バハルス帝国首都アーウィンタール。
帝国魔法省、最奥の塔、地下5階。
「ンッン~♪ いかがですかなァッ、フールーダ殿ッ!」
「ぴゃああああああああああああ、すびゃりゃっしゃああああああああああ!!!!」
クルクルとスタッフを回す、強大なアンデッドに対し。
帝国主席宮廷魔術師フールーダ・パラダインは顔中からあらゆる液体を溢れさせていた。
実際は下半身や全身も相当な状況だが、特に顔が酷い。
「フッ、偉大なる主に造られた私には、他愛ないこと……」
「神に等しき御身にさらにあるじぎゃばあああああああああああ!!!!」
キリッ、とポーズを取ってドヤ顔を見せれば。
歓喜と感動でいろんな体液をあふれ出し、水たまりを作るフールーダ。
モモンガのかつての姿で、素晴らしくかっこいいアクションをし。
それに対して凄まじいオーバーリアクションで感動を示すこの老人を、パンドラズ・アクターは大いに気に入っていた。
「未だ主に会わせることは叶いませんがァ……この力を帝国に提供するのですッ。当然――相応の働きを期待しても、かまいますまい?」
くるり、バサァッと身を翻し、ギラリと目に赤い光を宿す。
「もちろんもちろんもちろん! もちろんでありますッ! 偉大なる御方ァァァッ!!!!」
床を舐めんばかりに跪き、興奮と共に吠えるフールーダ。
(なんとノリのいい人でしょう。王国の姫や、連行した連中より、彼こそ評価したいですねッ。あの王国戦士長よりも、己の立場や在り様もよく理解している様~子ッ。オオッ、母上を見た時のリアクションも期待できます。きっと、お喜びくださるでしょうッ。もっと色事以外の娯楽にも目を向けていただかなくてはッ!)
「フッ、では必要に応じて皇帝とも引き合わせてくださいッ。我々は帝国を害したいわけでは、ありませんッ……少なくとも今の統治を続けるならば、覚え良き国と言えるでしょうッ」
「なんとっ、なんとありがたいお言葉ァッ!」
フールーダがひれ伏し、涙を流す。
叫び方も、実にパンドラズ・アクターの好みだ。
「働き次第で、我が主が真なる魔法の深淵を教授くださるはずッ! では、数年ばかり王国に猶予を与えるようお願いしましたよ――〈
パンドラズ・アクターが転移して立ち去る。
「おおおおおおお、魔法の深淵ッ! あれが第7位階転移呪文ッ! そして、これが――」
消えてはいまいかと、周囲を見回す。
それは、変わらずあった。
捕らえ拘束した
その周囲にあるのは。
さらに3体の
フールーダが知る最強のアンデッドを組み合わせた騎兵が四騎。
その支配権が、今はフールーダに預けられている。
王国を――否、帝国すら滅ぼして釣りが出るこの戦力が……フールーダ一人に。
「ひゃっはああああああああああああああああああ!!!! これがッ、これがァッ、最強のアンデッドを支配する感覚ッ!! すばらっ、すぅばらしいぃぃひぃぃぃぃぃ!!!!」
叫び笑いながら、子供のようにこれらを動かし駆け回らせ。
ついには壁を攻撃すらさせた。
地上階まで震わせる振動に、勇気ある弟子が恐る恐る覗きに来るまで。
“逸脱者”フールーダの狂乱は続く。
いや、別にその後に狂乱が治まったわけでもないのだが。
アゼリシア山脈、ある高原にて。
つい最近、乱雑ながら建物が建てられていた。
それは畜舎にも似て、どこかのどかな牧場を思わせた。
しかし、その中の行為は、牧場からは程遠い。
中には無数の男たちが拘束され、女にいたぶられていた。
そんな中。
「ぶいっぎぃぃぃぃ♡♡♡」
野太い矯声が上がり、びくっびくっと両手でピースしながら見苦しい喜悦を晒す、豚のような男がいた。
その顔は絶え間なく殴られ膨れ上がり、
男にはかつてスタッファン・ヘーウィッシュという名があり。
相応の権力を得て暴虐を振るった身だったが……今の彼は、ただの豚である。
「この豚がっ! 豚ッ! 豚ッ!」
ヒステリックに痛めつけるのは棘だらけの衣装に身を包んだ
その足は男の尻と睾丸を、何度もストンピングする。
その都度、長く太く棘のついたヒールが、男の尻を抉っていた。
元から汚らしい男の尻は裂けて血まみれとなっており。
さらに踵についた拍車が回っては、男の尻にさらなる傷を刻む。
