@chablis777
シャブリ

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(なつ)「魔界の番長」?
(佐藤)魔界の魔王を裏切るわけだ。人間を守るために戦うんだよ。
また裏切って戦うんですか?(佐藤)そう。 君にぴったりだろ!
いや…。
(桃代)作画監督は もうやりたくないの?やりたくないわけじゃないけどなるべく 6時に保育園に迎えに行けるようにしたいから。
それにね こういう暴力的なものを描くのは…。
(仲)こっからは なっちゃんが自分で決めるしかない。
なつは 結局 作画監督の仕事をまた引き受けました。
そして 昭和48年の夏なつの手がけた「魔界の番長」の放送が始まりました。
(テレビ・番長)「うう… うあ… うううう… うあ…うあああ…!」。
優 どうしたの? 見ないの?
(優)怖い… 見たくない!
(テレビ)「悪をもって悪を制す魔界の番長 ここに見参!」。
ええっ…。
♪~
♪「重い扉を押し開けたら暗い道が続いてて」
♪「めげずに歩いたその先に知らなかった世界」
♪「氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ」
♪「切り取られることのない丸い大空の色を」
♪「優しいあの子にも教えたい」
♪「ルルル…」
♪「口にする度に泣けるほど憧れて砕かれて」
♪「消えかけた火を胸に抱きたどり着いたコタン」
♪~
(神地)なっちゃん。あっ 神っち。
昨日の放送 見たよ。
それで どうだった?
日本のテレビ漫画はどんどん ひどい方向に行くよな。
相変わらずはっきり言ってくれるんだから。
作画室で言わなかっただけ大人になっただろ。まあね。
別に なっちゃんに文句があるわけじゃないよ。
ヒットはすると思うよ。うん… よく出来てた。
いいから そういう大人の発言は。
うちの子にもね怖くて見たくないって言われちゃったの。
なっちゃん 俺もやめるわ。
うん いいよ。別に 無理して見てくれなくても。
ここを辞めるって言ったんだよ。
えっ?映画は もうダメだ。
えっ でも 今やってる夏休み映画は当たってるんでしょ?
それは 映画が当たってるわけじゃないよ。
東洋まんがカーニバルとしてテレビ漫画と一緒に長編映画を劇場にかけてるだけだろ。
子どもの目当ては一緒にやってるテレビ漫画の方だよ。
会社も そっちにばかり力を入れてるしな。
俺も とうとうテレビに行かされそうなんだ。
テレビは やりたくないの?
どうせ テレビをやるなら下山さんや イッキュウさんのいるところでやりたい!
マコプロで!?
うん。 移ることにしたよ。
そんな!
是非 来てほしいって マコさんも。
(麻子)いいわよ。 いらっしゃい!
是非いらっしゃい。 フフフフフ…。
(下山)ハハハハハハハ…。フフフフ…。
モモッチに続いて 神っちまで…。
でもね 俺は いつか また映画を作りたい。
世界中の人が あっと驚くような日本のアニメーション映画を作りたい。
そのために 独身を貫いて仕事に 身をささげてきたんだからな。
分かった。
神っちなら そのうち きっと…いい人が現れるわよ!
バカ そこを慰めて どうすんだよ!
えっ?(笑い声)
マコさんは 魔界の魔王だわ。
東洋動画を破滅させる気じゃないの?
(坂場)そうかもね。あなたも 魔王の手先でしょ。
だけど そう簡単には破滅しないよ東洋動画は。
破滅してたまるもんですか。
君も いっそのこと魔王に 魂を売ったらどうだ?
魂を?
実は今 ちょっと考えてる企画があってね。
「大草原の小さな家」?
アメリカ西部の開拓時代の話だ。
開拓者の家族がいてその家の小さな娘の視点で描かれてる。
開拓者の話?
リアルな日常を描くような話をアニメーションで表現したいと思ってる。
しかし それをやるには君の力が必要だとも思ってるんだ。
私にも マコプロに移れって言うの?
一緒に やってみないか?
面白そうだけど… 私は東洋動画を辞めるわけにはいかないわ。
私だけは 仲さんたちを裏切ってはいけないと思う。
気持ちは分かるけど…。それに もし 辞めるとしたら…アニメーターかも。
今は 少しでも優のそばにいてあげたいから…。
そんなに やる気を失ってるのか。
東洋動画を辞めるとしたらってことよ。
まあ その本は置いとくから暇があれば読んでみればいいよ。
うん…。うん。
♪~
そのころ 十勝では 天陽君が退院をしてまた絵を描いていました。
♪~
しかし 8月に入ると天陽君は また体調を崩し帯広の病院に入院しました。
(陽平)天陽。おっ 兄ちゃん。
もう東京に帰るのか?うん。 夏休みが終わるからな。
起きてて大丈夫なのか?うん。
今月中に カレンダーの仕事を仕上げなくちゃいけないからな。
(陽平)いい絵だな。そう?
馬小屋にあった描きかけの馬の絵もいいけど俺は お前の風景画も好きだな。
つまらない背景画みたいだろ?おい それは 俺に対する当てつけかよ。
違うよ。
風景画を描く時はいつも兄ちゃんのことを思い出すからさ。
アニメーションの背景ならこういうとこに昔のなっちゃんを歩かせたりして…。
天陽君!
そしたら面白いだろうなとか…。
なっちゃんか…。
元気にしてる?うん。
お前に会いたがってたよ。
なっちゃんも 俺も 会えなくたって絵を描いていれば それで十分なのさ…。
なつは まだ 優と約束した夏休みを取ることができないでいました。
♪~
(せき)
♪~
(タミ)え…。ただいま。
(タミ)天陽!?(靖枝)陽ちゃん! どうしたの?
(道夫)父ちゃん!(彩子)父ちゃん!
道夫 彩子 元気にしてたか? ただいま。
お帰んなさい。お帰んなさい。
(正治)お前 退院したのか?なして連絡しないんだ。
退院は来週だよ。(正治)えっ?
来週 退院していいってさっき 先生に言われたんだ。
え… それで なして 今いんだ?
うん… 退院が決まって居ても立っても居られなくなってさ早く アトリエの絵を描きたくて抜けてきた。
ダメでしょ。 もう今すぐに戻りなさいや!病院で心配してるべよ!
大丈夫だって。
道夫 彩子もうちょっとの辛抱だからな。
父ちゃんもうちょっとで帰ってくるから。
お前たちと 一緒にいるからな。
辛抱できないのは あんたでしょや陽ちゃん…。
そうだな。(笑い声)
全く もう…。しょうがないな。
全く しょうがないんだから…。
すまんな。
本当に無理しないで朝になったら戻ってよ。
もうじき退院なのに。
靖枝がいてくれるおかげでこんなわがままが できるんだ。
わがまますぎるわ。
畑も牛も 靖枝に頼ってばかりで…。
だから 俺は 絵を描いていられるんだ。
靖枝と結婚して 本当よかったわ。
俺は 俺でいられる。
どうしたのさ?
したら 本当に ほどほどにしてよ。
大事な体なんだから。
もう行っちゃうのかい?えっ?
ここにいろよ。
えっ?
えっ いや ちょっ ちょっと…ちょっと 陽ちゃん!
ねえ 絵の具! 絵の具ついちゃう…。
早く治してよ。うん ありがとう。
♪~
靖枝… 起きれ もう朝だ。
あ… 絵は出来たの?
出来た。
♪~
なつよ…もうすぐ 夏が終わるぞ。


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