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2019年8月31日 紙面から
中日-ヤクルト 5回表2死二、三塁、バレンティンを空振り三振に仕留めほえるロメロ=ナゴヤドームで(松田雄亮撮影)
心は熱く、だけど頭は冷静に-。マウンド上で自分を見失う悪癖を振り払うかのように力強く腕を振る。「長打だけ気をつけて投げた」。イメージ通りの投球でロメロが8勝目をつかみとった。
初回。1死から連打で一、三塁。バレンティンを迎えた。だが落ち着いていた。「左の5、6番で勝負すればいい」。無理をせず歩かせると、続く雄平、村上をともに一ゴロに。無失点で切り抜けると波に乗った。
最速155キロの直球だけでなく変化球も安定。そして何より冷静だった。5回。1点を返されなおも2死一、三塁で再びバレンティン。フルカウントから選択したのはカットボール。「今までなら変化球を投げるのが怖くて真っすぐしかなかった。でも日本にきて練習したからね」。コースはボール球でも打ち気にはやった主砲のバットは止まらない。山田哲の二盗で2死二、三塁となったピンチも空振り三振に切って取った。
だが6回。2死から死球で走者を背負った場面。奥村を空振り三振に仕留めると、それまで冷静だったロメロも一気に感情の高まりが沸点を超えた。マウンド上で左拳を握り雄たけび。「興奮してしまって」と頭をかいたが、6イニングを4安打6奪三振で1失点。先発としての役割を果たした。
今季20試合目の登板。「最初よりできることは増えている」。来日当初できなかったクイック、精度を欠いた変化球は格段に進歩した。全ては異国の地で成功するため。ハングリー精神の原点はプロ入りした2008年にさかのぼる。レイズ傘下のルーキー級で己を磨いていたとき。「半月で200ドル(約2万1000円)の生活をしていたね」。この金額で全生活をやり繰りしなければならず、得意の料理を母親に教わったのもこの頃。生きるため、のし上がるために必要なものは覚えて実践する。ロメロには当たり前のことなのかもしれない。
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