エンゼルスに激震が走った。7月1日にテキサス州への遠征中に、27歳で急死した元投手のタイラー・スカッグスさんの検視結果が判明し、体内からアルコールと鎮痛作用がある医療用麻薬オピオイドの「フェンタニル」「オキシコドン」が検出された。30日の米紙ロサンゼルス・タイムズ(電子版)などが報じた。フェンタニルの血中濃度は法律で定められている医療処方量の15倍に達しており、嘔吐(おうと)物による窒息死と診断された。
スカッグスさんの遺族は弁護士を通じて「エンゼルスの職員が関与している可能性があると警察当局から聞き、ショックを受けている。麻薬の入手法、提供人物などの真実が判明するまで、われわれに安息はない」と、“犯人捜し”を宣言。ただし、遺族が法的措置を取るか否かについて、弁護士は「それを決めるには、あまりに早すぎる段階だ」とした。
エプラーGMは、球団職員が関与した可能性について「申し訳ないが、捜査の障害になる可能性を鑑みて、それについてはコメントできない」と話すにとどまった。
▼オピオイド ケシから採取されるアルカロイドなどを用いた医療用麻薬。1990年代、既存薬より依存度が低いとして発売されたが、中毒と過剰摂取で2016年に米国で4万2000人超が死亡するなど社会問題となっている。フェンタニルはオピオイドの中でも少量で劇的効果があるとされ、16年にはミュージシャンのプリンスが過剰摂取で死亡。今月27日には、製薬会社ジョンソン&ジョンソンが裁判で「中毒のまん延に対する責任を有する」として5億7200万ドル(約606億円)の制裁金を支払うよう命じられた。