@chablis777
シャブリ

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(田畑)ローマには勝てない!じゃあ どうします?
「逆らわずして勝つ」の嘉納さん。
(治五郎)譲ってもらうっていうのは どうだろう?
(副島)誰に 何を?ムッソリーニに オリンピックを。
(孝蔵)<1940年オリンピック開催地を決定するIOC オスロ総会が迫る中オリンピック招致に後れを取っている日本はイタリアのムッソリーニ首相に譲ってもらおうという奇策に打って出たのです>
まず ローマへ赴きムッソリーニを説得し…。
<しかし そのさなか…>
んっ? 嘉納さん どうされました?
ううっ!嘉納さん?
嘉納さん… 嘉納さん!?うう…。
ちょっ… ちょっと嘉納さん!
触るな! 触るな!えっ!? えっ!?
触るんじゃない…。
今… 非常に… 危険な体勢…。
あっ 何だ… 腰ですか。
来るか… 来ないか…。
来ない… 危なかった。あっ… よかった…。
ああ~!
来た? 来ちゃった 来ちゃった!担架 担架 担架 担架!
(志ん生)え~ 持病の腰痛が再発しちゃいました。
何つっても 74歳そこそこ おじいちゃんですからな。
行くといったら 行くんだ。ゆっくり ゆっくり…。
150まで生きるんだ 私は。
まだ折り返しだ。 もう準備してあるんだ。
オスロの最終スピーチだ!
ああっ!ああっ もうもう…。
というわけで 1934年12月14日新米IOC委員の副島道正伯爵がイタリアの首都 ローマに向けて旅立ちます。
日本は到底駄目だと思います。
ムッソリーニは既にスタジアムを造ってローマ開催を決定的に導こうとしているのに対し東京は 全く手遅れだ。
随分怒ってますな こりゃ。
当たり前だろう! ひとつきかけてイタリアまで行かされるんだぞ!?
会えるかどうかも分かんないのに。
それが 会えるんですって!
(緒方)えっ? ムッソリーニに?
ええ。 お代わり。 ねっ?(マリー)はい。
いや 大したもんですなこの杉村陽太郎って男は。
イタリア大使という肩書を最大限に利用して副島さんとムッソリーニが 直接 会ってしゃべる算段つけちゃうんだから~。
え~ でも どうかしら? 独裁者相手に「頼めば譲ってくれるかもしれん」って。
そんな野菜や米じゃあるまいし。
えっ? 田畑 お前同行するつもりじゃないだろうな。
いや… いや 僕だってそりゃ 行きたかないですけどね。
田畑…。はい。
日本を… 頼んだぞ。
えっ?
あっ… あっ これ?
(マリー)えっ これを?私が作ったんですよ これ。
ほら。あら! きれいじゃない。
へえ~。これをムッソリーニに贈呈するという大役を仰せつかったんです。
その足で オスロのIOC総会にも同行しますんで まあ…2か月は 行きっ放しですね。
よし… よし… 君は記者として同行しなさい。えっ いいんですか!?
ああ。 東京オリンピックの特ダネはうちで独占する。
よし!
(孝蔵)<明けて 1935年1月14日ローマに到着した副島さんと 我らが まーちゃん>
サンキュー グラッチェ。 ハハハハ。
うわ~。 いやいや… ワ~オ。
グラッチェ。
ボンジョルノ。 ハハハハ。
あっ 忘れるとこだった。これ 嘉納さんから。
オスロの最終スピーチ練習しといて下さいよ。
その前に 今は ムッソリーニだろ。あっ そうですね ハハ…。
あっ 杉村さ~ん!
(杉村)貴様 何でいるんだ?いや これですよ これ これ これ。
長旅 ご苦労さまです。
嘉納さんから これ「日本」を頼まれたので。
それと取材も。
(ため息)ムッソリーニは気分屋で陽気な独裁者と呼ばれています。
陽気な独裁者?(杉村)機嫌さえよければあと4年ぐらいは待ってくれる可能性は十分にある。 頑張りましょう。
陽気な独裁者って どういうの?
