Gamescom 2019での吉田直樹P/Dおよびメインシナリオライター織田万里さんに行われた海外インタビューのうちの1つです。動画なので、質問は英語ですが吉田Pおよび織田さんの発言はできるだけ元のまま書き起こしました。
Gaming Boulevard - [Final Fantasy XIV] Interview with Yoshida
動画のみ テキスト版なし
Q.
Shadowbringersリリースのご成功おめでとうございます。お祝いをする時間やお休みは取れましたか?それとももう次に向けて仕事を始めているんでしょうか?
吉田:
休みは何もないです、僕は。(笑)
織田:
夏休みは取りましたけど、5.0の開発っていう意味ではまだ休みはもらえてないですね。5.0リリース前に5.1の作業をしなければならなかったので休む暇がなかったという実情があります。
吉田:
もちろんすごい成功したと思ってるし、すごく評判がいいことについても開発チーム一同本当に皆嬉しく思っていて、その喜び自体はみんなでちゃんと打ち上げもやって共有したので、それ自体はすごい満足してます。
ただFF14はこれで終わりじゃなくて、いつもと同じようにまた次のゴールに向かって走り始めているので、今メインシナリオ担当者の方が言ったようにもう我々パッチ5.1メジャーアップデートの準備に入っているし、当然その次のエクスパンションに向けて僕はいろんなもの決定をしていかなきゃいけない時期なので、まぁ休むとしたら年末か来年1月ぐらいに休めたらなーぐらいですかね。
Q.
5.0のジョブやスキル変更についてのコミュニティのフィードバックはいかがでしたか?調整が必要だと思われる点などありますか?
吉田:
おおむねこれまで拡張パッケージという意味だと、おそらくHeavensward/Stormblood/Shadowbringersと3回の拡張をやってきて、実際のジョブバランスとしては今回がおそらく一番取れてたはず。
ただ一部やっぱりジョブのメカニクスの中で、まだプレイフィールとしてストレスが残っているという風にフィードバックを頂いたジョブがあるので、この前のパッチ5.05でかなりあの手を入れられる部分に関しては手を入れて、で落ち着いたジョブもある。
ただ、今まだ目下大きなポイントとしては、忍者のそもそも印を結ぶっていうメカニクスをパッチ5.1で大きく手を入れようと思っているので、それの作業に集中しているというのと、まあ忍者の、あ忍者じゃねーや、侍のレベル80スキルの「照破」の使い勝手が非常に悪いっていう、特にレベル80になって覚えるアクションなのでそこに関してはその2ジョブは集中して今調整を行っているので、また5.1で大きくプレイフィールを改善できればなという風に思っています。
Q.
Shadowbringersのメインストーリーは非常に評判が良かったですが、ストーリーは徐々に作られてきているものなのでしょうか?それとも何年も前から決まっていたのでしょうか?
吉田:
まずディレクションサイドの話を先にしますね。
まず正直今やっている、仮にそのハイデリン・ゾディアーク編と名付けた場合のメインストーリーは、いずれにせよきっちり完結を迎えさせるべきだと思っていて、我々テレビドラマシリーズのようにメインストーリーを進めてはいるけど、無理に人気があるからって引き伸ばすつもりはなくて、しっかりした結末をまず1回書くべきだとは思ってます。それをどのタイミングのエクスパンションで切り上げるかに関してはざっくりは決めていて、このぐらいのタイミングで1回しっかりとしたエンディングを作るからそれは覚えておいてねっていう話をメインストーリーチームにはしてます。
でそこのなんとなくそれに従って、メインストーリーチームとしてはこんなラストかなって思ってるんですけどどうですかっていうのをもらって、僕からもラストとしてはこんな感じだと思うんだよねというのをディスカッションする、というのが大体ディレクターサイドの感覚かな。
それをメインストーリー側から・・
織田:
シナリオを実際書く人間に関して言えば、エキスパンションだけで物語が終わるのではなくてその後の.3のパッチまでで一つの物語になるように考えていて、そのサイクルでいうと、2年に1回ぐらいシナリオ合宿というメインシナリオに関わるライターと吉田さんが集まって3日間ぐらい集中的にコンセプトとかプロットを考えるという会をやっているので、そこで決めていきます。
それで.4や.5みたいなパッチに関して言えば、次の拡張版への準備の物語になるので、次のコンセプトが決まってから逆算で詳細を詰めていくみたいな形でお話を考えています。
吉田:
まとめると、詳細は大体2年に1回大きく決めて、今の流れは大体4年前くらいになんとなく決めてます。
Q.
