デミノーが予想以上に打ってきた。強く、深く打ってきた。錦織は対戦相手をストロークで先に左右に振って追い込んでいくのが必勝パターン。デミノーが錦織に「先に振られないようにする」ための作戦だった。
加えて、デミノーの守備が粘り強く、相手のフットワークの良さを奪う展開ができなかった。できれば速く深いボールだけでなく、ゆっくりでもスピンをかけクロスコートへ浅く角度のあるボールを交ぜてデミノーの運動量を増やし、動きを苦しくさせたかった。
アンフォーストエラーは錦織が60本とデミノーの29本の倍。フォアも良いショットと悪いショットの差がありすぎた。錦織はサーブもフォームが小さくなっていてファーストサーブの最高186キロ、平均166キロとスピードが出ていなかった。本人は言いたくなかったのだろうが、肘や腕の調子があまり良くなかったのではないか。
錦織自身、今夏はうまくいかない試合が続いたと感じているかもしれないが、秋のシーズンに向け体調を整え、年末のATPファイナルズ出場を目指してほしい。 (元デビスカップ日本代表)