業界のMONSTERに訊く vol.5 石尾 潤さん(NPO法人スポーツカントリーアンビスタ代表理事)「努力の先にあるものを伝えたい」
2016年4月に荒川区を拠点にNPO法人スポーツカントリーアンビスタを設立し、代表理事に就任。
2017年6月に大人も子どもも生涯にわたる『文武両道』を実現する新型施設、アンビスタハウスを開設。
NPO法人スポーツカントリーアンビスタ 代表理事。
FC HERMANA U-15監督、FC LIGAR スクールマスター、Academia Ambista 代表。
ライフイズテック株式会社採用チーム、株式会社JTB公認ファシリテーター。
ビジネスも運動も人一倍努力しているb-monster会員さんも多いことだろう。
厳しいトレーニングを続けるb-monster会員さんにも共通するテーマである「努力」。今回はボクシングやフィットネスとは少し違った切り口から「努力」をテーマとした取材を行った。
取材にご協力頂いたのは荒川区で生涯にわたる文武両道の実現を志した「NPO法人スポーツカントリーアンビスタ」を運営している石尾潤さん。石尾さんの取材を通じて「努力の先にあるもの」を探ってみたいと思う。
無名チームから強豪チームのレギュラー、そして全国ベスト8へ
石尾さんは無名チームから部員が150人いる強豪サッカー部に入部。底辺からスタートしながら圧倒的な努力のもと、高校3年時にレギュラーとして活躍し、全国高校サッカー選手権でベスト8に進出。その同級生には現在Jリーグ「FC東京」で活躍する田邊草民選手もいる。
あれ以上、1ミリたりとも頑張れない、というほど努力した
國學院久我山高校はラグビー、野球、サッカーなどスポーツの強豪でありながら、都内でも有数の進学校。文武両道を求められる。石尾さんはなんと親を心配させないために、親が寝静まった後、内緒で家を出て朝5時までサッカーの自主練をする毎日だったという。最初5軍スタートだった石尾さんは、スポーツ推薦で入ってきた選手達の中でレギュラーを取るために「あれ以上、1ミリたりとも頑張れない、というほど努力した」
すごい選手をたくさん見る中で早い段階でプロになるのは諦めた石尾さんは高校サッカーで日本一を目指しながら、受験で日本一の大学にいくことを目指す。第1志望の大学には受からなかったが、塾も行かず現役で早稲田大学教育学部に入学する。
大学経営のキャリアを積み、文武両道のスポーツクラブ「アンビスタ」を立ち上げ
「プロになれなかったけど、それを本気で目指していたプロセスで大切な宝物をたくさん手に入れることができた。それを次世代の子どもたちに伝えていく仕事がしたい」そんな想いで、NPO法人スポーツカントリーアンビスタを立ち上げた。アンビスタでは男女サッカーの他、文武両道支援特化型アカデミーも運営する。それらに共通する指導方針は「自分なりの答えを作り出し、行動を起こしていく力やマインド」だという。
『サッカーを愛する少女たちに最幸の環境を』女子サッカーチーム「FC HERMANA」監督就任
なでしこJAPANの影響でメジャーになりつつある女子サッカーだが、地域の環境はまだまだ課題が多いという。
女子だけでサッカーをやれる環境が少ない
小学生では男女混合チームでやれているが、学年が上がるに連れて次第に男子のパワーなどに圧倒されてしまう。中学年代に入ると男子と女子が一緒にサッカーをすることは肉体的にも精神的にもほぼ不可能。サッカーを愛する少女たちは居場所を失い、サッカーへの情熱を押し殺すしかない、そんな状況を改善しようと石尾さんはボランティアコーチとして携わっていた女子サッカーチームFC HERMANAをNPO法人化し、監督に就任する。
はじめのうちは少ない人数でしたが、現在はリーグ戦にFC HERMANAとして2チーム出場できるまでとなりました。中学1年生の代は10名以上入ってきてくれて、街の女子サッカーチームとしてはかなり大所帯のチームといえます。女子サッカーチームの活動は、場所・資金などいろいろと足りない点もあるため、クラウドファウンディングで活動方針を発信しながら活動資金を集めたりしています。
