い縦列駐車にも対応
また、今回のフルモデルチェンジにおけるトピックスのひとつが、新しいプラットフォームの採用だ。ダイハツが掲げる「DNGA」の実現による、新プラットフォーム採用の第1弾が新型「タント」であり、基本となるプラットフォームからCVT、エンジンに至るまで、まさにゼロから作り直されている。
新プラットフォームが目指したのは、ワンランク上の乗り心地。新型「タント」は、高速道路やコーナーを安心して運転できる操縦安定性や、力強く心地よいスムーズな加速を実現している。高速道路でも、坂道でも、入り組んだ市街地でも、安心かつ快適に走れるよう、その質を総合的に高めているのだ。
3デザイン生まれ変わったエクステリア&インテリアデザイン
最後に、「タント」「タント カスタム」のデザインをチェックしておこう。軽自動車はボディサイズに制限があり、また居住性や積載性が優先されるため、ウインドウやピラーを寝かせることができず、どうしてもエクステリアデザインは画一的になりがちだ。逆に言えば、そうした条件下でどれだけ主張できるかが、デザイナーの腕の見せどころでもある。
ボディサイズは「タント」「タント カスタム」ともに3,395(全長)×1,475(全幅)×1,755(全高)mm(2WD)。従来モデルと比べると、全高が5mm高くなったのみだが、ドアパネルに採用された曲線のデザイン処理などによって、ボリューム感や存在感が強調されている印象だ。フロントグリルは、どちらも水平基調のデザインとなっているが、「タント」と「タント カスタム」のキャラクターの違いがひと目でわかるように、「タント」は親しみやすいシンプルなイメージに。いっぽう「タント カスタム」は、上質で洗練された大人っぽいイメージとなっている。
インテリアに関しては、どちらも使いやすさを重視したデザインを採用。「タント」は、そのキャラクターを端的に表すように、明るく清潔感のある空間となっており、「タント カスタム」は、ブラックとグレーをメインカラーとした洗練されたシックな空間に仕上がっている。
軽自動車の規格をいっぱいまで使ったサイズで、堂々としたたたずまいが感じられる「タント」。堂々としていながら、親しみやすさや、かわいらしさもあわせ持っており、見ていて飽きが来ない。年齢や性別を問わず、幅広い人たちから愛されるデザインと言えるだろう
「タント カスタム」は、開口部の広い吸気エリア採用したフロントビューを中心に、上質で洗練された雰囲気が漂う。サイドビューをギュッと引き締めるのは、専用の15インチアルミホイール。放射状の造形で、躍動感がうまく表現されている
「タント」のダッシュボード上面はフラットで、いかにも見晴らしがよさそう。「TFTカラーマルチインフォメーションディスプレイ」を装備したメーターは視認性が高く、各種スイッチも、運転席から手を伸ばせばスッと届く位置にレイアウトされている。前席だけでなく後席もシートには十分な厚みがあり、長時間のドライブでも疲れにくいだろう
4まとめ使い勝手、安全性、基本性能、あらゆる世代の暮らしを支える
「新時代のライフパートナー」
2019年7月9日の販売開始以来、大きな話題を集めている新型「タント」。コスト削減のため、プラットフォームを含め構成部品の多くが引き継がれることの多い軽自動車で、ここまで徹底的にモデルチェンジを図ったクルマは珍しい。エクステリアやインテリアの意匠変更はもちろん、従来モデルから好評だった使い勝手をさらに進化させ、「次世代スマートアシスト」という先進の安全機能も新たに装備。さらに、走りの質を高めるためにプラットフォームの刷新まで行っている。このモデルチェンジを機に、新型「タント」はファミリーだけでなく、幅広い層から支持されることは間違いなさそうだ。