今大会で日本が男女個人戦の各7階級で獲得した金メダルは4個。前回大会の7個から減った。全日本柔道連盟(全柔連)の山下泰裕会長は「一言で言うと厳しい結果。全体的に日本の選手はかなり研究されている」との見方を示した。
昨年金5個を量産した女子が、2個に減らしたのが響いた。日本勢が決勝で敗れた48キロ級のビロディド(ウクライナ)、57キロ級の出口クリスタ(カナダ)、63キロ級のアグベニェヌ(フランス)は、大会前からマークしていた相手。52キロ級の阿部詩と78キロ超級の素根輝の19歳コンビは踏ん張ったが、その他の選手は軒並みライバルに敗れた。
女子の増地克之監督は「昨年も紙一重、今年も紙一重。悲観はしていない。状況によってどういう技をかけるか選択ミスがあった」と話す。五輪での再戦に向け「紙一重」をものにするための綿密な対策が求められる。
男子では、66キロ級の丸山城志郎が初出場初優勝。73キロ級の大野将平がオール一本勝ちで圧勝するなど好材料があった一方、懸案の重量級では今大会も金メダルはゼロ。絶対王者のリネール(フランス)が欠場した100キロ超級でも、原沢久喜が2位にとどまった。男子の井上康生監督は「81キロ級以上で金を取れなかった。技術、体力など、それぞれに課題がある」と厳しい表情で語った。
日本開催の地の利も生かせなかった。井上監督は「選手はたくさんの応援の中でいい経験ができた。来年はさらにプレッシャーがかかる。その中でどう平常心を保って戦えるか、準備していきたい」。1年後の東京五輪へ、課題は山積みだ。 (木村尚公)