練習量は裏切らない。ポジティブマインドの戦える集団に
「FC HERMANA」の練習はとてもハードで長時間に及ぶ。メンバーはJリーグJrユースのセレクションに落ちた選手から、初心者に近い選手まで。どんなレベルの選手も受け入れ、どの選手にも同様に厳しく愛を持って指導するのが石尾さんの方針。
今年のFC HERMANAはJリーグJrユースとも互角以上に戦う快進撃を続けている。練習量は裏切らない。苦しくても自主的でポジティブマインドを持つ選手たち。試合ごとに成長する子供たちの姿に石尾さん自身も驚いているという。
ハードなトレーニングの中でもグランドには笑顔が溢れている。
例えプロになれなくても、打ち込むことには意味がある
ー石尾さんが子供達に伝えたいこと
FC HERMANAにはJ下部組織など強豪クラブのようなセレクションはなく、入りたい人は誰でも受け入れているが、このクラブに来てからメキメキ力をつける子が多い。相手より走るスピードが1秒遅くても、相手より1秒早く判断する、そういったことを鍛える超育成型組織を目指している。自分やチームのために努力して、上手くなる。今努力して頑張れば、大人になってサッカーをやめても絶対に活きるし素敵な大人になれると思う。ポジティブなマインドで周囲の人を笑顔にできる魅力的な女性、温かくて柔らかく、それでいて大切な人を「守る強さ」を備えた女性になって欲しいし、もし子どもができたらそういう子育てする素敵なママになって欲しい。
「勉強」と「スポーツ」両方本気で取り組む。自分で考え、行動を起こす力を伸ばす
教科書の勉強は教えない塾
スポーツカントリーアンビスタでは、男女サッカー、ヨガ、チアダンスに加え、『Academia Ambista(アカデミア アンビスタ)』という文武両道支援特化型アカデミーも運営している。そこではなんと教科書の勉強は教えていないと言う。
このアカデミーの特徴は、
1. スポーツを教えずにスポーツ技能を高めること
2. 教科教育をせずに定期テストの点数を上げること
教室にはいろんな世界で活躍している元スポーツマンの大人(社会人/大学生)たちがやってくる。学ぶ意味と、スポーツに取り組む価値を、大人側の視点から中学生時点に逆算して、『翻訳』。 その講話やグループワークを通じて中学生は、自分なりの意味づけ(=目標設定)を毎週言語化する。 それを1週間かけて取り組む行動レベルまで落とし込み、なにかを決めたら、実践する。 そして翌週、振り返り、また考える。 そういったプロセスを経て「高い自己肯定感を持ち、物事をポジティブに捉えて、自らを変える努力をすることができる」状態を目指すという。
自分で好きと言える「ジブン」になるために
編集後記「#自分と向き合え」
「FC HERMANA」の練習はとてもハードだが笑顔で溢れていた。真剣な眼差しでボールを追う選手たちが輝いていて、いつしか時間を忘れカメラを向けていた。クタクタになるまで努力できる日々は素晴らしい。そこには達成感があるし、自らの進化という新しい未来がある。他人との競争ではなく、自分で好きと言える「ジブン」になるために、目標に向けて自分と向き合い努力する。b-monster会員であれば体重や体脂肪率でもいいし、トレーニングの先にある肉体美でもいい。今努力して一生懸命やることに意味なんか求めなくて良いのかもしれない。ファイトできる場があるなら、そこで精一杯頑張ってみよう。
FC HERMANA
アンビスタではビジョン達成に向けた運営資金獲得のため、クラウドファウンディングにも挑戦しています。
ReadyFor「人を繋ぎ、地域を繋ぎ、生命を繋ぐ。荒川区で新たな地域スポーツコミュニティを運営!」
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