FF14は既にこれまでで3回の拡張があり、その中でStormbloodは東方地域のテイストを取り入れたものとなっていました。今後の拡張で他の文化や地域に影響されたようなものは出てくるのでしょうか?何か取り入れたい設定などありますか?
吉田:
スポイラーになるので何も言えないです。
まだ当然世界のすべてを冒険し尽くしたわけじゃないから、東方っていういわゆる中世ヨーロッパじゃない雰囲気っていうのもちゃんとStormbloodで描けたし、まだまだほんと冒険して行く先は残ってると思うので、まあ現時点で言えるのはこれぐらいかな。
またいろんな出会いやその文化との交流があると思うので、これからのFF14にもまたそこら辺も楽しみにしておいてもらえるとうれしい。
Q.
フェイスシステムは素晴らしい追加要素でしたが、MMORPGとして他のプレイヤーと一緒に組んで遊ぶというコンセプトと対立してしまうのではないでしょうか?
吉田:
いやーそれは多分イメージなだけで、僕らFF14はもちろんジャンルしてはMMORPGかもしれないですけど、ファイナルファンタジーシリーズの最新作っていうプライドを持ってずっと開発を続けているので、やっぱりまずストーリーをより楽しむために、プレイヤーパーティーでしか遊べないんじゃなくて一人でも遊べてもいいじゃない、それはどっちかに決めることではなくてプレイヤーに選択肢を与えてプレイヤーがチョイスすれば良いだろうという考え方をしました。
これがMMORPGなのにプレイヤーと一緒にダンジョンを攻略できないってなっちゃったら、MMORPGの意味ないよねって言われるかもしれないけど、あくまで選択肢として用意することによって、ストーリーをより没入して楽しみたい人はフェイスシステムを使えばいいし、いやいやもう効率よくプレイヤーでさっさとダンジョン終わらせようという人は今まで通りのマッチングを使えばいいと思うし。
ここは僕らというか僕としては、チョイス、選択を作ることがFF14の発展につながるという風に考えたので実装に踏み切ったっていうのが答えになります。どっちがいいでもどっちが悪いでもない、っていうのが答えです。
トラスト(フェイス)システムに関してメインストーリーライターサイドからもその良かった点とかあるはずなのでちょっとコメントをもらうようにしましょう。
織田:
単純にシナリオの書き手としては、表現の幅が広がったなというのを歓迎しています。
そのダンジョンにアタックするときに仲間のNPCはどんな感情でいるのか、怒っているのか悲しんでいるのか、あるいは必死なのかやや余裕があるのか、といったところが描けたので、非常にテキストを書いていても楽しかった印象があります。
ただ、それを実際に組むバトルチームはすごい大変だっただろうなっていうところがあるんですけど。
Q.
よく理解できました。今後は過去のコンテンツでもフェイスシステムを利用できるようになりますか?
吉田:
今メインシナリオ担当の織田からコメントあったように、あれだけの柔軟性のあるNPCのバトルシステムを組むのって本当に腕のいいゲームデザイナーじゃないとあれだけのクオリティをやっぱり作れはしないので、まず非常にコストがかかります。
なのでこう一足飛びに、じゃあ次はこうさかのぼってStormbloodの全てのダンジョンを、例えばヒエンとかね、色んなキャラクターと一緒に攻略できるようになりますって言いたいところだけど、もうそれをやるには本当にまた非常に莫大なコストがかかっていくので、僕らとしては少しずつ対応していくしかないんだろうなって考えていて。
一旦は今回非常にメインストーリーの評判が良かったこともあったので、パッチ5.1、次のストーリーが始まるのに合わせて新しいダンジョンが登場するので、そこをまず次のフェイス対応することにしました。
もちろん過去のコンテンツのキーになるダンジョンやシナリオ上攻略しなきゃいけない蛮神戦とかそういったものにもいずれ対応していきたいという声は開発チームからも非常に大きいので、少しずつやっていこうかなと思っています。
まず最新はパッチ5.1の新しいダンジョンでまた新しいフェイスシステムとしてNPCと一緒に戦えるようになるので、ぜひそっちをまず期待しておいてください。
Q.
FF14にはユニークなダンジョンがたくさんあります。ダンジョンの製作はどのような順序で行っているのでしょうか?