笑いながら「殺しちゃうよ」とか?
むしろ 怖い。 ハハハ…。
どうしました?
寒気が…。
いや 武者震いでしょうな ハハハハ。
勘弁して下さいよ!岸さん 嘉納さんに続いて副島さんまで倒れちゃったらもう一巻の終わりですよ。 ねっ?
早く着き過ぎたか。
(せきこみ)
えっ ちょっと… 大丈夫ですか?
ああ。
(ドアが開く音)
♪~
(杉村)さあ 行きましょう。
♪~
副島さん!(杉村)副島さん!副島さん!
何 何 何? 分かんない 分かんない…。
助かるのか 助からないのか どっちだ?
1マンス…? えっ 余命1か月?
余命1か月ってこと?
そ… 副島さん…。
♪~
「よ~うっ!」(鼓の音)
♪~
♪~
♪~
♪~
♪~
♪~
「よ~うっ!」(拍子木の音)
♪~
サマラ~イ!
♪~
(ドアが閉まる音)
サマラ~イ… どういう意味なんだ?
こうなったら 私が行くほかない。
(山本)いやいや 先生もまだまだ安静にしておかないと…。先生 先生…。
おっとっと… ああっ!(山本)ああっ 先生!
(治五郎)ああ…。(東)あ~ 触るな! 背中 痛みますか?
<この医師スポーツ医学の権威 東 龍太郎。これまた 東京オリンピックのキーマンですので お見知りおきを>
たかが腰痛ごときでオリンピック逃したら一生呪うぞ 貴様ら!
腰痛じゃありませんよ! 脊椎損傷です。
脊椎損傷…。
おい 持ち上げるぞ。はい。
いいですか? はい ゆっくり。せ~の。
副島さん もう少し…もう少し我慢しよう。 ねっ?
<片や 副島さんは生死の間をさまよい…>
あ~!大丈夫 大丈夫 大丈夫!副島さん 大丈夫 大丈夫…。
いきますよ~。 副島さん もう一本ね。
う~!痛くない… 副島さん 痛くない…。
痛くないよ 副島さん!終わる 終わる 終わる… 終わるよ~。
は~い 終わった。 はい もう終わった。
「副島さん 頑張ったね」って。ガンバッタネ。
<2週間たって ようやく…>(せきこみ)
30分の外出許可が出ました。
今日こそは… んっ…。
前回は 大変な剣幕で罵声を浴びせられました。
じゃあ 土下座も辞さない覚悟で… ねっ。
あっ… ちょっと待て。えっ?
まだ15分ある。えっ? 何で早く着いちゃうかな。
副島さん 30分しかないのに。
座ってましょうか まだね。
サムライ?
カム イン サムライ。
サムライ?「サムライ」か…。
♪~
♪~
♪~
イエス。
えっ 早っ!<会見は 15分で終了しました>
(拍手)
あっ 電報 電報!
<この第一報が届いた東京では…>
(可児)「副島伯と杉村大使の努力で東京開催 確実!」 アハハハ…。
なっ? 譲ってくれただろう?
やっぱり違うんだよ 器の大きい人間は。いたたた…。
…となると オスロ総会はヘルシンキと一騎打ちですな。
ねえ 先生 いよいよ来るよオリンピックが東京に。
そりゃ早く治さないとですね。
そろそろ やつを東京に呼び戻す時かもしれんぞ 可児君。
やつ?
(四三)スッスッ ハッハッ スッスッ ハッハッ。
まさか… スッスッ ハッハッ?
(治五郎)東京オリンピックが現実のものになるにつれ何かが足らんと思っていたんだ。
そうだ オリンピックといえば あの男ミスター マラソン 金栗四三!
ぬしゃ 情けなかね~!
(勝)クソジジイ~!
ああ~!
うん?
