半世紀近い歴史を持つニコンの“ロングセラー商品”が9月末で販売を終えるらしい-。衝撃のニュースに今月、映像業界が揺れた。実はその商品とはようかん。カメラメーカーなのになぜ和菓子?半世紀も売られている?写真を仕事にしているが、恥ずかしながら筆者にとっては初耳だ。別れの前に「ニコンようかん」について、国内販売を担うニコンイメージングジャパン(東京都港区)広報宣伝部の横浜純さんに聞いた。(秋山亮太)
-ニコンようかんが無くなるそうですが。
「運営している公式オンラインショップやサービスセンターなどでの販売は9月末で終了します。販売を始めた当初からの切り分けるタイプのようかんは、これをもって一般販売を終わります」
-カメラメーカーがなぜようかんを。
「ニコンようかんの歴史は、1973(昭和48)年までさかのぼります。栃木県大田原市の菓子製造会社から『企業ようかんを作りませんか』と提案を受けたのがきっかけで誕生しました。初めは社内での販売でした」
-どうしてようかんのオファーだったんでしょう。当時の流行?
「残念ながら背景までは今となっては分かりません。ですが、大田原市はニコンのレンズ工場があり、縁のあるまちですよ」
-一般販売はいつから?
「2000年2月からです。1本を切り分ける商品のほか、一口タイプも扱っています。味も『胡麻』や『柚子』など豊富ですよ」
-どのような方が買われるんですか?
「弊社内では手土産に持って行く人も多いようです。会社のイメージと商品のギャップが、話題のきっかけになるので。一般では、お中元、お歳暮などの時期に特に需要が高まるみたいです」
-ネットでは販売終了を惜しむ声も多いようです。
「悲しみの声や長年ご愛顧いただいたというコメントをたくさんいただきました。多くの方に親しんでいただいたと真摯に受け止めています」
-8月30日現在、公式オンラインショップの商品は全て品切れ。店頭販売していた「ニコン神戸三田プレミアムアウトレット店」(神戸市北区)でも売り切れのようです。ニコンようかんはもう味わえませんか?
「東京都港区の『ニコンミュージアム』では、「一口ようかん」(5個入り・税込み700円、10個入り・同1200円)や、チョコレートや抹茶、黒糖など5種類の味を詰めた『ニコン一口ようかん新味』(税込み700円)を引き続き販売しています。遠方の方にはご足労いただきますが、引き続きご愛顧いただけると幸いです」