吉田:
まず一番最初の順序としては、例えば今だと5.xシリーズは5.xシリーズのラストまでアップデートリストっていうがあって、どのパッチでどういう何個のインスタンスダンジョンが実装されるかっていうのは僕がデザインをします。
僕がやるのはそこまでで、その先は次どんなダンジョンにするかというのが織田の方に多分投げられていて、メインストーリーで使うのか、メインストーリーとはまったく関係ないダンジョンになるのかっていうのを決めてくださいって多分言われてる。
織田:
大きな方針が示された後にシナリオサイドからまず概要書というものを作ります。
そこにはどんな場所なのかと、なぜ主人公はそこに行くのかっていうのと、トラストシステムで誰を連れて行くことができるのかっていうこと、でさらにボスを押すとしてはこんなキャラクターがいるよ、でボスの思惑はこうだよっていったものをまず書きます。
その中で、シナリオとしてマストで実現して欲しい要素と、あったらいいなという要素と、ここはダンジョンのデザインだったりボスのデザインをする人が自由にやってくださいっていうところにランク付けをして要望を書いて、あとはそれぞれの担当者に下ろしていく形になります。
吉田:
でここから先がまだ大変で、そのメインシナリオチームから概要書がリリースされたものを今度セパレートです。
レベルデザインチームはそれをベースに、その土地の情報だったり風景の情報っていうのを貰って、まず大枠どういった形のスタイルのダンジョンにするのか、どんなグラフィックス、それからどんな天候の状態にすることで驚いてもらえるのかっていうのをメインシナリオの情報を基にレベルデザインしていきます。
それと同時に、全く同じタイミングで並行してモンスターを作るゲームデザインチームはボスのデザインを、それぞれ担当者を決めて、どんなボスにするのか、指定されているものがあればじゃあこいつはどういう攻撃をするのかっていうのをアイデアを膨らましていって、レベルデザインチームとモンスターチームで話し合いながら仮組みをしていって、途中からシナリオが今度また戻ってきて全体を見て調整していくっていう。
でもものすごくスムーズになったよね。昔はそのフローがまだ決まってなかったけど、今はワークフローがすごいきっちりされているので、ものすごいスピードでIDは作られて行くコンテンツになってますね。
Q.
FF14は他のゲームとのユニークなコラボも行っています。コラボレーションをするゲームはどのように選んでいるのでしょうか?
吉田:
そもそもクロスオーバーをやってる意義っていうのは、どうしても僕らもう長くFF14を同じチームで開発していると、どうしても自分たちで作りやすいルールを決めてしまったり、ずっとこう同じものを繰り返し作ってた方が楽なので、どうしても変化が足りなくなってくる。
そういう時に14以外のゲームを作っているようなクリエイティビティを持った人が参加してくれると、僕らがこれで良しだと思ってたルールをある意味無邪気に壊してくれる、いい意味で。
それによって14がまた一歩僕らだけでは達成できなかったレベルだったり考え方へ到達するっていうことのためにやってる。つまりプレイヤーのみんなにも刺激があるし、僕ら開発チームにも刺激がある。で最終的にじゃあどんなタイトルとその組もうかっていうのは、まあ僕らの趣味だよね。
これと組んだら楽しそうとか、このゲームが好きだからとか、このキャラクターが好きだからとか、あと松野さんみたいなゲームデザイナーだとみんな松野さんのゲームが好きだからとか、まあそういう不純かもしれないけどその方が楽しく作れるしプレイヤーの皆さんも僕らが楽しく作ったやつを多分楽しんで受け取ってもらえるっていう風に考えているからですね。
織田:
最終的な決定はもちろん吉田さんがなされているんですけれども、その前段階での意見出しとか「こんなアイディアあるんだけど」っていうことに関してはこちらからも「こんなことできそうですね」っていうお話はさせていただいています。
ただ例えば、今度実装されるYorHa:Dark Apocalypseみたいなものに関しては、ファイナルファンタジーシリーズ以外だということも含めてすごいびっくりしたし、むしろ僕なんかはニーアが大好きなので一人のファンとして喜んたりしました。
その後実際制作をするスタッフに関しては、絶対にそのコラボレーション先のことが大好きなスタッフっていうのを人選して選んで、FF14のファンにもコラボレーション先のシリーズのファンにも両方に満足して頂けたり驚いて喜んでいただけるようなものを作ろうという体制づくりに頭を変えたり、やるぞ、と準備運動する感じですね。
Q.
最後にもう1つ、コミュニティからの質問を。この拡張で暗黒騎士は大幅に増えましたか?