うん?カフェー?
先生 こぎゃんハイカラなもんがこん田舎に?
「ニューミカワ」…。
ニュー?
美川君!(美川)ハイカラ東京プリン2番さんにお願いしま~す。
はい! フフッ。
あ~ どぎゃんしとったと? 美川君。
どぎゃんも こぎゃんも浅草で ブロマイド売ってて関東大震災に遭ってさ…。
あっ そぎゃんね。せやから ヤクザの女と大阪に駆け落ちしましてん。
じゃけん 親分に見つかって広島まで逃げたけえのう。
遠ぐさ逃げっぺって山形さ 行ったっぺよ。
すごか! ほぼ日本一周ばい。うん。
ああ… 彼はこないだ九州一周ば達成した俺の弟子の小松 勝君。小松です。
小松氏… 君の夢は何かね?
夢… ですか。
いや 金栗先生の前で こぎゃんこつ…。
オリンピックです!おお~!
東京にオリンピックの来る年 俺は21でちょうど 金栗先生がストックホルムば走った年です!
ハハッ ストックホルム! 懐かしかね~。
小梅に入れ揚げてた頃だな~。う~ん 苦みばしったいい女…。
日本人は まだ マラソンでメダルば取っとらんけんおるが 東京で メダルば取ってそっから そっから…。
ちょっと 君…この場合「君の夢は何かね?」と聞くのはつまり「僕の夢の話を聞け」ってことだよ。何だね…。すみまっせん…。
マスターの夢は?
僕? そうだな…大陸雄飛かな?
大陸…?
満州だよ これからは。
経済も発展し 治安もよく…。
<え~ 音 消しますね。この話 長くなりそうなんで。さて ムッソリーニへの直談判に成功したまーちゃんたち最終決戦の地 オスロへ向けて準備を進めていました>
さあ 行きましょうか!
全く 締まらない話で…申し訳ございません。
いいえ。 ムッソリーニという最大の難関をあなたのおかげで突破することができました。あとは任せて下さい。 田畑。はい。
貴様は残って副島さんの看病したまえ。
ええ~!?俺一人で十分だ。
ローマが降りた今 勝利は目前。
まっ あとは東京に決定するための事務的手続きが主だろう。 それじゃあ。
ちょっと 杉村さん…。(ドアの開閉音)
(五りん)時は 1935年2月。
いよいよ 運命のオスロ総会です。
(五りん)<ローマに まーちゃんと副島さんを残し杉村さんは 一人 オスロへと向かいます>
<初めての総会 たった一人の東洋人…勝利を確信していても不安は隠せません>
「参ったね~ こんなことなら河童の田畑でもいいから連れてくればよかったな」。
(五りん)…と そこへ イタリア代表のボナコッサ伯爵がやって来た!10年来 私財を投じ 招致運動に励むイタリアの嘉納治五郎です!
(五りん)「うん? 何だい この爽やかな笑顔は。おかしいな。イタリアは辞退したはずなのに…。まさか 話が通ってねえんじゃ…?」。
一抹の不安を抱えたまま杉村さんは席に着く。
(知恵)やだ~ 下ネタ?
(今松)イチモツじゃねえよ 一抹だよ。
<…と 思ったやさき!ついに IOC会長アンリ・ド・バイエ=ラトゥール氏が現れます!>
ボンジョルノ…。ボンジョルノ。
(せきこみ)
あっ… すいません。
<おいおい まだローマ入ってるよ>
<そのムッソが譲るって言ってんだよおい ボナ公>
サンキュー ミスター ボナコッサ。
(五りん)「このままじゃ… まずいな。しかし この場で ムッソとの約束を持ち出していいものか」。
「いや もう日本じゃ新聞記事にもなってるし…まあ 触れないってのも不自然ってえもんだ」。
(ざわめき)
<何!? 知っていたのか?>
<まさか 陽気な独裁者 ムッソリーニの命令に背くとは…!>
ちくしょう! 話が違うじゃないか。
あ~ どうすればいいんだ…あと3日で何ができる!?
