2019年9月2日(月)

涙こぼれそう…丸広川越店の屋上遊園地、最後の日 思い出を懐かしみ長蛇の列 国内最後の屋上遊園地閉園

閉園日に最後のにぎわいを見せる屋上遊園地わんぱくランド=1日、丸広百貨店川越店

 川越市の丸広百貨店川越店の屋上で1968(昭和43)年から営業してきた遊園地「わんぱくランド」が1日、閉園した。店舗の耐震補強工事に併せた判断。

 小型観覧車、モノレール、エアプレーン(単式飛行機)がそろって動く国内最後の屋上遊園地は、昭和時代にタイムスリップしたかのような懐かしさに包まれていた。半世紀にわたり、たくさんの子どもたちに愛され、夢を与えてきた遊具に多くの人が別れを惜しんだ。

 上尾市の米田郁子さん(83)は実家が近所だった縁で育児中、里帰りのたびに2人の子を連れて来た。閉園を知り、約45年ぶりに1人で訪れた。「ここで子どもと遊んで、お子さまランチを食べさせて帰る。それが行楽だった。丸広の屋上遊園地がなくなるなんて、寂しくて涙がこぼれそう」と声を震わせていた。

 丸広川越店は51年に開業。ファミリーが1日楽しめるようにと、間もなく屋上遊園地が誕生した。7階の屋上フロア約1500平方メートルに、クレーンゲームやメダルゲームなどの屋内ゲームコーナーを設け、屋外にアトラクション遊具を設置した。

 アトラクションは72、92年に入れ替えがあった。現在は高さ11・7メートルで4人乗りゴンドラ8台を備えた観覧車、全長98・8メートルの2人乗りモノレール、エアプレーンなど設置。観覧車は開園当初からあり、小型観覧車が稼働する屋上遊園地の営業は全国的にも珍しくなっていた。

 1日は日曜日と重なり、たくさんの家族連れが訪れた。午前10時の営業時間前から来園者が詰め掛けた。屋外アトラクションの乗車券を求め、長蛇の列ができた。当初から運営に当たるバンダイナムコアミューズメント(東京)は「最後に多くの方に来ていただき感謝したい」とコメント。

 同遊園地を巣立った子が大人になり、親や子、孫へと世代を超え、特別な空間になっていた。三芳町の中学教諭瀬尾宗良さん(52)は、3歳長男と0歳長女を連れ来園。幼い頃、両親と来た思い出を懐かしむ。「丸広のおもちゃ売り場でだだをこねてしまい、そしたら父や母が屋上遊園地に連れてきてくれた」

 1日は屋外アトラクションの営業を早めに切り上げ、午後5時から来園者が思い出の遊具に、自由に落書きするイベントが催された。遊具は年内に撤去され、来年1月から耐震工事が行われる予定。

 丸広川越店担当の永窪佑介さん(34)は「4月下旬に閉園を発表して以来、屋上遊園地への感謝や惜しむ声が寄せられ、遊園地が地域に愛されてきたことを痛感した」と話した。

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