吉田:
明らかに暗黒騎士は増えましたよ。特に今回はトレーラーも含めて暗黒騎士をものすごい主人公として推してきているので、僕が実際に自分でプライベートでプレイしてても感じますし、データを見てても暗黒騎士が本当に増えたと思います。
Gaming Boulevard - [Final Fantasy XIV] Interview with Yoshida
動画のみ テキスト版なし
Q.
Shadowbringersリリースのご成功おめでとうございます。お祝いをする時間やお休みは取れましたか?それとももう次に向けて仕事を始めているんでしょうか?
吉田:
休みは何もないです、僕は。(笑)
織田:
夏休みは取りましたけど、5.0の開発っていう意味ではまだ休みはもらえてないですね。5.0リリース前に5.1の作業をしなければならなかったので休む暇がなかったという実情があります。
吉田:
もちろんすごい成功したと思ってるし、すごく評判がいいことについても開発チーム一同本当に皆嬉しく思っていて、その喜び自体はみんなでちゃんと打ち上げもやって共有したので、それ自体はすごい満足してます。
ただFF14はこれで終わりじゃなくて、いつもと同じようにまた次のゴールに向かって走り始めているので、今メインシナリオ担当者の方が言ったようにもう我々パッチ5.1メジャーアップデートの準備に入っているし、当然その次のエクスパンションに向けて僕はいろんなもの決定をしていかなきゃいけない時期なので、まぁ休むとしたら年末か来年1月ぐらいに休めたらなーぐらいですかね。
Q.
5.0のジョブやスキル変更についてのコミュニティのフィードバックはいかがでしたか?調整が必要だと思われる点などありますか?
吉田:
おおむねこれまで拡張パッケージという意味だと、おそらくHeavensward/Stormblood/Shadowbringersと3回の拡張をやってきて、実際のジョブバランスとしては今回がおそらく一番取れてたはず。
ただ一部やっぱりジョブのメカニクスの中で、まだプレイフィールとしてストレスが残っているという風にフィードバックを頂いたジョブがあるので、この前のパッチ5.05でかなりあの手を入れられる部分に関しては手を入れて、で落ち着いたジョブもある。
ただ、今まだ目下大きなポイントとしては、忍者のそもそも印を結ぶっていうメカニクスをパッチ5.1で大きく手を入れようと思っているので、それの作業に集中しているというのと、まあ忍者の、あ忍者じゃねーや、侍のレベル80スキルの「照破」の使い勝手が非常に悪いっていう、特にレベル80になって覚えるアクションなのでそこに関してはその2ジョブは集中して今調整を行っているので、また5.1で大きくプレイフィールを改善できればなという風に思っています。
Q.
Shadowbringersのメインストーリーは非常に評判が良かったですが、ストーリーは徐々に作られてきているものなのでしょうか?それとも何年も前から決まっていたのでしょうか?
吉田:
まずディレクションサイドの話を先にしますね。
まず正直今やっている、仮にそのハイデリン・ゾディアーク編と名付けた場合のメインストーリーは、いずれにせよきっちり完結を迎えさせるべきだと思っていて、我々テレビドラマシリーズのようにメインストーリーを進めてはいるけど、無理に人気があるからって引き伸ばすつもりはなくて、しっかりした結末をまず1回書くべきだとは思ってます。それをどのタイミングのエクスパンションで切り上げるかに関してはざっくりは決めていて、このぐらいのタイミングで1回しっかりとしたエンディングを作るからそれは覚えておいてねっていう話をメインストーリーチームにはしてます。
でそこのなんとなくそれに従って、メインストーリーチームとしてはこんなラストかなって思ってるんですけどどうですかっていうのをもらって、僕からもラストとしてはこんな感じだと思うんだよねというのをディスカッションする、というのが大体ディレクターサイドの感覚かな。
それをメインストーリー側から・・
織田:
シナリオを実際書く人間に関して言えば、エキスパンションだけで物語が終わるのではなくてその後の.3のパッチまでで一つの物語になるように考えていて、そのサイクルでいうと、2年に1回ぐらいシナリオ合宿というメインシナリオに関わるライターと吉田さんが集まって3日間ぐらい集中的にコンセプトとかプロットを考えるという会をやっているので、そこで決めていきます。
それで.4や.5みたいなパッチに関して言えば、次の拡張版への準備の物語になるので、次のコンセプトが決まってから逆算で詳細を詰めていくみたいな形でお話を考えています。
吉田:
まとめると、詳細は大体2年に1回大きく決めて、今の流れは大体4年前くらいになんとなく決めてます。
Q.