<杉村さんから報告を受けたまーちゃんたちは…>
君は オスロに向かいなさい。私は もう一度 ムッソリーニに念を押す。
副島さん…。
そんな体じゃ また倒れますよ 副島さん。副島さん… 副島さん!
副島さん…。
私が行きます。
あっ エクスキューズ ミー。
ムッソリーニ いる? ムッソリーニと話したいの。 大至急 大至急。
話すから 早く呼んでこいよ。
もういいよ 分かった…。ヘイ ヘイ…。
ちょっと 待って 待って…いや いや… ムッソリーニ…。
おい 離せ… 離せ イタ公め おい!
サムライが来たと ムッソの野郎に伝えろこの野郎! おい…。
<ムッソリーニとの面会を諦めたまーちゃんは オスロに向かいます。一方 杉村さんは イタリア政府のロドロ公使を味方につけボナコッサの説得を試みます>
「杉村のう てめえの立場も分からなくはねえが…」。
あっ すいません。字幕ばかりじゃ飽きるでしょうからここからは 吹き替えでお送りします。(拍手)
「こちとら イタリア国民の期待を一身に背負ってんだよ 杉村のう」。
「俺だって命懸けだ バカ野郎」。(笑い声)
(今松)「こちとら 三度目の正直だよ。もう スタジアムも完成してる。ロドロだか ヘドロだか知らねえがイタリア人が 日本人にこびてんじゃねえぞ この野郎!」。
「何だ この野郎」。えっ?
(拍手と歓声)師匠 師匠…。
「師匠じゃねえ 俺はロドロだ この野郎。おい 杉村のバックにはなムッソリーニがついてんだ分かってんのか この野郎。ガタガタ抜かすと地中海 沈めちゃうぞ この野郎」。
「何だと このナポリタン野郎!」。「あっ 何だ この野郎」。
ああ… 師匠も あにさんもその辺に その辺に。
あっ じゃあ 字幕に戻します。
<そして迎えた 決戦の日>
(ざわめき)
延期なんて冗談じゃない!そもそも 政治的圧迫とは何だ?
ノー ノー ノー ノー…。
ミスター スギムラ。
バカ言っちゃいけねえよ。
笑わせんな。
リッスン…。
(ざわめき)
ホエア イズ ヒー?ジゴロー・カノー…。
ジゴロー…。カノー…。
ジゴロー…。
あっ あっ ドゥー ユー ノウ スギムラ?(外国語)
いや 分かんねえ… ちょっとごめんね。あっ ヘイ ヘイ!
会議 どこだよ? これ… えっ?
フィニッシュ? フィニッシュ?日本 オーケー?
えっ どうした? あっ すいませんラトゥールさん ラトゥールさん。
リメンバー ミー? ロサンゼルスエキシビション 日本泳法スイマーよ。
えっ 怒ってる? 何… どうしたの?
あっ! 杉村さん。
延期だ!え… 延期!?
ああ~!
総会に出席して 思い知ったよ。
日本への一票は嘉納治五郎への一票だったんだよ。誰もが言う…。
「カノーは どうした?」「ジゴローは なぜ来ない?」「ムッシュ カノーは偉大なサムライだ」ってな。
うん… 俺も見ました。ロサンゼルスの選手村で嘉納さんの背負い投げ長蛇の列が出来てました。
嘉納さんの英語なんて ひどいもんだぞ。
けど… あの たどたどしさがいいのかもしれんな…。
俺は イタリア語も 英語もフランス語もできるが人望がない。嘉納治五郎には なれん。
なれないし… ならんでいいでしょう。
お前は なるよ。
えっ? 嘉納さんに? 俺が?嘉納治五郎に!?