汚物をまき散らさないよう、男のものは根元できつく縛られ。
痛々しく膨れあがっている。
艶めかしい金色の髪が舞い、攻めはなお激しくなった。
いつの間にか、その背後に長身の悪魔が立っている。
「どうかな、ツアレ。強くなった感覚はあるかい?」
冷徹な声で悪魔――デミウルゴスが問う。
「はい! この体をいただいてからは、どんどん強くなっている気がします!」
「それはよかった。やはり種族が関係するということかな」
元気よく答える彼女が、豚を蹴とばす。
ズムッ、と重い音がして、豚が呻いた。
デミウルゴスが頷く。
本来の彼女ならば、こんな重い蹴りは放てまい。
ここは、アルベドから得られた情報以後、性的行為や拷問によって得られる経験値を検証する施設となっていた。
比較的レベルのマシなクズどもが集められ、元娼婦らにいたぶられている。
「ですが……その、この豚では一日中痛めつけなければ得られません。やはり、あの黒豚の方が」
ツアレがチラ、と奥を見る。
そこでは全身に刺青を彫り込んだ、日に焼けた肌の男が……
くぐもった悲鳴とも喜悦ともつかない声を発している。
「やはりレベル差か……とはいえ、さすがに一人に頼り切りはいけないよ。可能な限りは、これらを使ってくれたまえ。力を得る感覚を感じなくなったなら、より高レベルな豚を用意しよう」
必死に抗おうとしては屈し、抗おうとしては屈する姿は、悪魔たちにこの上ない娯楽である。
黒豚と呼ばれるこれが、八本指の幹部“闘鬼”ゼロだと知る者は……少なくとも女たちにはいない。
六腕が捕縛された後、彼は一人ナザリックにてデミウルゴスとパンドラズ・アクターに噛み付き。
しかも至高の御方を侮辱したのだ。
その後、怒れる二人の守護者によってゼロが迎えた運命に、残る六腕はたちまち服従を誓ったが。当人は未だ許されずにいた。
「では、引き続き“れべりんぐ”を行わせていただきます」
復讐の暗い喜びを、嗜虐心で彩り。
艶めいた表情で……ツアレは再び、豚を痛めつけ始めた。
(ふふ、やはり
ツアレの攻めを眺めながら、デミウルゴスは考える。
彼女、ツアレニーニャ・ベイロンは八本指の娼館で使い潰されんとしていた娘だ。
本来ならば、彼女ら奴隷娼婦はナザリックの資源として持ち帰るべきだったろうが。
モモンガから聞かされた、己の創造主ウルベルトの境遇がふと、内心をよぎった。
彼は娼婦らを保護し、回復ではなく『堕落の種子』による悪魔化を施した。
さらにデミウルゴスの
たとえば
あの豚も、スキルの効果で魅了と発情を受け、苦痛を快楽に変えているのだ。
(この結果が変わらなければ、他の者も
アルベドがろくに動けない以上、デミウルゴスは各種補給も考えねばならない。
スクロールは、ポーションと並ぶ重要な消耗品だ。
いや、己らを傷つけうる者がほぼいない以上、汎用性あるスクロール確保こそ重要。外部で活動する全員が気軽に〈
(王国ですべきことはもうないだろう。国自体を富ませるまで待つ必要がある……そういえば、帝国ではエルフが奴隷扱いされるとか。そちら側で、よりよい豚と新しい
「ぴぎぃぃぃぃっひぃぃぃぃぃ♡♡♡」
豚がまた汚いよがり声をあげた。
ツアレの技術上昇を喜ばしく思いつつ……デミウルゴスは他の者たちを見て回る。
(まあ、自ら望む子がいれば考えましょうか……)
汚いジジイから汚いオッサンへ、自然なシフト。
王国の掃除は既にあらかた終わっているので、パンドラは帝国に移動。
モモンガさんが現地人取り込みを進めてる(と思ってる)ので、デミウルゴスは人間以外の聞き分けない連中のみ羊皮紙材料にしてます。グさんは既に羊皮紙材料になりました。剥いでも再生しますしね!
本来はバルブロ王子も経験値豚に来るべきなんですが、彼には啓蒙モニュメントとして大事な仕事があるので来てません。
六腕は、とりあえず見せしめしないと歯向かうだろうなということで、ゼロに屈服していただきました。
残りの5人は、ニグンさんたちに合流してる予定です。
本作のナザリック勢は特に征服とか考えず、鬱憤晴らし用のクズを拉致しまくっただけですので、アフターフォロー皆無です。八本指も各貴族も突然行方不明になって消えてます。