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悪堕ちしたくてたまらないのに耐性MAXな件 作者:みかの
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第一話 念願の悪堕ち

「無様な姿だな、魔法少女スウィートピンク!」


 よく戦うけど名前は覚えられない敵幹部の声で目覚めた。状況を確認すると、私は敵拠点の研究室の中央に置かれた、椅子型の機械に拘束されていることがわかった。確かにこの姿は情けないかもしれないけど、捕まったのはわざとだからノーカンにして欲しいな。


「今日からお前は組織の戦闘員として生まれ変わるのだ。あいにく仲間達はお前のピンチに気づかないまま春休みを楽しんでいるようだな。まったく、可哀想に! 」


 敵幹部は私を見て嘲笑した。ああ、ついにこの時が来たんだ。6歳の頃から憧れてた、念願の悪堕ち! いやあ、ここまで長かったよ。悪堕ちする為にまず魔法少女になって、さらに自分から敵に捕まったんだから。だって、魔法少女の連鎖堕ちは全ての悪堕ちマニアのロマンと言っても過言ではないもんね! おまけに仲間が私が悪堕ちしたことで絶望するように、今まで完璧な正義のヒロインを演じてたし。うん、我ながら変態! 


「何故笑う、お前にはもう救いが無いというのに。」


 あっ、もしかして私ニヤけてた? まずいまずい、定番のアレを言わなきゃいけないのに。あまりに有名なセリフだから、ちょっと緊張する。


「くっ……殺せ!」

 よし、キマった。憧れのセリフがリアルで使える日が来るなんて、感激!


「フハハハハハ! 殺されるよりも酷い目に遭わせてやろう。」 


 敵幹部は得意げにそう言って、私にコードで椅子と接続されたヘッドギアを被せた。これはオーソドックスな洗脳装置かな。直接思考を書き換えて支配するやつ。私的には快楽堕ちか肉体改造が良かったんだけど、拷問よりはずっとマシなのでOKです!


 敵幹部が椅子に付いたレバーを引くと、頭に電流が流れるような感覚がした。洗脳装置の電源が入ったみたい。私はそっと目を閉じて、女児向けアニメで悪の組織に洗脳されるヒロインを初めて見た時の興奮を思い返す。『きっと気持ちいいんだろうな。』まだ性欲も知らない幼女なりに頑張って妄想したんだっけ。それが『悪堕ち』というものだとわかった時の感動も覚えてる。その後ネット検索を使いこなせるようになってから世界は変わったね。でも、まだr-18は見たことがない! 仮にも正義の魔法少女だし、たとえコンピューター相手でも、嘘をついてまでエッチな漫画を見るのはねえ。あと3年か……待ちきれないよ!


 ……ところで、まだ? 多分だけど、私まだ洗脳されてないと思うの。組織に忠誠を誓いたいとか、ブルーとイエローにもこの快楽を味わってもらいたいとか、ちっとも思わないし。ちょっと抵抗して、装置の出力上げてもらおうか。じっくりいたぶるのが好きなあいつのことだし、最初は洗脳装置も弱めにしてるに違いない。


「私はそんな装置ごときで屈しない! 絶対に!」

「ハハッ、言ったな。ではこれはどうだろう。」


 敵幹部はレバーをさらに奥まで引いた。予想通りの展開ですね、ありがとうございます。これで私、立派な組織の戦闘員になれそうです。さあ、私の精神をめちゃくちゃにして! 肉体を支配して! むふふ、興奮して両手両足が痙攣してきちゃった。……よだれ、垂れてないよね?


「まだ抵抗するか、スウィートピンク。足掻いても無駄だ。大人しく電流に身を委ねることだな!」


 敵幹部は装置の出力を最大にしたようだ。頭に流れる電流は徐々に強くなって、私の思考を鈍らせていく。ああ、これが洗脳なんだね! 真っ白になった脳に、新しい常識が上書きされていくんだ。いいよ、あいつの言う通り、電流に身を捧げようじゃないの。


 最初は痛かった電流も、だんだん気持ちいいものになってきた。素晴らしいね。悪堕ちって、幸せなものじゃなくちゃだめだもん。単に苦痛を与えて調教するだけだとしたら、そんなのただのSMプレイだ。自分も含めて、人が傷つくところは絶対に見たくない。誰かを痛めつけて面白がる奴は許さない。もしかして、こんなド変態わたしが魔法少女に選ばれたのって……




 私の意識はそこで途絶えた。

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