「容姿が悪く、交際経験が一度もない」47歳女性に鴻上尚史が本音で応える
連載「鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい『世間』を楽に生きる処方箋」
「お金があっても孤独に悲鳴を上げている」とか、「淋しさが老化を加速している」とか、「なぜかずっともてなかった」とか、そういう男性を相手にしたから、次々に虜にできたのだと、人間の心理をついたからだと、僕は思っているのです。
サバ缶さん。傷つけたらごめんなさい。サバ缶さんの文章があまりにも僕の胸に突き刺さったので、僕は掛け値なしの本音を書いています。
もし、サバ缶さんが恋に落ちたいと思う相手が、バリバリ仕事をこなしている自信満々の40代とか、いわゆる男性的魅力に溢れているとか、とてももてている男性だとしたら、それはかなり難しいと僕は思います。
でも、サバ缶さんと同じように、恋愛に縁がなく、孤独に苦しみ、恋愛に憧れ、傍に誰かいてほしいと願っている男性なら、サバ缶さんと恋愛が始まる可能性があると思うのです。
女性に全然もてないような相手となら、恋愛なんかしたくない、と思うかもしれません。
でも、僕はどんな相手であっても、恋愛しないより、恋愛した方が素敵だと思っています。
現実に交際できるかどうかを考えないで、いくつになっても、「可愛い女性がタイプ」としか言わない男性のことを書きました。
そういう男達は、人の恋愛に対しては評論します。そして、自分は理想だけを語ります。それは、例えば、野球で言えば「大リーグだけが野球だ」とか「日本のプロ野球は最高」と観客席で語る人と同じです。自分では決して野球をしないで、ただ、観客席で野球を見て、辛辣な批評だけするのです。「あんなことをして恥ずかしくないのか」とか「信じられないね」とか言います。
でも、もし、もっと野球を楽しみたい、見るだけじゃなくて、やってみたいと思った時に、分岐点に立ちます。
ひとつは、「大リーグ並みの技術がない自分は恥ずかしくて、野球なんかやってられない」とやめてしまうタイプです。
そして、もうひとつは、「大リーグやプロ野球のような技術はない。でも、河川敷でやる草野球は楽しい」と、自分なりの楽しさを見つけられるタイプです。