日本国籍を取得するにあたって、モンゴルでは賛否両論が巻き起こっていたという。ネット上では心無い批判の声が数多く書き込まれた。見たくなくてもどうしても白鵬の目に入ってしまう。
6月にモンゴル国籍を離脱してから迎えた7月の名古屋場所。休場明けのその場所で、白鵬が目標にしていたのは優勝して、場所後に母国へ帰国することだった。帰国して直接、国民に日本国籍取得への思いを伝えたかったからだ。
だが、国籍を離脱していたことで、モンゴルへの入国がかなわないことが判明した。白鵬がその連絡を受けたのは名古屋場所の最終盤。その直後に琴奨菊と鶴竜に敗れ、優勝を逃している。今思えば、さすがの横綱も精神的なダメージを避けられなかったのだろう。
横綱は相撲界の宝。親方として残るのであればなおさら。相撲協会にとって大きな財産となることは間違いない。そんな姿を見て、いつの日かモンゴル全土が温かい声に包まれることを願う。(岸本隆)