FF14は既にこれまでで3回の拡張があり、その中でStormbloodは東方地域のテイストを取り入れたものとなっていました。今後の拡張で他の文化や地域に影響されたようなものは出てくるのでしょうか?何か取り入れたい設定などありますか?
吉田:
スポイラーになるので何も言えないです。
まだ当然世界のすべてを冒険し尽くしたわけじゃないから、東方っていういわゆる中世ヨーロッパじゃない雰囲気っていうのもちゃんとStormbloodで描けたし、まだまだほんと冒険して行く先は残ってると思うので、まあ現時点で言えるのはこれぐらいかな。
またいろんな出会いやその文化との交流があると思うので、これからのFF14にもまたそこら辺も楽しみにしておいてもらえるとうれしい。
Q.
フェイスシステムは素晴らしい追加要素でしたが、MMORPGとして他のプレイヤーと一緒に組んで遊ぶというコンセプトと対立してしまうのではないでしょうか?
吉田:
いやーそれは多分イメージなだけで、僕らFF14はもちろんジャンルしてはMMORPGかもしれないですけど、ファイナルファンタジーシリーズの最新作っていうプライドを持ってずっと開発を続けているので、やっぱりまずストーリーをより楽しむために、プレイヤーパーティーでしか遊べないんじゃなくて一人でも遊べてもいいじゃない、それはどっちかに決めることではなくてプレイヤーに選択肢を与えてプレイヤーがチョイスすれば良いだろうという考え方をしました。
これがMMORPGなのにプレイヤーと一緒にダンジョンを攻略できないってなっちゃったら、MMORPGの意味ないよねって言われるかもしれないけど、あくまで選択肢として用意することによって、ストーリーをより没入して楽しみたい人はフェイスシステムを使えばいいし、いやいやもう効率よくプレイヤーでさっさとダンジョン終わらせようという人は今まで通りのマッチングを使えばいいと思うし。
ここは僕らというか僕としては、チョイス、選択を作ることがFF14の発展につながるという風に考えたので実装に踏み切ったっていうのが答えになります。どっちがいいでもどっちが悪いでもない、っていうのが答えです。
トラスト(フェイス)システムに関してメインストーリーライターサイドからもその良かった点とかあるはずなのでちょっとコメントをもらうようにしましょう。
織田:
単純にシナリオの書き手としては、表現の幅が広がったなというのを歓迎しています。
そのダンジョンにアタックするときに仲間のNPCはどんな感情でいるのか、怒っているのか悲しんでいるのか、あるいは必死なのかやや余裕があるのか、といったところが描けたので、非常にテキストを書いていても楽しかった印象があります。
ただ、それを実際に組むバトルチームはすごい大変だっただろうなっていうところがあるんですけど。
Q.
よく理解できました。今後は過去のコンテンツでもフェイスシステムを利用できるようになりますか?
吉田:
今メインシナリオ担当の織田からコメントあったように、あれだけの柔軟性のあるNPCのバトルシステムを組むのって本当に腕のいいゲームデザイナーじゃないとあれだけのクオリティをやっぱり作れはしないので、まず非常にコストがかかります。
なのでこう一足飛びに、じゃあ次はこうさかのぼってStormbloodの全てのダンジョンを、例えばヒエンとかね、色んなキャラクターと一緒に攻略できるようになりますって言いたいところだけど、もうそれをやるには本当にまた非常に莫大なコストがかかっていくので、僕らとしては少しずつ対応していくしかないんだろうなって考えていて。
一旦は今回非常にメインストーリーの評判が良かったこともあったので、パッチ5.1、次のストーリーが始まるのに合わせて新しいダンジョンが登場するので、そこをまず次のフェイス対応することにしました。
もちろん過去のコンテンツのキーになるダンジョンやシナリオ上攻略しなきゃいけない蛮神戦とかそういったものにもいずれ対応していきたいという声は開発チームからも非常に大きいので、少しずつやっていこうかなと思っています。
まず最新はパッチ5.1の新しいダンジョンでまた新しいフェイスシステムとしてNPCと一緒に戦えるようになるので、ぜひそっちをまず期待しておいてください。
Q.
FF14にはユニークなダンジョンがたくさんあります。ダンジョンの製作はどのような順序で行っているのでしょうか?
