傘会はプレーヤー同士が助け合ってみんなで仲良く富を得る、あるいは新人をサポートする素晴らしいシステムであると考えているプレーヤーが多い。しかし、それは本当に正しいのだろうか?
最近、「使わない服や靴を発展途上国の貧しい人に寄付しましょう」的なポスターを見かけたりすることが多い。まったく馬鹿げた主張である。良し悪しはともかく、意図した事が意図した通りの結果につながらなければ意味が無い。結果が全てである。動機や過程はどうでもよい。結果を確認・実現するためには、「自分が意図したとおりの結果になっているかどうかを検証する」能力と、「自分が意図したとおりの結果につなげる」努力が必要である。「なんとなく良いことしたから俺は良い人」と単純に考えるのは単なる思考停止に他ならない。
あなたが使い古した服や靴を発展途上国に送ったとしよう。それらの服や靴は怪しげなNGOを通じて現地の商人・汚職役人・独裁政権に二束三文で買い取られ、市場で安く販売される。その結果、消費者は質の良い製品を安く入手できる。しかし、服や靴を(現地の技術水準で)製造している現地の真面目な職人達が大きな損失を被ることはいうまでもない。当たり前だが、元手がタダ同然の商品に対抗できるはずがない。職人たちは続々廃業してその国の工業は衰退し、伝統は撲滅され、胡散臭い先進国のNGO・汚職役人・御用商人・独裁政権が刹那的な富を得るだけである。そのような国が平和と繁栄と安定を享受できるはずもなく、そのうち汚職・腐敗・内乱が勃発し、国民がさらに困るだけである。
貧しい人に対して無償援助を行うことは無意味であるばかりか逆効果である。依存性の高い麻薬と同じである。確かに、予期できない突発的な問題(自然災害等)に直面している人に援助の手を差し伸べることは賞賛・励行されるべきである。しかしながら、予測可能な問題に対しては、人間はできる限り自分の力で自分の問題に対処するべきである。
さて、前置きが長くなったけれども、傘会についても同様のことがいえる。
傘会で利益を得るメカニズムは非常に単純である。N人がそれぞれM個の箱を持参して傘会が行われた場合、傘会に参加した一人のプレーヤーが得る箱の数はM×N個になり、傘会に参加した全プレーヤーが得る箱の総数はM×N×N個になる。つまり、傘会で生みだされる富は参加人数の二乗に比例する。傘会では、参加人数が増えれば増えるほど生み出される富が多くなる。
このシステムを悪用してぼろ儲けする方法は何だろうか。シンプルな方法は複垢を作って箱を拾わせることである。これだけで箱会で得られる利益が複垢の数の分だけ倍増する。アカウントをK個持っている場合、そのプレーヤーが得る箱はK×M×N個になる。複垢が得た利益は市場を通じて送金すればCTB(Chat Trade Balance)に引っかかることはない。しかし、これだけでは傘会のシステムを悪用しつくしているとは言えない。
上述したように、傘会で得られる利益は(アカウント数)×(参加者が持ち寄る箱の平均数)×(参加人数)に比例する。全ての要素が掛け算で効いてくるため、各要素をできる限り最大化すれば傘会の利益を激増させることができる。そのために、以下に述べる方法を用いることは効果的であると考えられる。
- 複垢を多数作成する(Kを増やす)
- 大人数が参加する傘会を高頻度で実施する(Nを増やす)
- 複垢を総動員し、品質を無視してあらゆる場所に鉱山を建設しまくって自分や他人がいつでもどこでもメンテナンスできる環境を整える(Mを増やす)
- 傘会への「参加料」を設定し、参加者が持ち寄る箱の平均数を増加させる(Mを増やす)。
- 傘会こそがリソースゲームの醍醐味であり、プレーヤー同士のコミュニケーションを促進するだけでなく、新人プレーヤーの成長を促す、生産的かつ善良的で正当なプレー方法だと宣伝する(Nを増やす)
これらの方法を徹底することで、ごく狭い地域から世界ランキング上位のプレーヤーを多数輩出することはそれほど難しくないと考えられる。
しかし、ゲーム自体の持続性という観点から考えると大きな問題がある。特に大きな問題は、上述した(2)と(5)である。メンテで得られる傘を増やすために大量の鉱山が広範囲に無差別に掘られている場合、困るのは新規参入したプレーヤーである。新人プレーヤーはいきなり郊外に出かけてダイヤ鉱山を掘るわけでなく、まずは近場で粘土鉱山を掘ったり、石灰鉱山を掘ったりしながらゲームにはまっていくものである。乞食をするためにゲームをしているのではない。東京都内の一部の地域は傘目当てで建設された低品質鉱山で埋め尽くされており、鉱山を建設する余地が非常に小さい。大多数の新人プレーヤーは「早い者勝ちゲーム」だと認識してゲームをやめていくだろう。最近は複垢が発覚してBANされるプレーヤーが増えて都内の過密状態はややマシになってはいるものの、依然として新人プレーヤーが興味を持つようなゲームとはなっていない。傘会(と傘会にこだわるプレーヤー)は新人プレーヤーに害を与えているといっても過言ではないだろう。傘会は新人プレーヤーを一見助けているように見えるが、単に新人プレーヤーがゲームをやめるきっかけを作っているに過ぎない。傘会は麻薬のようなものである。一時的にゲームを盛り上げることができるものの、長期的な視点で考えれば、傘会はプレーヤーの新人プレーヤーのモチベーションを破壊する麻薬のようなものである。全てのプレーヤーは傘会への参加を慎むべきである。
しかしながら、傘会を悪用するプレーヤー達に大きな非があるとはいえ、新人プレーヤーが努力もせずさっさとゲームをやめるのはよろしくない。「リソースゲームは助け合いのゲーム」であるというプロパガンダは下らない幻想である。「傘会はリソースゲームの醍醐味であり、プレーヤー同士のコミュニケーションを促進するだけでなく、新人プレーヤーの成長を促す」は単なるプロパガンダに過ぎない。新規プレーヤーは、傘会を好む既得権益プレーヤーたちの美辞麗句に惑わされてはならない。リソースゲームはマフィアシステムが備わっており、マフィアHQがレベル10になれば欲しいものは他の高レベルプレーヤーからいくらでも強奪することができる。新人プレーヤーが傘会に参加する必要性はどこにも無い。
新人プレーヤーはマフィアHQが10になるまでは臥薪嘗胆し、いったん攻撃できる環境が整ったら派手に攻撃活動を行うべきであろう。いったん傘会に参加してしまったら、傘会で生じた人間関係に縛られてゲーム終了まで既得権益層への隷属を強いられることは言うまでもない。
傘会の罪だけを書いたが、傘会にはもちろん功もある。傘会は大量の化石を市場に供給してくれる。化石は攻撃犬の材料になるので、化石相場の下落はプレーヤーの攻撃活動を促進してくれる。プレーヤーの攻撃活動は活動的でないプレーヤーや弱小プレーヤーを淘汰し、プレーヤーのアクティビティを増大させてゲームを盛り上げてくれる。
次はリソースゲームのプレーヤーのアクティビティについて考察する。