冗談じゃない!御免被る あんな迷惑ジジイ。
嘉納さんは貴様を買ってる。
でなきゃ ここにはよこさん。
いやいやいや 私は ただ「日本」を頼むと言われたので。
日本を?ええ。
田畑に日本をか…。えっ?
ハハハハハ!いや そうじゃなくて…。
ちょっと勘弁して下さいよ!
♪~
美川君のお店の裏手にね大きか梨園のあっとたい。
ご近所の農家が共同で経営ばしとるらしい。
(スヤ)美川? 美川と会いよっとね?
四三さん 美川と会いよっと?
(文子)美川って誰? お友達?
お友達じゃなか ゴキブリばい。
居候のろくでなし 貧乏神。
えっ 何 その言われよう。美川が何をした?
ゴキブリって…。
た~…。
ほんなこつ あんおなごは…。
いつからあぎゃん ふと~か女になったとだろか。
(美川)昔は可憐だったよね~。「坊っちゃん」におけるマドンナのように爽やかでまぶしかったばってんね~。
美川君… ウイスキーば もらおうかね。
ばっ! 珍しかね~ 金栗氏。
あぁたは マラソンの父!はい…。
金栗四三ばい!はい…。
由緒正しき池部家の旦那んさんとしてどっしりと構えとって下さい。
大体 俺は熊本に帰ってから何もしとらん。
日がな 番頭台に座って…。
皆 気ば遣うて旦那んさん 旦那んさん呼ぶばってん招き猫と一緒!
まだ飲んどらんとに酔っ払っとる。うん。
よ~し 決めた!
美川君。(美川)うん?
俺は家出ばする。
家出って 金栗氏…。
実は… ヘヘヘッ。
嘉納治五郎先生から手紙ばもろた!わっ!
うわ~ やだやだ嘉納って聞くだけで鳥肌!
いよいよ 東京にオリンピックば呼ぶそうばい!
(牛塚)あ~あ…。結局 ローマは降りるの? 降りないの?ヘルシンキには勝てるの?
いや… 勝っても ラトゥールがへそを曲げたまんまじゃな…。
私が肺炎になど かからなければ!
注射 何本打ったんでしたっけ?300本。
何も言えねえ。ここは嘉納先生にお願いするしか…。
そうだな! 嘉納さんがベルギーに出向いて謝罪すればラトゥールも折れるだろう。よ~し 一肌脱ごう!
…と言いたいところだがね。
この度は申し訳ないです。あ~ ご苦労さん。
わしは行かん。 ご覧のとおり行きたくても行けんのだ。
触るな 触るな! 触るなって。
そこで また 極論なんだけどね…。出たよ 治五郎の極論タイム。
この間も この時間だったよね? ほら。
「頼めば 譲ってくれるんじゃないかな?」。
おかげでこの人 注射300本ですよ。 ねえ?
何なんです? 今度は。
東京に呼んだら どうだろう?
ラトゥールをですか?うん。 謝りついでに東京を視察してもらうんだよ。
至れり尽くせりのおもてなしで接待するんだよ。
あ~…。
「あ~」って何だよ。何か 治五郎っぽいな~と思いまして。
治五郎っぽいって何だ。 治五郎だよ 私は。
怒らせちゃったのこちらの杉村の陽ちゃんが。
この期に及んで 「遊びにおいでよ」なんて図々しく言えるもんですか。 ねえ?
もう出しちゃったよ 手紙。ラトゥールに。
図々しいな~。
(治五郎)「親愛なるラトゥール伯爵貴殿を日本にお招きしたい。いかに東京が オリンピックに ふさわしいかいかに オリンピックを待ち望んでいるかその目でご覧頂きたい」。
(孝蔵)<治五郎の直談判は功を奏しかたくなだった ラトゥールが訪日の意向を示したのです>
いや~ 海を越えたジジイ同士の友情は侮れん! フフフ。
ママ お酒。この人 飲めないから サイダー。
(河野)それだけじゃないだろう。
何か裏がある。裏?
ほかの要因がラトゥールを動かしたと言うのかね?
