8月17日には、カナダのトロントで香港人留学生が香港のデモを支持する集会を開いた。すると、中国人留学生が国旗を掲げた9台のフェラーリに乗って現れ、香港人留学生を「貧乏人」などと罵った。のちに、その中国人留学生たちの一部が山東省の韓寓群・省長の孫、同省の王仁元・副省長の孫、同省済南市の謝玉堂・党委員会書記の息子、同省臨沂市の連承敏・党委員会書記の息子であることが判明し、中国国内で物議を醸した。
“大胆な集会”も日本では捕まらない
「もしも中国の街頭で日本人の集団が君が代を合唱しながら日の丸を振りかざしたらどうなるか。たちまち公安が駆けつけ、一斉に拘束されるはずです」
国際テロや外国の諜報活動に精通する警察OBはそう語る。
日本と中国では、国内で「外国人ができること」に大きな違いがある。たとえば、国旗の扱いの違いがそれだ。在外公館での執務経験を持つ政府関係者は次のように指摘する。
「かつて中国における反日デモで、日の丸が焼かれたり踏まれたりしたことがありました。その際、中国政府に抗議したのですが、返答は『外国の旗に対しては違法ではない』というものでした。逆に、中国の国旗を毀損することは、中国国旗法の定めで刑事責任の対象になります」
政治体制が異なる日本と中国では、「外国人ができること」が非対称である。日本では許されても中国では許されないことがきわめて多い。「フェアでないことが多すぎる」という不満は、ビジネスの現場でも常に存在していた。
世界各地で“大胆な集会”を仕掛け、愛国示威活動を展開する中国政府は、その非対称を利用しているともいえる。この“愛国活動”に、これから日本はどう対峙したらいいのだろうか。