吉田:
まず一番最初の順序としては、例えば今だと5.xシリーズは5.xシリーズのラストまでアップデートリストっていうがあって、どのパッチでどういう何個のインスタンスダンジョンが実装されるかっていうのは僕がデザインをします。
僕がやるのはそこまでで、その先は次どんなダンジョンにするかというのが織田の方に多分投げられていて、メインストーリーで使うのか、メインストーリーとはまったく関係ないダンジョンになるのかっていうのを決めてくださいって多分言われてる。
織田:
大きな方針が示された後にシナリオサイドからまず概要書というものを作ります。
そこにはどんな場所なのかと、なぜ主人公はそこに行くのかっていうのと、トラストシステムで誰を連れて行くことができるのかっていうこと、でさらにボスを押すとしてはこんなキャラクターがいるよ、でボスの思惑はこうだよっていったものをまず書きます。
その中で、シナリオとしてマストで実現して欲しい要素と、あったらいいなという要素と、ここはダンジョンのデザインだったりボスのデザインをする人が自由にやってくださいっていうところにランク付けをして要望を書いて、あとはそれぞれの担当者に下ろしていく形になります。
吉田:
でここから先がまだ大変で、そのメインシナリオチームから概要書がリリースされたものを今度セパレートです。
レベルデザインチームはそれをベースに、その土地の情報だったり風景の情報っていうのを貰って、まず大枠どういった形のスタイルのダンジョンにするのか、どんなグラフィックス、それからどんな天候の状態にすることで驚いてもらえるのかっていうのをメインシナリオの情報を基にレベルデザインしていきます。
それと同時に、全く同じタイミングで並行してモンスターを作るゲームデザインチームはボスのデザインを、それぞれ担当者を決めて、どんなボスにするのか、指定されているものがあればじゃあこいつはどういう攻撃をするのかっていうのをアイデアを膨らましていって、レベルデザインチームとモンスターチームで話し合いながら仮組みをしていって、途中からシナリオが今度また戻ってきて全体を見て調整していくっていう。
でもものすごくスムーズになったよね。昔はそのフローがまだ決まってなかったけど、今はワークフローがすごいきっちりされているので、ものすごいスピードでIDは作られて行くコンテンツになってますね。
Q.
FF14は他のゲームとのユニークなコラボも行っています。コラボレーションをするゲームはどのように選んでいるのでしょうか?
吉田:
そもそもクロスオーバーをやってる意義っていうのは、どうしても僕らもう長くFF14を同じチームで開発していると、どうしても自分たちで作りやすいルールを決めてしまったり、ずっとこう同じものを繰り返し作ってた方が楽なので、どうしても変化が足りなくなってくる。
そういう時に14以外のゲームを作っているようなクリエイティビティを持った人が参加してくれると、僕らがこれで良しだと思ってたルールをある意味無邪気に壊してくれる、いい意味で。
それによって14がまた一歩僕らだけでは達成できなかったレベルだったり考え方へ到達するっていうことのためにやってる。つまりプレイヤーのみんなにも刺激があるし、僕ら開発チームにも刺激がある。で最終的にじゃあどんなタイトルとその組もうかっていうのは、まあ僕らの趣味だよね。
これと組んだら楽しそうとか、このゲームが好きだからとか、このキャラクターが好きだからとか、あと松野さんみたいなゲームデザイナーだとみんな松野さんのゲームが好きだからとか、まあそういう不純かもしれないけどその方が楽しく作れるしプレイヤーの皆さんも僕らが楽しく作ったやつを多分楽しんで受け取ってもらえるっていう風に考えているからですね。
織田:
最終的な決定はもちろん吉田さんがなされているんですけれども、その前段階での意見出しとか「こんなアイディアあるんだけど」っていうことに関してはこちらからも「こんなことできそうですね」っていうお話はさせていただいています。
ただ例えば、今度実装されるYorHa:Dark Apocalypseみたいなものに関しては、ファイナルファンタジーシリーズ以外だということも含めてすごいびっくりしたし、むしろ僕なんかはニーアが大好きなので一人のファンとして喜んたりしました。
その後実際制作をするスタッフに関しては、絶対にそのコラボレーション先のことが大好きなスタッフっていうのを人選して選んで、FF14のファンにもコラボレーション先のシリーズのファンにも両方に満足して頂けたり驚いて喜んでいただけるようなものを作ろうという体制づくりに頭を変えたり、やるぞ、と準備運動する感じですね。
Q.
最後にもう1つ、コミュニティからの質問を。この拡張で暗黒騎士は大幅に増えましたか?
吉田:
明らかに暗黒騎士は増えましたよ。特に今回はトレーラーも含めて暗黒騎士をものすごい主人公として推してきているので、僕が実際に自分でプライベートでプレイしてても感じますし、データを見てても暗黒騎士が本当に増えたと思います。