ヒトラーだよ。国際連盟脱退以降 日本とドイツが接近しているのは知ってるだろう。ヒトラーが ラトゥールに圧力をかけ東京支持を要求し日本に恩を売ったんじゃないかね?
バカな! そんな事実はどこにも書いとらん。 ほら。
ローマが降りたのも しかりだ。
ザット イズ ザ ポイント。ザット イズ ザ ポイント。
(河野)同じ軍国主義の国として日本に貸しを作るのは得策だとムッソリーニは考えての…。
河野! お前は政治屋になってものの見方が変わったな。
何?恩とか貸しとか 外交の道具みたいに。
違う… 違うんだよ。
オリンピックは運動会だよ 単なる。
あんなものは2週間かけてやる 盛大な運動会。
それ以上でも以下でもない。いつから そんな大仰な国の威信を懸けてやる一大行事になったんだね。
田畑さんが メダルをたくさん取ったからじゃない?
何?あれで 一気に有名になって日本人もやれる 東京にオリンピックを持ってこられるって思っちゃったのよ~。
いけ~! いけ~!
ゴー ゴー ゴー ゴー ゴー!ゴー ゴー!
(拍手と歓声)
(一同)ばんざ~い ばんざ~い ばんざ~い!
違う… 違うって。 俺は…。
いいじゃないか。東京オリンピックが決まれば少なくとも 軍への歯止めにはなる。
あと4年は 戦争は起こらない。
(拍手)
<ラトゥールの訪日に向けて第12回 国際オリンピック大会招致委員会が発足しました>
え~ この度はオリンピックの招致に際し政府から 特別予算を算出して頂く運びになりました。
高橋是清大蔵大臣は何とおっしゃってますか?
満州国の参加の是非についてはどう思われますか?
一部ではオリンピック反対論もありますが?
それは 今 ここで論ずる問題ではない。
では オリンピックはお国のためになりますか?
(是清)そのオリンピックとやらはお国のためになるのかね?
お国のためにはなりませんな。
ならんのかね。なりません。しかし 若い者には励みになります。
日本の若者が 世界の舞台で飛んだり 跳ねたり 泳いだりして西洋人を打ち負かす。 その姿を見て俺も 私も 彼らのように頑張ろうと立ち上がる。
国のためじゃない若い者のためにやるんです。
国のためじゃないってあなた どういうこと?
んん…。
(小声で)勝。(小声で)はい 小松。
し~っ。よしよし よしよし…。
スヤ… お義母さん… 子どもたち…許してくれ。
よし 行くばい。はい。
(戸を閉める音)
え~ そのころ 私の暮らしもだいぶよくなりまして7年 世話になった 業平のなめくじ長屋を出ることになりました。
引っ越しは 昭和11年の2月26日。
2月26日… 何でしたっけね?
(おりん)今度の引っ越しはさすがに荷物が多いね。
(孝蔵)ヘッ あたぼうよ。
だから トラック頼んだんだい。
大丈夫なの? この雪で。
(行軍する音)
昭和維新 断行!(銃声)
わっ!(緒方)残念だが これで最後になるかもしれん。
<空前のクーデター二・二六事件が田畑を襲う>
怖いし…。(幾江)腹くくって!
死にたくない! でも やりたい!
(治五郎)やるんだよ!
オナカ スイタ。子どもか。
<オリンピック招致の鍵を握るおもてなしとは?>
東京五輪招致のキーパーソンだった副島と杉村。
招致に向け IOC委員たちと駆け引きを繰り広げました。
ソウルオリンピック シンクロ銅メダリストの小谷実可子さんも長年 五輪招致に携わってきました。
杉村たちと同様 IOC委員一人一人に支持を訴えたといいます。
リオデジャネイロ。
小谷さんたちは 2008年 2016年と日本での五輪開催を逃し悔しい思いをしてきました。
杉村たちの招致は実現するのでしょうか?


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